今回は、7月26日~8月3日の日本上映開始作と、《イタリア映画祭2024》上映作など13作品を扱います。(含アニメ配信2クール/短篇2作/再掲4作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第317弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■7月26日公開作
『カミノフデ 怪獣たちのいる島』
ゴジラ、ガメラ、大魔神の怪獣造形作家・村瀬継蔵88歳が監督した、佐野史郎主演のアナログ特撮。
1970年代に香港ショウ・ブラザーズの依頼で書いた物語をベースとし、“マタンゴ”オマージュのキノコ島探索など昭和感が全編ガチ満載。
"" https://x.com/pherim/status/1817542727493644439
『マタンゴ』関連ツイ https://x.com/pherim/status/1181844832655831041
『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』(หนุมาน พบ 7 ยอดมนุษย์) https://x.com/pherim/status/912276057390120960
『シン・ウルトラマン』https://x.com/pherim/status/1525086871503933441
『シンクロナイズドモンスター』https://x.com/pherim/status/924824161746280448
※『カミノフデ 怪獣たちのいる島』以外の7月26日公開作は、ふぃるめも316にて扱いました。
■8月2日公開作
『コンセント 同意』
14歳少女が50歳作家にグルーミングされた過去を、30年後に告発するVanessa Filho監督2作目。
デュラス“愛人 ラマン”等にも言及し、時代性を踏まえた構成。主人公の熱演に加え、実在作家ガブリエル・マツネフ本人以上のギトギトした存在感を放つJean-Paul Rouveの怪演に見入る。
"Le consentement/Consent" https://x.com/pherim/status/1818999828275482702
『マイ・エンジェル』https://x.com/pherim/status/1157861642366935040
デュラス連ツイ『インディア・ソング』他 https://x.com/pherim/status/1153910956478455811
『あなたはまだ帰ってこない』https://x.com/pherim/status/1095887022852427777
『幻の光』1995
一つの死の向こうに新たな生が開けるとしてもそれを望まず、憶病にふるまう自由を人はもつ。
奥能登という、稀有のローカル性に依りかからず、淡々と表現世界へ取り込む是枝裕和の手つきには不気味なほどに底知れないものがある。小津へのオマージュとしても、ショットやプロット構成にもまして、この不気味さこそが何より効いている。
"" https://x.com/pherim/status/1819740244964721014
この、人ひとりの死と生という一回性のフレームを、遠目には音もなく進行してゆく瓦解と再生の一つとしてみる眼差しが貫徹されたとき、そこを往き交う静謐と激情の振り幅はきっとありうる最大値を目指してゆく。その手つきの、ひんやりとした肌触りのもつ、透き通るような凄みがここにある。
『ベイビー・ブローカー』https://x.com/pherim/status/1533292692117295104
『万引き家族』https://x.com/pherim/status/1022281342753468417
『海街diary』https://x.com/pherim/status/1278324463541514242
『海よりもまだ深く』https://x.com/pherim/status/732002053526970369
『デューン 砂の惑星』4Kリマスター版 1984
デヴィッド・リンチ版。
ヴィルヌーヴがどんだけ愛し忠実に更新したかがわかる、40年前の鬼才の手つきうねるうなる。
ツイン・ピークスのカイル・マクラクラン主演で、歌手のスティングもピカード艦長も揃い踏みする愉快時空。
"Dune" https://x.com/pherim/status/1818884225996931587
『デューン 砂の惑星PART2』https://x.com/pherim/status/1786975138149478818
『ブレードランナー 2049』https://x.com/pherim/status/974220346978021376
『メッセージ』https://x.com/pherim/status/863610960828784641
『デヴィッド・リンチ:アートライフ』https://x.com/pherim/status/957927372128378880
『ラッキー』https://x.com/pherim/status/978983909143724032
『パリ・リトグラフ工房idemから』展 https://x.com/pherim/status/681985200037867520
■8月3日公開作
『うんこと死体の復権』
探検家/関野吉晴が撮る、うんこさんの専門家MCU状態。
半世紀に渡る野糞の実践回数を記憶する伊沢正名さんほか、もはや人知を超えた情熱と探究心に突き動かされ地べたを見つめるおじいさんたちが輝かせる、少年の瞳の眩しさ瑞々しさ。匂いたつ映画として王兵↓も想起され。
"" https://x.com/pherim/status/1819380546767819127
『名前のない男』(无名者 ’09) https://x.com/pherim/status/1289853582498439169
『ヴァタ ~箱あるいは体~』
器を片手に、3人の男が遺骨を運ぶ旅へ出る。
『ギターマダガスカル』の亀井岳長編3作目。
道中で素朴な弦楽器から響き渡るなごみ楽曲良い。
箱みたいな楽器と箱の中の魂。
荒野のスロー進行から『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』も強烈に想起される。
"VATA" https://twitter.com/pherim/status/1612063171774394369
『ギターマダガスカル』https://twitter.com/pherim/status/639935388161675264
■イタリア映画祭
https://www.asahi.com/italia/2024/online.html
『天空のからだ』“Corpo Celeste”2011
帰郷しカトリック風土に戸惑う13歳少女を描くアリーチェ・ロルヴァケル初長編。
イタリア長靴の爪先レッジョ・カラブリアの風景描写が麗しい。終盤の非宗教的バプテスマに凄味。要所でキリストの怒りを説く神父の肉親役レナート・カルペンティエーリも利く。
"Corpo Celeste" https://x.com/pherim/status/1818085013428277690
『墓泥棒と失われた女神』 https://x.com/pherim/status/1809053584287543650
