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　今回は、10月13日～10月27日の日本上映開始作から、10作品を扱います。（含配信ドキュメンタリー1シーズン/再掲1作）

　※10月13日公開作『オペレーション・フォーチュン』10月27日公開作『ドミノ』については次々回扱います。

　タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第282弾です。強烈オススメは緑、超絶オススメは青で太字強調しています。（2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。）


　
■10月13日公開作

『くるりのえいが』
1996年京都での結成メンバー森信行が合流した新作アルバム制作日乗。
ゆるりと肩の力が抜ける、ほのぼの模様和む。学生時代から知る間柄ゆえの自然体なムードから新曲“In Your Life”が析出される流れは淡々として質実、味わい深い。細野晴臣SAYONARA AMERICAの佐渡岳利監督作。

"" https://twitter.com/pherim/status/1713746295238901795　
　
　
　

『アアルト』“AALTO”
フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトの生涯。
北欧デザインの粋をみるかのようなスツール60からルイ・カレ邸まで代表作を概観しつつ、妻アイノの貢献を表層に留まらず、創発性の深部にまで読みとる試みが魅せる。
MIT学舎などアメリカ在住期との対照も鮮やかで興味深い。

"AALTO" https://twitter.com/pherim/status/1711580724640514552

《サーリネンとフィンランドの美しい建築》https://twitter.com/pherim/status/1439130834410246147
『ガール・ピクチャー』“Tytöt tytöt tytöt” https://twitter.com/pherim/status/1643221580510806017
『コンパートメントNo.6』https://twitter.com/pherim/status/1639186536792199169




『春画先生』
禁欲的に春画の復興を志す研究者と、内に情熱秘める娘が出逢いスパークする。
塩田明彦監督作だけあり、幾重にもひねりの加わる演出が小気味よく決まり続けて飽きさせない。
主演/内野聖陽&北香那の熱演は元より、編集者役/柄本佑と亡妻の姉役/安達祐実の機知に富む演技も良スパイス。

"" https://twitter.com/pherim/status/1712305605942411638　
　
『手』https://twitter.com/pherim/status/1569655523016056835


　
　
『シック・オブ・マイセルフ』“Syk pike”
注目を浴びたいわたし、と彼氏の成功への嫉妬が悪魔合体して加速する。
強烈な承認欲求が、自らを傷つける痛みを余裕で上回り続ける描写が凄まじくも恐ろしい。恐ろしいが人間ってこうだよねと納得される、『わたしは最悪。』をより尖らせた北欧奇譚怪作。

"Syk pike" "Sick of Myself" https://twitter.com/pherim/status/1711920935803179406　

『わたしは最悪。』https://twitter.com/pherim/status/1542346409625604097
『スウェット』https://twitter.com/pherim/status/1459876367869231107

※脇役出演アンデルシュ・ダニエルセン・リーについてなど追記するかもー




■10月14日公開作

『ヨーロッパ新世紀』“R.M.N.”
トランシルヴァニアの僻村。息子を強く育てたい若パパと、相続したパン工場の延命図る元恋人女性。
クリスティアン・ムンジウ重量級の力技で、山里の閉鎖環境を描くスリラー展開の下、村八分の機制に移民と地球経済が絡みゆく。自然破壊/医療問題等々てんこ盛り。

"R.M.N." https://twitter.com/pherim/status/1712455000595791986

R.M.N.』では、山中の僻村を生きる男女すらもが、もはやグローバル経済と直に接続した生を全うする“しかない”光景が描かれる。
誰もが無自覚に己の奴隷化を志す様は、ブリューゲル《雪中の狩人》で使役され狩られる動物に近く、人間からすでに遠い。ムンジウの炯眼と“Olanda”、狩猟採集と市場経済。　

『エリザのために』https://twitter.com/pherim/status/825142440453558272
“Olanda” https://twitter.com/pherim/status/1244200744804159489
『バイク泥棒』https://twitter.com/pherim/status/1337231189459968002
『コレクティブ　国家の嘘』https://twitter.com/pherim/status/1443563926021566468

