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　今回は、1月27日～2月9日の日本上映開始作を中心に10作品を扱います。

　タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第296弾です。強烈オススメは緑、超絶オススメは青で太字強調しています。（2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。）



■1月27日公開作

『その鼓動に耳をあてよ』
“断らない救急”を掲げる、名古屋掖済会病院ERの沸騰日常。
専門医から軽視される救急医の葛藤、コロナ禍満床下の決断など見処満載。ドキュメンタリーの雄・東海テレビ堂々の珠玉作で、やり甲斐や使命感と“現実”との間で葛藤する研修医の決心など、構成が巧すぎて泣く。

"" https://twitter.com/pherim/status/1752979692737761406

試写当日ツイ：https://twitter.com/pherim/status/1745376720327434298
『さよならテレビ』https://twitter.com/pherim/status/1208937086587269120
『ヤクザと憲法』https://twitter.com/pherim/status/676339757610237952
『おかえり　ただいま』https://twitter.com/pherim/status/1305333676264185856

『ER緊急救命室』連ツイ https://twitter.com/pherim/status/1191538609909710848



　
■2月2日公開作

『ダム・マネー　ウォール街を狙え！』
平凡な動画配信者が、低所得層の支持を広げ大手ヘッジファンドを倒す“革命”を描く実録物。
ポール・ダノが、ゲームソフト実売店の株を“好きだから”と買い支えるギーク青年を熱演。その主張に希望を抱いた人々と、軽視して大損する富裕層の対照描写が面白い。

"Dumb Money" https://twitter.com/pherim/status/1751957819635691583

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』https://twitter.com/pherim/status/438262423573651456
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』https://twitter.com/pherim/status/704861652395503616
『ゴールド　金塊の行方』https://twitter.com/pherim/status/880217829860978688
『スイス・アーミー・マン』https://twitter.com/pherim/status/1310198266785456132




『熱のあとに』
愛するホストを刺した女が、出所後“ふつうの生活”を試みるも、ホストの妻が現れ愛炎上、情念地獄へ。
常に直滑降なこの橋本愛、『美しい星』の橋本愛だよ最高でした。お見合いでザリガニをエビと勘違いして貪る仲野太賀と、快活さの内に不気味さ覗かせる木竜麻生がまた絶妙な山本英監督秀作。

"After the Fever" https://twitter.com/pherim/status/1751484003079594090

『美しい星』https://twitter.com/pherim/status/861960664968904705

拙稿『美しい星』をめぐり書きました。https://www.kirishin.com/2017/06/27/6841/

『生きちゃった』https://twitter.com/pherim/status/1311139914558259200
『わたし達はおとな』https://twitter.com/pherim/status/1534869984719302656




■2月9日公開作

『風よ　あらしよ』
伊藤野枝(吉高由里子)、“元始、女性は太陽であった”の平塚らいてう青踏社を継ぐ生き様まさに灼熱。
関東大震災直後を描く終盤で、野枝の恋人・大杉栄を永山瑛太が演じて『福田村事件』との地続き感すごい。村山由佳原作で、稲垣吾郎のダメ夫ぶり相変わらず面白くて安定。

"" https://twitter.com/pherim/status/1757661726735319546

「権力を嵩にきたあなたたちは、わたしたちより弱い」
（伊藤野枝が大杉栄勾留に抗議して書いた内務大臣への手紙より）

『福田村事件』https://twitter.com/pherim/status/1696093440801689666
『正欲』https://twitter.com/pherim/status/1716974214086013364
『窓辺にて』https://twitter.com/pherim/status/1587236575834157056




『瞳をとじて』
映画撮影中に失踪した主演俳優の謎追うTV企画のもと、意外な変貌を遂げた俳優と監督とが22年後に再会する。
ビクトル・エリセ31年ぶりの長編は、劇中作に『ミツバチのささやき』の余韻を湛え、折り重なる視線により超個人化された現代への風刺を利かせた設えの厚みに驚かされる。

"Cerrar los ojos／Close Your Eyes" https://twitter.com/pherim/status/1756844623300096054

