pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2024年
08月12日
12:20

ふぃるめも319 第36回東京国際映画祭《1》 コンペティション&アジアの未来

 
 

 今回は、第36回東京国際映画祭(2023年10月23日~11月1日開催)コンペティション部門とアジアの未来部門上映作から12作品を扱います。(含再掲2作)

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第319弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■コンペティション部門
 https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...
 
『タタミ』
決勝でイスラエル選手と当たるから棄権しろ、というイラン政府の命令に背き勝ち進む女性柔道家。
“聖地には蜘蛛が巣を張る”主演のイラン人俳優Zar Amir Ebrahimiが選手を諌める訳ありコーチ役と、“SKIN”のイスラエル人監督Guy Nattivとの共同監督を兼任。端正な緊迫感を醸すモノクロ映像が強い。

"Tatami" https://x.com/pherim/status/1822832343968821552

『聖地には蜘蛛が巣を張る』https://x.com/pherim/status/1645620813641682944
『SKIN/スキン』https://x.com/pherim/status/1272364043370553346





『鳥たちへの説教』“Quşlara Xütbə”
アゼルバイジャンの森奥で、戦争の気配に苛まれる男女。小川のせせらぎ、遠い雷鳴、夜更けの鳥歌。朽ちた教会廃墟らしき壁や窓へ響く銃声。
“Sermon to the Fish”(2022)に続く説教三部作の二作目、ヒラル・バイダロフの我が道をゆく足跡にただ痺れ、畏れ入る。

"Quşlara Xütbə/Sermon to the Birds" https://x.com/pherim/status/1813782243602829780

『死ぬ間際』 “In Between Dying”https://x.com/pherim/status/1343369674998759424
『クレーン・ランタン』https://x.com/pherim/status/1607210503297970184

『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』https://x.com/pherim/status/1217643668515033089
『ある女優の不在』https://x.com/pherim/status/1200988434304626689





『ゴンドラ』 Gondola
中空ですれ違う一瞬こそ運命の分水嶺。
ジョージア絶景を背後にくり広げられる謎のゴンドラ対決、延々マジメ顔のユーモラス無言劇に心ほどけるThe Bra↑のファイト・ヘルマー監督作。
陽の当たる町他、ゴンドラ物なる風景映画新ジャンル爆誕の由。

"Gondola" https://x.com/pherim/status/1813043721560289329

『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』https://x.com/pherim/status/1217643668515033089
『コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って』 “Кош-ба-кош” https://x.com/pherim/status/1664194622283816960
『陽の当たる町』https://x.com/pherim/status/878035710124609536





『エア』“Воздух”
女性パイロット視点で独ソ戦を物語る快作。
性能/練度に優るメッサーシュミット相手の空戦と、スターリングラード包囲時の地上戦描写が凄まじい。
枯色調の映像美はアレクセイ・ゲルマンJr前作に連なり、戦下のエルミタージュまで映す重厚さに眩暈さえ。

"Воздух" https://twitter.com/pherim/status/1717888447938171050

『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』https://twitter.com/pherim/status/1272723826460094465
『戦争と女の顔』https://twitter.com/pherim/status/1547563782066487296
拙稿「ルーシの呼び声3」http://www.kirishin.com/2022/07/06/55065/





『正欲』
突き抜けた性的《超絶》マイノリティを演じる新垣結衣&磯村勇斗 の凄演。
そして二人の生存を賭けた共闘の前に立ちはだかる稲垣吾郎 演じる、“常識”を極限まで研ぎ澄ませた狂気で自らの家庭を喰い破る検事がまたヤバい。朝井リョウ原作を躍動させる岸善幸監督&港岳彦脚本の秀逸。

"" https://twitter.com/pherim/status/1716974214086013364

『街の上で』https://twitter.com/pherim/status/1378335473408466948
『半世界』https://twitter.com/pherim/status/1094526964944097281


#東京国際映画祭、あす発表の賞レースで一つこれはほぼ確と予想できるのが、『正欲』の観客賞受賞です。
去年の観客賞は『窓辺にて』(前ツイ引用RT↑)、一昨年は『ちょっと思い出しただけ』(↓)。この流れはまぁ固いかなと。それにしても稲垣吾郎 の誘引力よよ。 #TIFFJP

『ちょっと思い出しただけ』https://twitter.com/pherim/status/1466739196845260810

『正欲』観客賞決定!
おめでとうございます〜




『西湖畔に生きる』“草木人间”
マルチ商法に嵌る家族の末路が、杭州の絶景を背に描かれる意欲作。
傑作絵巻『春江水暖』で鮮烈デビューした顧曉剛/グー・シャオガン2作目は、風景主体の水平長回し画をそのままに、現代都市で苛烈に渦巻く欲望の嵐をも正面から直に見据える。狂いゆく母の沸騰ヤバい。

