pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2024年
08月29日
17:13

ふぃるめも323 香港より愛をこねて

 
 

 今回は、8月30日~31日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。(含配信ドラマ1クール/短編1作/再掲1作)

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第323弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■8月30日公開作

『愛に乱暴』

夫の浮気が真剣すぎて、姑も“いい人”だから出口なく、仕事復帰もままならず壊れゆく心が家を壊しだす。象徴的に柱を、物理的に床下を。
江口のりこキマシタ感。存在感と演技力で安藤サクラ級が日本映画にまた一人現れた。小泉孝太郎の薄さによる引き立て力も凄い森ガキ侑大監督作。

"" https://x.com/pherim/status/1825395227948953810

『お母さんが一緒』https://x.com/pherim/status/1810873561332207784




『ACIDE/アシッド』
南米を壊滅させた酸性雨雲が、欧州を襲う。
仏全土が混乱しベルギーへ逃げようと試みる親子3人の家族関係も混乱中で、さぁ大変。
『ミスト』級に逃げ場なき恐怖と、すぐにパニくる娘に挟まれた異次元サバイバルパパを、穏和なイケおじ役の多いギョーム・カネが身悶え熱演。

"Acide" https://x.com/pherim/status/1826084665997820040

『冬時間のパリ』https://x.com/pherim/status/1206049955112075266
『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』https://x.com/pherim/status/1149512075372142592





『香港、裏切られた約束』“因為愛所以革命”
2019年6月、カメラを新調し民主化運動を撮り始めた顔志昇/トウィンクル・ンアンが、亡命し完成させた渾身作。
理工大内部映像を含む顕名作品、19年秋以降の運動シュリンクを巡る当事者語りなど、類似作にない固有性も大きな見処。

"因為愛所以革命/Love in the Time of Revolution" https://x.com/pherim/status/1826816705156579401

2019年香港滞在&関連映画スレ https://x.com/pherim/status/1600826312876515329
『理大囲城』https://x.com/pherim/status/1412285678801494029


上記スレでも扱ってるけど2014年以降、香港映画を愛し監督を志した若者が、自由に自作上映もできないケースを何度見聞きしてきたか、もはや数え切れそうにない。この意味で本作は、現状の香港での活動継続を選択肢としてすでに振り切っている点も、切ないながらも新段階へ入った感ある。

拙稿「【映画評】香港の心のゆくえ 『我が心の香港』『理大囲城』『花椒の味』『リンボ』『時代革命』」
https://www.kirishin.com/2021/11/06/51385/

拙稿「【映画】『時代革命』キウィ・チョウ監督インタビュー」
https://www.kirishin.com/2022/08/15/55717/





『ボストン1947』
日本統治下の韓国からベルリン五輪へ出場し金&銅メダルを獲得した元選手2人が、“祖国の記録”を取り戻すためボストンマラソン代表チームを組織する。
米国軍政下でまたもや韓国選手を名乗れない不遇、からの奮起とレース描写が手に汗握る、シュリのカン・ジェギュ監督新作。

"보스턴 1947/Boston 1947" https://x.com/pherim/status/1825648289959784538

『戦火のランナー』https://x.com/pherim/status/1401179052770095108

『白頭山大噴火』https://x.com/pherim/status/1427827210497396739
『神と共に 第一章:罪と罰』https://x.com/pherim/status/1129583783550672896
『神と共に 第二章:因と縁』https://x.com/pherim/status/1142726187912851456





■8月31日公開作

『オキナワより愛を込めて』

愛した米兵たち、生々しい現在。
写真家/石川真生の半生捉える、砂入博史監督作。
アケルマンを彷彿とさせる水平移動で撮る沖縄の路地景眼福、琉球語響く街探訪よい。東松照明に師事してたんね。2024年土門拳賞の遅すぎ感自体が孕むもの想う。

"From Okinawa with Love" https://x.com/pherim/status/1824995284268818786

アケルマン連ツイ https://x.com/pherim/status/1671507551870124034
《琉球弧の写真》展@東京都写真美術館 https://x.com/pherim/status/1330686007474196480
《イメージの洞窟 意識の源を探る》展 https://x.com/pherim/status/1197110822566166528