拙稿「光の糸が導くもの」 https://www.kirishin.com/2024/07/31/67682/
『夏をゆく人々』https://x.com/pherim/status/1818437470645895240
『幸福なラザロ』https://twitter.com/pherim/status/1117991307211751424
拙稿「【映画評】ラザロとは誰か 『幸福なラザロ』」https://www.kirishin.com/2019/04/19/24526/
『4つの道』“Quattro Strade” 2020 https://twitter.com/pherim/status/1403542537629966338
『カンツォーネ』“Una canzone”
歌を映像人類学的にリサーチする。複葉機と気球のカットで終えるのがいかにもアリーチェ・ロルヴァケルな短編2014年作。
昔は歌いながら友だちを訪れたものだ/歌は歌えるが歌詞は思い出さない等の言葉に“ぼくと魔法の言葉たち”も想起され。
"Una canzone" https://x.com/pherim/status/1819109643635118498
『ぼくと魔法の言葉たち』https://x.com/pherim/status/857419326491549696
『ゾンビ』“Zombie”
ハロウィンの夜、母親に導かれトリック・オア・トリートで開いた最初の扉の向こうにみたものは。
イタリアの町の教会前広場で仮装してはしゃぐ子どもたちの祭りテンションから一転する緩急が巧いジョルジョ・ディリッティ/Giorgio Diritti監督短編。世に恐ろしきは人間様よよ。
https://www.facebook.com/watch/?v=919756728836541
"Zombie" https://x.com/pherim/status/1817804201487114416
『ダークグラス』https://x.com/pherim/status/1641776048437346304
“IMAGINATION DRAGON” https://x.com/pherim/status/1421111507576713224
『デッド・ドント・ダイ』https://x.com/pherim/status/1243740637846896640
「ゾンビ」“Zombie”のタイトルそのものが醸す感興を変化球として活かす仕立てに、直近で読んだ佐藤亜紀『吸血鬼』の巧さも想起され。
→よみめも92 URL近日追記
『スーパーヒーローズ』“Supereroi”
愛する二人の関係変容そのものを瑞々しく描く、ありそうでない匠の技が際立つ、“おとなの事情”のパオロ・ジェノベーゼ監督作。
愛し合ってはいても、結婚や出産などお互いの人生ステージが噛み合わない状態からの、終盤の切なき昇華は文字通りに英雄譚のよう。
"Supereroi" https://x.com/pherim/status/1820210200676323684
『おとなの事情』https://x.com/pherim/status/841603527424147456
『COMET/コメット』https://x.com/pherim/status/1730969922682093667
『マルクスは待ってくれる』
マルコ・ベロッキオが、29歳で夭折した双子の弟の横顔に迫るドキュメンタリー。
一族が旧邸宅で勢揃いする冒頭場面からもう圧巻。寿命間近な人々の極めて明晰な回想の数々と、大量の写真群に欧州名家の底力を思い知らされる。 #イタリア映画祭
"Marx può aspettare/Marx Can Wait" https://x.com/pherim/status/1817185156387820025
『甘き人生』https://x.com/pherim/status/884021926313607168
拙稿 【映画評】『甘き人生』https://www.kirishin.com/2017/07/19/7678/
『シチリアーノ 裏切りの美学』https://x.com/pherim/status/1297420717789605890
『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』https://x.com/pherim/status/1784063390719279289
『ハイゼ家 百年』https://x.com/pherim/status/1378910745975431171
『存在しない南』
南イタリアの寂れた港町で魚屋を営む父娘。兄の死を信じない娘に手を焼く父もまた、息子の死を受け止めきれない。性同一障害 ボーダー気味の娘のかこつ、浮遊しつつガサつくリアル感覚が、娘へ想い寄せるチャラ男や頑固な父へ浸透しゆく様に沁み入る。
"Il sud è niente/South is Nothing" https://x.com/pherim/status/1260902528591355905
南には何もねぇ、って題名の一刀両断ぶりも清々しい“Il sud è niente”、印象的なのが父娘の働くパステルブルーの魚屋描写で、タラっぽい白身をぶった切り干物を戻したり。個人的にベネチアで美術学ぶクロアチア娘に連行されたタベルナ魚料理の極旨下町味も思い起こされ。父の忍者好きを力説された夜。
“Il sud è niente”で父演じるVinicio Marchioniは『トスカーナの幸せレシピ』(Quanto Basta)のシェフ役。訳あり人生を背負いつつ、特異な心性を抱えた若者と対峙する点とても近しく。娘役Miriam Karlkvistは初見、抑圧下の日常とダンスによる不意の解放場面の鮮烈コントラスト
『トスカーナの幸せレシピ』https://x.com/pherim/status/1180709309849600003
■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)
『薬屋のひとりごと』
下女として後宮に売られた少女が、特異な生い立ちから天性の薬師の才能と強靭な対毒性をもつことに始まる宮廷ミステリー物良作。
少女=猫猫(マオマオ)を気にかけるイケメン宦官=壬氏の謎に満ちた出自が、各話ごと徐々に明かされる仕掛けも利いて飽きさせない。長く続いてplz.
"" https://x.com/pherim/status/1822176744662581417
『狼と香辛料』『葬送のフリーレン』https://x.com/pherim/status/1482631143631785985
余談。
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シビル・ウォー アメリカ最後の日
南 by シャンタル・アケルマン
無言の丘
悪は存在しない
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エンドレス・サマー remaster
時々、私は考える
バナナパラダイス
村と爆弾
愛に乱暴
次点: Futura お母さんが一緒♨
番外: 鎌倉殿の13人 地面師たち
おしまい。
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