"草木人间" "Dwelling In The Fuchun Mountains" https://x.com/pherim/status/1745775915492343974

顧曉剛1作目『春江水暖~しゅんこうすいだん』https://x.com/pherim/status/1357526291998674944
拙稿「中国、その想像力の行方と現代」https://www.kirishin.com/2019/11/27/39116/





『開拓者たち』“Los colonos”
パタゴニアで領主に雇われ旅に出た混血青年は、旅が測量でなく虐殺目的と知り決断を迫られる。
絶景を後ろ背に淡々と進行するマカロニ・ウェスタン調&ノワール展開で魅せる、フエゴ島ロケ眼福この上なきフェリペ・ガルベス初長編、堪能。

"Los colonos/The Settlers" https://x.com/pherim/status/1829693543742632063

ヘルツォーク『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』https://x.com/pherim/status/1532708051895349248
パトリシオ・グスマン『真珠のボタン』https://x.com/pherim/status/712830494564442112





■アジアの未来部門
 https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...
 
『相撲ディーディー』
インド初の女性力士がどすこい踏ん張る。
実在する女子相撲選手Hetal Daveの立身から日本デビューまで。コミカル演出を含め前半ダンガル味を感覚するも、日本での修業へ挑むくだりからジェンダー差別や文化摩擦も加わる加熱ぶり。
娘思い揺れる母の心情描写も魅せる。

"Sumo Didi" https://x.com/pherim/status/1822968377188786575

『ダンガル きっと、つよくなる』https://x.com/pherim/status/981333810804436992




『離れていても』“但願人長久”
香港へ湖南から移住した父娘の1997年、2007年、2017年。
薬物依存に堕ち収監をくり返す父を見つめる思春期&見守る成人後の娘の目線が切ない。成人後の娘を演じる祝紫嫣監督、家族描写に2019年以後への思い忍ばせるこれは香港映画人真実の声。

"Fly Me to the Moon" "但願人長久" https://x.com/pherim/status/1830847405106876667

香港映画2019年現地取材スレ https://x.com/pherim/status/1164392972420386816
『Blue Island 憂鬱之島』https://x.com/pherim/status/1535481191482085376
拙稿「決断する若者たち 『Blue Island 憂鬱之島』チャン・ジーウン監督インタビュー」https://www.kirishin.com/2022/07/14/55198/





『レッドライフ』“เรดไลฟ์” Netflix
バンコクの闇社会に生きる若者たち描く重厚作。
母の売春、常習化した恐喝、浮き上がれない底辺暮らし。ナワポンの洒落っ気もタイ・エンタメの軽躁感からも遠いこの質実バンコク描写は珍しい。
エカラック・ガンナソーン/Ekalak Klunson、注目監督またひとり。

"Redlife" "เรดไลฟ์" https://x.com/pherim/status/1828380042604486776

『卒業 〜Tell the World I Love You〜』https://x.com/pherim/status/1693460142640247226
『プアン/友だちと呼ばせて』https://x.com/pherim/status/1553354651734806529
『FARANG/ファラン』https://x.com/pherim/status/1794359825335570613





『違う惑星の変な恋人』
クセの強めな男女4人が、片思い矢印の円環を描く四角関係。
テンポの良い舞台劇を観るような感覚は、『階段の先には踊り場がある』に通じる木村聡志監督作。綱啓永演じる挙動不審青年が変すぎて気になる。みらん熱演。なぜ惹かれるのか共感不能の片思いも登場するけどご愛嬌、落ち着きそうで決着しない恋模様の連鎖が延々楽しい。

"" https://twitter.com/pherim/status/1750906940312703058

『階段の先には踊り場がある』https://twitter.com/pherim/status/1504790190203699202
『もっと超越した所へ。』https://twitter.com/pherim/status/1580404605380595713
『窓辺にて』https://twitter.com/pherim/status/1587236575834157056






 余談。またもや一年越しになりかけてるTIFFふぃるめも。せめて8月中に完結したう。





おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh

コメント

2024年
08月12日
19:55

ゴンドラ 良すぎです

2024年
08月12日
22:12




この監督の作品はことばの台詞なくても最後まで飽きさせないのも素敵ですね。
前作『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』は、U-Nextとアマプラに来てました。ご興味あればぜひ~(/・ω・)/

2024年
08月13日
01:19

ありがとうございます!

2024年
08月14日
21:20

今秋11/1から全国公開の模様です!ヽ(`▽´)/
https://x.com/gondola_jp

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