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　今回は、第36回東京国際映画祭(2023年10月23日～11月1日開催)ガラ・セレクション部門とTIFFユース部門上映作、OP&ED上映作などから14作品を扱います。（含再掲6作）

　タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第324弾です。強烈オススメは緑、超絶オススメは青で太字強調しています。（2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。）


　
■オープニング
　https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?departments=...
　
『PERFECT DAYS』
いい映画を観た満足感しか。
ヴィム・ヴェンダース新作は、時間と音楽の濃厚な豊醇作。役所広司演じる公衆トイレ清掃人が、市井の哲人と化し東京の今を質実に映しだす。
田中泯の端役はベルリン天使だし、夜の首都高で“パリ、テキサス”＆“東京画”を更新する衰えなき膂力に震撼。

"PERFECT DAYS" https://twitter.com/pherim/status/1716408130580648080

『世界の涯ての鼓動』https://twitter.com/pherim/status/1154990468775567361
ヴェンダース近作を巡って：http://www.kirishin.com/2019/07/30/27641/




■ガラ・セレクション
　https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?departments=...
　
『エクソシスト　信じる者』
ふたりの娘に憑依する悪魔との戦い。
元祖“The Exorcist”(1973)で主人公を演じたエレン・バースティンが、50年の歳を重ねた同一女性として出演。
ハイチ地震を生き抜いた父娘を中心に据え、インド系神父が奮戦するなど、ハロウィン3部作の監督が構成の重厚さで魅せる。

"The Exorcist: Believer" https://twitter.com/pherim/status/1728382856328777728

『ヴァチカンのエクソシスト』https://twitter.com/pherim/status/1678010350745296897
『悪魔祓い、聖なる儀式』https://twitter.com/pherim/status/929205047874875392
アンソニー・ホプキンス『ザ・ライト -エクソシストの真実-』
https://twitter.com/pherim/status/1678735415069802497

エクソシスト系映画について書きました。http://www.kirishin.com/2023/07/13/61236/




『ムービー・エンペラー』“紅毯先生”
香港映画スターが、イメージ刷新のため豚を飼う農民役へ挑む、業界内幕物コメディ秀作。
アンディ・ラウ/劉徳華プロデュース兼任、香港映画人脈の大陸への拡散&吸収下たどる軌跡が唯一無二で見逃せない。本人役出演ニン・ハオ/宁浩監督の構えも気になる存在。

"紅毯先生" "The Movie Emperor" https://x.com/pherim/status/1833703048608461145

『バーニング・ダウン　爆発都市』(拆彈專家2) https://x.com/pherim/status/1505877972074389504
『ショック ウェイブ 爆弾処理班』(拆彈專家) https://x.com/pherim/status/1504372986719002628
『我が心の香港 映画監督アン・ホイ』https://x.com/pherim/status/1452828905803423745
『花椒(ホアジャオ)の味』https://x.com/pherim/status/1455170718144950272

※『我が心の香港 映画監督アン・ホイ』での「香港スターである俺をこう使ってくれ」というアンディ・ラウ/劉徳華の発言をめぐり追記するかも～

拙稿「【映画評】香港の心のゆくえ」 https://www.kirishin.com/2021/11/06/51385/




『エドガルド・モルターラ　ある少年の数奇な運命』“Kidnapped”
ローマ教会が、攫ったユダヤ人の子をクリスチャンとして育て、生家への帰還を本人が拒んで聖職者となった事件を描くマルコ・ベロッキオ監督新作。
無自覚の差別意識が全編を貫き、いい人こそ丸出しにしてくる姿に自身の滞伊体験も想起されつらたん。

"Rapito" "Kidnapped" https://twitter.com/pherim/status/1784063390719279289

『シチリアーノ　裏切りの美学』https://twitter.com/pherim/status/1297420717789605890
『甘き人生』https://twitter.com/pherim/status/884021926313607168

