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　今回は、3月1日の日本上映開始作と、国内上映中作品から10作を扱います。

　タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第299弾です。強烈オススメは緑、超絶オススメは青で太字強調しています。（2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。）


　
■3月1日公開作

『ロッタちゃん　はじめてのおつかい』 2Kリマスター版
ふくれっ面で元気いっぱいのロッタちゃんが、豚のぬいぐるみバムセを抱き駆けまわる。
セーターのチクチクが不満で家出を試みるも、夜の物音が怖くて仕方ない。優しく見守る家族のもと展開する少女視点の描写と感情表現が愛らしい珠玉作。

"Lotta flyttar hemifrån／LOTTA LEAVES HOME" https://twitter.com/pherim/status/1762669918900920359　

『リンドグレーン』https://twitter.com/pherim/status/1197348766040252418




『コットンテール』
“ウィンダミア湖に遺灰を撒いて”
病に斃れた妻の遺言を叶えるため旅立つ夫と息子家族。
喪失感も露わな夫役/リリー・フランキーの疲弊顔、妻役/木村多江の儚げな目線、息子役/錦戸亮の浮かべる苛立ちさえもが英国湖水地方の風光へ溶けゆく。名優キアラン・ハインズ客演も秀逸。

"" https://twitter.com/pherim/status/1764488561171284267

『ベルファスト』https://twitter.com/pherim/status/1503199766238285824
『家族を想うとき』https://twitter.com/pherim/status/1219996184581816320
クレア・キーガン『青い野を歩く』https://twitter.com/pherim/status/9533000286

キアラン・ハインズ&イーファ・ハインズめぐり追記するかもー




『FEAST 狂宴』
不慮の交通事故で、父が息子の身代わりに収監された富裕家族と、夫を失った貧しい妻子たち。
十八番の暴力&政治を封印したブリランテ・メンドーサの衰えぬ冒険心を、一方の主役となるフィリピン・パンパンガ州の地方料理が醸すグロテスクな豪勢さにみる。

"Apag／Feast" https://twitter.com/pherim/status/1764847724590150049

『義足のボクサー GENSAN PUNCH』2021 https://twitter.com/pherim/status/1528592209338986496
主演/尚玄インタビューby pherim https://www.kirishin.com/2022/05/26/54440/
『復讐』2021 https://twitter.com/pherim/status/1460083077669998598
『ブローカーたち』(制作)2021 https://twitter.com/pherim/status/1598166448790470656
『アルファ、殺しの権利』2018 https://twitter.com/pherim/status/1150715223172452352
『それぞれの道のり』2018 https://twitter.com/pherim/status/1061156789780017152
『SHINIUMA Dead Horse』アジア三面鏡2016 リフレクションズ https://twitter.com/pherim/status/904286941062905858
『ローサは密告された』2016 https://twitter.com/pherim/status/889123911438184448
『罠（わな）～被災地に生きる』“Taklub”(Trap)2015 https://twitter.com/pherim/status/1489094913211781121




『52ヘルツのクジラたち』
孤立する心を、1匹だけ異なる周波数で歌う鯨に喩える町田そのこ原作/成島出監督作。
杉咲花の可憐さに慄える。どん底から希望を見いだすも再び傷つく主人公の心情を、ガラス細工のように脆く儚い笑顔で表現し切る。親に隠し性転換した青年演じる志尊淳の佇まいも印象的。

"" https://twitter.com/pherim/status/1761941309714231660

『銀河鉄道の父』https://twitter.com/pherim/status/1654055586542276609
『ファミリア』https://twitter.com/pherim/status/1609404574032596993




『リトル・リチャード　アイ・アム・エヴリシング』
ロックンロール始祖の一代記。
ミック・ジャガー、トム・ジョーンズらの情熱的な語りが聞かせる。
黒人+ゲイゆえに長く不遇の時代が続き、エルビス、ビートルズらが絶大な影響を認め、デヴィッド・ボウイが唯一真似した男の苦渋と栄光の道。

"Little Richard: I Am Everything" https://twitter.com/pherim/status/1765638277997199828

『リバイバル69 ～伝説のロックフェス～』https://twitter.com/pherim/status/1710119253553418303
『サマー・オブ・ソウル (あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』https://twitter.com/pherim/status/1428188033329758213
『スターダスト』https://twitter.com/pherim/status/1446283777890664448