『ミツバチのささやき』https://twitter.com/pherim/status/1358425235066789893




『一月の声に歓びを刻め』
幼少時の傷と、家族の変容、罪と赦し。
洞爺湖中島、八丈島、大阪堂島。
47年前の性暴力被害と向き合う三島有紀子監督新作は、水面が死と生を繋ぎ橋が心を架橋する。
前田敦子の痛切な絶唱に、黒沢清『旅のおわり世界のはじまり』も想起された。

"" https://twitter.com/pherim/status/1755595226050330917

三島有紀子監督作スレ(『Red』など現在6作)：https://twitter.com/pherim/status/1226711689493504001

拙稿「橋上にひびく水音　『一月の声に歓びを刻め』三島有紀子監督インタビュー」
https://www.kirishin.com/2024/02/09/64849/




『ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ デジタルリマスター』デジタルリマスター
36歳で逝ったボブ・マーリー、1979年7月母国でのLASTライヴ。その熱狂とスラム街の混沌、ガンジャとラスタファリアニズム。登場する人々の語りも興味深い。rebel music=反逆の音楽、その精髄。

"Bob Marley Last Live In Jamaica Reggae Sunsplash"

『サマー・オブ・ソウル (あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』https://twitter.com/pherim/status/1428188033329758213
『リバイバル69 ～伝説のロックフェス～』https://twitter.com/pherim/status/1710119253553418303




『梟ーフクロウー』
盲目の鍼師が、王子暗殺の秘密を“目撃”する。
真実が転変する東洋医学ギミックが異様に面白く、傑作『薬屋のひとりごと』を大作実写化した観さえ。
南漢山城で煮え湯を呑んだ仁祖の晩年描く陰謀劇で、王を抑える重臣の姿に『天命の城』が想起され、李朝物系譜を更新する秀作。

"올빼미／The Owl" https://twitter.com/pherim/status/1752258582446481651

『天命の城』 https://twitter.com/pherim/status/1011217544605155328
『世宗大王　星を追う者たち』 https://twitter.com/pherim/status/1299178389241176065

拙稿『王の願い　ハングルの始まり』https://www.kirishin.com/2021/06/24/49540/

拙稿『茲山魚譜-チャサンオボ-』https://www.kirishin.com/2021/11/19/51548/




■VOD配信/TV放映作（非劇場公開作）

『ノーウェア：漂流』
難民の妊婦が隠れるコンテナが、嵐で海へ落ちて始まる洋上閉鎖系サバイバル。
近くを漂流していた夫の隠れるコンテナが沈みだし聴こえる阿鼻叫喚、そして激しくなる陣痛。物資を工夫し排水とか、基盤を分解し手術し電線編んで漁始めたり、ギミック使いが延々楽しい。

"Nowhere" https://twitter.com/pherim/status/1746139389393322143

『海は燃えている』https://twitter.com/pherim/status/1708747036139626624
『オール・イズ・ロスト～最後の手紙』https://twitter.com/pherim/status/436748734508978176
"Adrift" https://twitter.com/pherim/status/1029716048033939457
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』https://twitter.com/pherim/status/310193990077132800
『雪山の絆』https://twitter.com/pherim/status/1745655094002229546




■国内過去公開作（含映画祭上映作）

『流転の地球』“流浪地球”
太陽の超速膨張が確実となり、各地に巨大なジェットエンジンを設置、地球ごと別の恒星系への引っ越し決める人類。
劉慈欣原作で、三体ばりの気宇壮大さがもうヤバい。さまよえる地球の行方、面白いけど超スケールすぎて後半飽和するのはご愛嬌。

"流浪地球／The Wandering Earth" https://twitter.com/pherim/status/1751566396256080238

劉慈欣『三体』https://twitter.com/pherim/status/1751566396256080238
『三体』文革描写と張芸謀 https://twitter.com/pherim/status/1571708742173077504
『芳華-Youth-』https://twitter.com/pherim/status/1114084747435622400

拙稿「中国、その想像力の行方と現代」https://www.kirishin.com/2019/11/27/39116/


　


　余談。新作『一月の声に歓びを刻め』が公開中の初見の三島有紀子監督過去作のうち初見5作他について次回扱う予定です。





おしまい。
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