拙稿「【映画評】与えられる答えでなく問い続ける姿勢」https://www.kirishin.com/2017/07/19/7678/

『マルクスは待ってくれる』
https://mubi.com/en/films/marx-puo-aspettare/player




『ゴールド・ボーイ』
殺人を目撃した少年&少女が犯人を脅迫する。
青春タッチをからめ進行するクライムサスペンス。DV義父を刺した娘(星乃あんな)と逃避行するサイコパス少年(羽村仁成)vsシリアスキラー青年(岡田将生)の構図が絶妙に面白い。
金子修介監督(百合の雨音)&港岳彦脚本(正欲)、重畳。

"Gold Boy" https://twitter.com/pherim/status/1767754416235659499

『百合の雨音』https://twitter.com/pherim/status/1581252771017527297
『正欲』https://twitter.com/pherim/status/1716974214086013364




『満江紅／マンジャンホン』
チャン・イーモウ/張芸謀新作は、匠の技を感じさせる宮廷陰謀物。
南宋の名将/岳飛の詩「満江紅」に基づく本作では、崖上のスパイ(↑)の謀略濃度が羅生門級の閉鎖空間へと結晶、同じ史劇でもグレートウォールより全然楽しい。日本公開待たれる。

"Full River Red" "满江红" https://x.com/pherim/status/1829158789398048920

『崖上のスパイ』悬崖之上 https://x.com/pherim/status/1622114361195241472
『グレートウォール』https://x.com/pherim/status/853192183314235393
『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』https://x.com/pherim/status/1525790703917604865

岳飛と秦檜の扱いをめぐる監督Q&Aが興味深い。
Q. 主戦派の岳飛を謀殺した秦檜は、講和を図った点で業績もあるが映画では完全に悪役、なぜ？
A. 岳飛の詩「満江紅」は中国なら誰でも知っており、史的評価より誰からも愛されるようになった過程こそが描きたいテーマだった。




『緑の夜』
韓国の港で保安検査員として働く女が、奔放な“緑髪の女”との出逢いを経て、暴力夫から離れ永住権獲得を模索する。
黄海を隔てた中韓の距離で描き出される異国感と、浮遊する夜の映像に見入る。『アデル、ブルーは熱い色』の青が緑へ転化したような役を軽快に演じるイ・ジュヨン秀逸。

"绿夜／Green Night" https://x.com/pherim/status/1747971822463922644

『アデル、ブルーは熱い色』https://twitter.com/pherim/status/481941763204993024
『なまず』(메기/ Maggie) https://twitter.com/pherim/status/1551532603877888003
『ベイビー・ブローカー』https://twitter.com/pherim/status/1533292692117295104




■台湾電影ルネッサンス2023（ワールドフォーカス内）
　https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?departments=...
　
『青春の反抗』
学園紛争下の美大生3人が描く闘争と恋慕の軌跡。
戒厳令解除後1994年を描く下地に、2014年太陽花學運以降の台湾社会風刺が利く点で、雨傘以後の香港若手監督作に通じる強靭さあり。
それ以上に、同性愛描写含む映像の洗練はデレク・ツァンを想わせ、蘇奕瑄監督の今後が気になる。

"青春並不溫柔／Who'll Stop the Rain" https://x.com/pherim/status/1830146344134357004　　
　
香港若手監督作スレ https://x.com/pherim/status/1161096555153088512
『ソウルメイト／七月と安生』https://x.com/pherim/status/1408610863716519938
『少年の君』https://x.com/pherim/status/1417815421760114689




『ミス・シャンプー』“請問，還有哪裡需要加強”
刺されて駆け込んだ美容院で恋に堕ちるヤクザと美容師、という謎とり合わせが滅茶ハマった珍傑作。
野球大ファン娘演じるビビアン・ソン/宋芸樺がひたすらかわいいギデンズ・コー監督新作で、TIFFで観たラブコメでは過去イチ級に笑ったし感動したけど配信スルーの怪。

"請問，還有哪裡需要加強" https://x.com/pherim/status/1828027977713717655

『私の少女時代 Our Times』https://x.com/pherim/status/801706241877622784
『キャラメル』“سكر بنات” https://x.com/pherim/status/1646323269866508288