『ストリートダンサー』
ダンスチームを率いるインド系青年とパキスタン系娘の衝突、そして。
初めの群舞が英国旗で飾られた“フランス通り”を舞台に踊られ「あらまぁ」と眺めていると、パンジャーブ地方シィク教徒分断の歴史背負うロンドン移民の実録物へ展開、魅せる。ダンスバトルも見入る。

"Street Dancer 3D" https://twitter.com/pherim/status/1762803280412123400

『カセットテープ・ダイアリーズ』https://twitter.com/pherim/status/1278160999036579840
『ビッグ・シック』https://twitter.com/pherim/status/965778186733633536
『小さな園の大きな奇跡』https://twitter.com/pherim/status/795979632042393600




『水平線』
震災で妻を失った福島の散骨業者と一人娘の相克。
海への散骨という近年のトレンドがもつ背景や、漁業へもたらす風評など諸々新鮮で興味深い。
ピエール瀧主演良作『凶悪』で共演した俳優・小林且弥の初監督作で、被災者を代弁する記者の傲慢さを好演する足立智充が憎々しすぎて鮮烈。

"" https://twitter.com/pherim/status/1761228010357932100

『凶悪』https://twitter.com/pherim/status/401826046799921152
『サンクチュアリ -聖域-』https://twitter.com/pherim/status/1721168400419021181
『夜を走る』https://twitter.com/pherim/status/1522856026252640256




■日本公開中作品

『THE WILD　修羅の拳』
賭博リングで相手を殺し8年の刑を終えた男が、面倒事に巻き込まれて大暴れ。
旧友のヤクザ親分、クズ刑事、相手ボクサーの弟や元恋人など好配置の脚本活きる韓流ノワールで、殊に脱北者犯罪組織の首領役オ・ダルスの異端ぶりが際立ちすぎて大満足。

"더 와일드: 야수들의 전쟁／THE WILD" https://twitter.com/pherim/status/1760631957770379774

『偽りの隣人　ある諜報員の告白』https://twitter.com/pherim/status/1431595587393122306
『殺人者の記憶法』https://twitter.com/pherim/status/955280957283553280
『野獣の血』https://twitter.com/pherim/status/1612436468315873280
『狼たちの墓標』https://twitter.com/pherim/status/1528272006143430656




『鬼太郎誕生　ゲゲゲの謎』
トンネルを抜けたら八つ墓村でした、という横溝正史展開に、墓場鬼太郎誕生への悲史が重なる。
“水木”の名と片目に傷もつ主人公が、戦時下南洋での悪夢から日本社会へ怨念抱く野心家青年、って設定好き。終電ギリの郊外シネコン最終回で観たのも退館時の退廃感よかった。

"鬼太郎誕生 咯咯咯之謎" https://twitter.com/pherim/status/1760981293121376382

“Kandittund! (Seen It!)” https://twitter.com/pherim/status/1480533023292796928




『すべて、至るところにある』
セルビア、マケドニア、ボスニア。パンデミック下で行方不明になった映画監督を探す女が見定める旅路。
リム・カーワイ映画常連の尚玄＆アデラ・ソーが醸す無国籍な風情と、旧ユーゴ共産主義建築とが響き合って生じる浮遊感と戦争の重い気配。

"" https://twitter.com/pherim/status/1763696171485483417

『COME & GO カム・アンド・ゴー』https://twitter.com/pherim/status/1455525807342772225
『あなたの微笑み』https://twitter.com/pherim/status/1591794610539745282
『ディス・マジック・モーメント』https://twitter.com/pherim/status/1727895843120791685

尚玄インタビューby pherim: https://www.kirishin.com/2022/05/26/54440/





　余談。
　
　『コットンテール』『すべて、至るところにある』ともに、外国人監督＆日本人キャストによる海外ロケ映画で、その座組に以前はありがちだったタレント起用&有名観光地の商業映画とは異なる自然体を感覚し、良い流れだなと。諸々合わせ考えるに、今後さらに増えるでしょうね。
　
　更新遅れ症候群再発、あと鼻風邪ひいた様子。（花粉症じゃないとしたら）
　東京は三月の雪ですね。

　R.I.P. 鳥山明さん





おしまい。
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