今回は、2025年11月21日~11月30日開催の第26回東京フィルメックス・
コンペティション部門と特集
《ラモン・チュルヒャー『動物』三部作の世界》上映作から10作品を扱います。(含再掲1作)
拙稿「いま相対化される危機 第38回東京国際映画祭/第26回東京フィルメックス」
https://www.kirishin.com/2025/12/04/80687/
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめです。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■コンペティション
https://filmex.jp/program/fc/
『枯れ葉』ხმელი ფოთოლი
失踪娘を探す父のジョージア田舎旅。
全編が古い携帯カメラ撮影っていう、16mmのザラ目で風趣狙う凡庸さより生々しく新鮮ながら、3時間の尺に深い意味なかったのは笑う。
旅の伴侶ほか不可視で中距離多めのアレクサンドレ・コベリゼ世界十全展開。
"ხმელი ფოთოლი" "Dry Leaf" https://x.com/pherim/status/1997515131144851650
『ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう』https://x.com/pherim/status/1643903570172088326
音楽監督(監督実弟)と東京散歩ツイ https://x.com/pherim/status/1992966533937856778
『The World of Love』
快活な女子高生が、その気丈さゆえの誤解と誰にも明かせない心の傷がもつれ合い、孤立を深める。
洗車機の轟音に包まれ、車中の母親に対してだけ心情を爆発させる1カットがとにかく鮮烈で、『わたしたち』に連なるユン・ガウン監督の強味を知る。
"세계의 주인/The World of Love" https://x.com/pherim/status/2017760351660741027
『わたしたち』https://x.com/pherim/status/908856216796807168
『あしたの少女』Next Sohee https://x.com/pherim/status/1695049698334376024
『私の少女』A Girl at My Door 2014 https://x.com/pherim/status/1876458922070155446
『女の子』女孩
1980年代、台北。DV家庭で暮らす少女の屈託を繊細に描きだす。
侯孝賢“黒衣の刺客”主演他で知られる舒淇/スー・チー初監督作で、この充実ぶりは今後が楽しみ。主演の子役&母役9m88凄い。
侯作品の哀愁漂うカットが度々挟まれるも、高精細ゆえかレトロ感は浅く留まる不思議さあり。
"女孩"
『黒衣の刺客』https://x.com/pherim/status/733467150820597760
『左利きの少女』
台北の夜市駆け抜ける少女を追うカメラが、やたらに楽しいFILMeX2025観客賞受賞作。
シングルマザー家庭という設定に、鄒時擎/ツォウ・シーチン監督の米国移民ゆえの距離感保つ渇いた目線と、ショーン・ベイカー共働の履歴を活かす湿った演出が活かされ没入感凄い。
"Left-Handed Girl" "左撇子女孩" https://x.com/pherim/status/2005261795792150747
『レッド・ロケット』https://x.com/pherim/status/1649249499565658112
『ANORA アノーラ』https://x.com/pherim/status/1891104001631871234
『アメーバ』Amoeba
シンガポールのエリート女子校へ転入してきた勝ち気な少女が、3人のはみ出し生徒とギャング団を結成する。
ゆがんだ唇に反骨心を乗せる主演Ranice Tayがとにかく良い。教育描写の端々に社会批判を潜ませる手つきは“幻土”を想起させる、百合薄味も利くタン・スーヨウ初長編。
"Amoeba"
『幻土』https://x.com/pherim/status/1078637735408095233
『ラッキー・ルー』幸福之路 Lucky Lu
NYで配達員の父さん頑張る。
華僑移民の過酷なリアルを活写するロイド・リー・チョイ監督作。
張震/チャン・チェンが、自転車を泥棒され自転車泥棒へ成り行く顛末など展開の既視感を苦渋顔で突き抜ける。娘の無邪気さが切ない。
"Lucky Lu" https://x.com/pherim/status/1994749411449348504
『バイク泥棒』https://x.com/pherim/status/1337231189459968002
『光輪』Halo후광 https://x.com/pherim/status/1983369117857173855
『わたしはバンドゥビ』https://x.com/pherim/status/1652900091890659330
『家族を想うとき』https://x.com/pherim/status/1200606075638046720
『サボテンの実』साबर बोंड
父の葬儀のためムンバイからインド西部の村へ帰った青年が、旧弊に息詰まるなか幼馴染の青年と惹かれ合う。
質実さで“アブ、アダムの息子”、“私たちが光と想うすべて”、自然描写の巧さで“ゴッズ・オウン・カントリー”など傑作群も想起され、濃ゆい時間演出にガチ痺れる。
"साबर बोंड" "Cactus Pears" https://x.com/pherim/status/2023226443720020360
『アブ、アダムの息子』https://x.com/pherim/status/1297324616269012992
『私たちが光と想うすべて』https://x.com/pherim/status/1950388406934262249
『ゴッズ・オウン・カントリー』https://x.com/pherim/status/1087539220552474625
■特集:Ramon Zürcher/ラモン・チュルヒャー『動物』三部作の世界
https://filmex.jp/program/ss/ramon-zurcher.html
『ストレンジ・リトル・キャット』Das merkwürdige Kätzchen 2013
“家”の解像度が神懸かり。色と音が反響し合い、事物の輪郭を澄明に刻み続ける。その総体が物語となる。
本作は静で“煙の中の雀”が動、と語るラモン・チュルヒャー監督作。これがタル・ベーラ指導下での卒業制作という。空恐ろしい。
"Das merkwürdige Kätzchen" https://x.com/pherim/status/1992739436124328080
『ガール・アンド・スパイダー』Das Mädchen und die Spinne 2021
引っ越し当日も人は疑い、倦み、惹かれ合う。
ラモン・チュルヒャー動物3部作で最も人と物が流れ、割れ、落ち、破れる。他2作に比べ大きい破綻要素を、神曲Desireless “Voyage Voyage”が縫合し続ける。構成の極みをめぐる冒険。
"Das Mädchen und die Spinne" "The Girl and the Spider" https://x.com/pherim/status/2000402741131345923
『スパイダー/増殖』パリ郊外映画⑯https://x.com/pherim/status/1847603952159973733
『煙突の中の雀』“Der Spatz im Kamin” 2024
本年極私BESTの《家》映画。
幼少期を暮らした家で、中年姉妹が各々の家族を連れて過ごす時間が呼び起こす感情の闇と記憶の幻影。
ミニマルな完成度が凄まじい。音響&撮影も抜群で、一軒家における半日の内に、紛うことなき一個の小宇宙が生起退行する。
"Der Spatz im Kamin" "The Sparrow in the Chimney" https://x.com/pherim/status/1866053296374661153
『関心領域』“The Zone of Interest” https://x.com/pherim/status/1791069859855626657
拙稿「『関心領域』“The Zone of Interest”と呼ばれた場所」https://x.com/pherim/status/1791069859855626657
余談。再掲1作分の調整は、前回配信アニメ1クール分にて。
拙稿「いま相対化される危機 第38回東京国際映画祭/第26回東京フィルメックス」
https://www.kirishin.com/2025/12/04/80687/
おしまい。
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