『緑の牢獄』https://x.com/pherim/status/1377809432839524352
拙稿「【映画評】島奥のかそけき呼び声『緑の牢獄』」https://www.kirishin.com/2021/04/20/48331/

『完璧なドーナツをつくる』https://x.com/pherim/status/1315282473874386950
山城知佳子《チンビン・ウェスタン『家族の表象』》https://x.com/pherim/status/1193702351208452096





『パドレ・プロジェクト 父の影を追って』
ぶらっくさむらい武内剛が、2歳で生き別れになった父を探しイタリアへ旅立つ。
カメルーン人父と日本人母の間に生まれ、芸人を志した回想が興味深く、路上でアフリカ人達のアングラ情報網へ繋がるくだりは都市人類学的な興奮さえ。リアルの展開がアツい。

"" https://x.com/pherim/status/1826525588154163541

『父を探して』https://x.com/pherim/status/710276321494966276
『ペルリンプスと秘密の森』https://x.com/pherim/status/1729830480223088957





■国内過去公開作(含映画祭上映作)

『ドラキュラZERO』

ルーマニア/トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵を、オスマン帝国へ抗する名君として描くシリアス作。
ルーク・エヴァンスの非業演技や美術衣装が見応えあるも、シリアス一辺倒で破れなく抜けもない。ファンタジー素材で質実追求の困難に挑んだ志や良し。

"Dracula Untold" https://x.com/pherim/status/1819677248376742129

『すべての月の夜』 “Ilargi Guztiak” https://x.com/pherim/status/1501031246322802690
F・W・ムルナウ『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922) https://x.com/pherim/status/1176377586101800962
『地球最後の男』https://x.com/pherim/status/1269247622285414401
《恐怖映画の世界》展 https://x.com/pherim/status/1639583070272761856





■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)

『ヴァルパライソにて…』“À Valparaíso”1963
“戦闘的”ドキュメンタリー作家ヨリス・イヴェンスが、チリの港湾都市ヴァルパライソに招聘され撮影。
クリス・マルケル脚本。世界ふれあい街歩きの和み感ある前半から一転、古地図連打しつつのドレイクやジュール・ヴェルヌ言及も嬉しい。ケーブルカー好きすぎる監督好き。

"À Valparaíso" https://x.com/pherim/status/1830013314338078735
https://mubi.com/en/films/7369/player

『シベリアからの手紙』https://x.com/pherim/status/1115096984954658819
『北京の日曜日』https://x.com/pherim/status/1123739828376485889
『イヴ・モンタン~ある長距離歌手の孤独』https://x.com/pherim/status/1124518441107378178
『サン・ソレイユ』https://x.com/pherim/status/1126679349292224512





『岸辺露伴は動かない』シーズン2
笠松将がランニングマシーンに取り憑かれた青年を演じ、露伴=高橋一生と対決する第4話強烈。スポーツジム都市伝説って定番化してる感。
市川猿之助の妖怪キャラが不気味に笑える5話“背中の正面”、山里出張篇の6話“六壁坂”などなど重畳。

"Thus Spoke Rohan Kishibe" https://x.com/pherim/status/1829776927093375224

『岸辺露伴は動かない』シーズン1 https://x.com/pherim/status/1754135227407184158
『怪談晩餐』https://x.com/pherim/status/1813481436659482967





“Far Away”“Weit Entfernt”1991
出逢うのは、一度きりでいい。
音楽が結びつけ、打ち震わせ、女は黙して疾走する。
アンゲラ・シャーネレク初期短編。のちの巨匠が、極度の低予算制約下でみせる煌めきをまた観た感。突如乖離する電話主、懐入れる数秒の企みに、戦慄する。

"Weit Entfernt" "Far Away"

アンゲラ・シャーネレク“Musik” ※再鑑賞予定
アケルマン初期1974『私、あなた、彼、彼女』“Je, tu, il, elle”https://x.com/pherim/status/1523864952679038976
タルコフスキー初期1956『殺し屋』https://x.com/pherim/status/1122039482939629568






 余談。台風、ここまで列島縦断系も久々では。





おしまい。
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