上位概念との連環が表象されがち（な作品が連想されがち）ルーマニアなど。




■10月20日公開作

『私はモーリーン・カーニー　正義を殺すのは誰？』
イザベル・ユペールが、フランス原子力企業の労組代表を演じ、レイプされながら自演と決めつける警察と闘い抜く実録物。
口を真一文字に閉ざして一人立つ女の強靭さにより国家級スキャンダルが暴かれゆく様は、まさに『エリン・ブロコビッチ』フランス版。

"La syndicaliste" "The Sitting Duck" https://twitter.com/pherim/status/1714469927246311664

『エル』https://twitter.com/pherim/status/905443824511574016
『エヴァ』https://twitter.com/pherim/status/1014065479042752513




『カンダハル 突破せよ』
イラン+アフガンから決死の脱出行。
タリバン/IS/イラン精鋭/パキ情報部など入り乱れ、通訳とのバディ感など見応えあり。
ジェラルド・バトラー主演xリック・ローマン・ウォー監督タッグ3作目で、前作『グリーンランド 地球最後の2日間』単体は微妙だけどこの流れは新世紀的で面白く続いて欲しい。

"Kandahar" https://twitter.com/pherim/status/1714999774859133280

『グリーンランド 地球最後の2日間』https://twitter.com/pherim/status/1540169886827040769
『ホース・ソルジャー』https://twitter.com/pherim/status/992245287245594630
『ウォー・マシーン：戦争は話術だ！』https://twitter.com/pherim/status/1443520703643340802




『悪い子バビー』“BAD BOY BUBBY”1994
35歳まで毒母に監禁された男の瞳に映る、
音と光と暴力に充ちた世界のリアル。
どこでも変人扱いされる主人公の内に純粋無垢を見いだす人々の抱える切なさ。現代社会を裏返す目線がロックのNew Wave潮流へ雪崩れ込む痛快さ。
※猫好きには過酷な場面あり。

"BAD BOY BUBBY" https://twitter.com/pherim/status/1715524424345305480

『ルーム』https://twitter.com/pherim/status/717280334274887680
『アル中女の肖像』https://twitter.com/pherim/status/1691463421039095808
『夜明け前のうた　消された沖縄の障害者』https://twitter.com/pherim/status/1488511461630816261

　


■10月27日公開作

『トンソン荘事件の記録』
90年代に封印された、釜山の旅館で起きた惨事を撮るビデオテープ。のち被疑者の自殺をきっかけに検事の間で「何か映ってる」と話題になり謎解き始まる。
ファウンド・フッテージ物で、Jホラーに呪詛風味を加え東アジアン怪談テイストを編みだす韓流エンタメの巧さ光る。

"마루이 비디오" "Marui Video" https://twitter.com/pherim/status/1717694049451438214

『呪詛』“咒”https://twitter.com/pherim/status/1550755815161602048
『女神の継承』https://twitter.com/pherim/status/1550454518621450240
『この動画は再生できません』https://twitter.com/pherim/status/1599018646244061184




■VOD配信/TV放映作（非劇場公開作）

“Limitless”『リミットレス with クリス・ヘムズワース』Disney+
ちょいちょい雷神ソー扱いされるクリヘムが、生とは何かを見つめ直す。
ナショジオ系エクストリーム極地体験物かと思いきや質実の章立てで、絶景下に生老病死を駆け抜ける。
流石のダーレン・アロノフスキー総監督、画と音が無闇に凄い。

"Limitless" https://twitter.com/pherim/status/1698530498308722743

50年加齢メイクしたリアル妻との邂逅とか、予想外にぐっときて切ない。など追記するかもー。

『ザ・ホエール』https://twitter.com/pherim/status/1641230003202588673
『ノア　約束の舟』https://twitter.com/pherim/status/1642136449561825287
『マザー！』https://twitter.com/pherim/status/925203162281123840

『タイラー・レイク 命の奪還』https://twitter.com/pherim/status/1260789617160142848　





　余談。時間がないとか、お金がない、ということについて再考を迫られる秋。ないないと思いながら金沢には行けているのだし、あればあったで歩むのかもしれない別の人生を考えたりしたがるから余計に時間がなくなるのではという素朴な疑問、とか。





おしまい。
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