■アニメーション部門
　https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?departments=...
　
『駒田蒸留所へようこそ』
実家の蒸留所を継いだ女若社長が、災害で失われた幻のウイスキー《KOMA》の味復元に奮闘する。
『SHIROBAKO』他お仕事系アニメの実績豊富なP.A.WORKS制作だけあり質実安定。味と香りという非視聴覚テーマを再現する醸造工程は秀逸。終幕後飲みたくなること必定の逸品。

"" https://twitter.com/pherim/status/1722449527163301968　
　
『ジョージア、ワインが生まれたところ』https://twitter.com/pherim/status/1186190554951872512
『ワイン・コーリング』https://twitter.com/pherim/status/1187925110482620416




『音楽』
単調な日々から不意に始まる熱き青春。
全く楽器に無知な3人が次第にのめり込み、感覚だけを頼りにどんどんハマり、とまらない怒涛と化す加速度描写も鮮やかな岩井澤健治監督作。
瞳の描線など一見雑にみせながら、手の込んだヘタウマ演出が飽きさせない。大橋裕之原作&ドレスコーズ音楽。

"" https://x.com/pherim/status/1834211189137805486

『山』2010 https://twitter.com/pherim/status/1504454305880809476




■TIFFユース部門
　https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?departments=...
　
『白い小船』“A Song Sung Blue”
父の元へ預けられた内気少女が、魅力的な年上女性に惹かれて過ごす瑞々しきひと夏。
中国東北部ハルビンの無骨な街景や、医師の母がアフリカへ赴任し、ファムファタル姐は韓国へ出稼ぎへという朝鮮族コミュニティ描写も興味深いゴン・ズーハン/耿子涵監督作。

"A Song Sung Blue" "小白船" https://x.com/pherim/status/1831884284095086633

『はちどり』https://x.com/pherim/status/1273938550992433157




■スターチャンネル Presents 特別上映
　https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3611SPS05

『ＪＦＫ/新証言　知られざる陰謀【劇場版】』
オリヴァー・ストーン監督新作。
陰謀説と表現しながら複数犯説を真実として扱うしぶとさがいかにもO.Stone翁、2024年米大統領選出馬予定のロバート・ケネディJr.出演は生々しい。ケヴィン・コスナー“JFK”引用も多く、硬派に見せつつサービス満点。

"JFK Revisited: Through the Looking Glass" https://twitter.com/pherim/status/1724719167331516542

『ジャッキー　ファーストレディ 最後の使命』https://twitter.com/pherim/status/847651120251977732
『LBJ ケネディの意志を継いだ男』https://twitter.com/pherim/status/1047072943803645959
『カーライル　ニューヨークが恋したホテル』https://twitter.com/pherim/status/1157120414226583553




■クロージング
　https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?departments=...

『ゴジラ-1.0』
シン・ゴジラは賑やかしに過ぎなかった、と思える本格ゴジラ劇。
旧海軍兵らの誇りと、大戦を生き抜いた人々の強靭さが海から襲い来る“奴”と激突する。
米軍はソ連を怖がり対処不能、巡洋艦高雄や幻の日本海軍機・震電が乱舞する仕立て最高、戦後東京の再現ほか全編眼福の超怪作。

"" https://twitter.com/pherim/status/1719688998392865224

シン・ゴジラ バンコク上陸ツイ: https://twitter.com/pherim/status/788348355709591552
震電 in 押井守『スカイクロラ』https://x.com/pherim/status/837682064757411840
『沖縄の民』https://twitter.com/pherim/status/1533842851179933696

　

　

　余談。まぁ9月になってしまったよ。10ヶ月遅れになってしまう病アゲインだけど、意外に覚えてるもんだなっておもう。一作品だけ、思い出せないうえにぜひもう一度観たいっておもうのがあり、『私たちの世界』Phantom Youth [Bota Jonë] by ルアナ・バイラミ、メモ書きまで。

　きょうさっき、次のTIFFプレスパス申請開始のメール来てました。来ちゃった。





おしまい。
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