今回は、11月8~15日の日本上映開始作と、16日から始まる特集企画《ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク》上映作から11作品を扱います。(含短編2作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第334弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■11月8日公開作
『動物界』“Le règne animal”
母が動物化する奇病に罹った少年が、移送中に脱走した母を探して父と原野へ分け入るSF冒険成長譚。
罹患後も母を愛し続ける父役ロマン・デュリス白眉。父子に共感的な憲兵役アデル・エグザルコプロス↘も魅せる。カラッと軽快でSweet Tooth前日譚のような趣が良い。
"Le règne animal" "The Animal Kingdom" https://x.com/pherim/status/1855104071663075592
『スイート・トゥース:鹿の角を持つ少年』https://x.com/pherim/status/1673303515861774338
『ガッジョ・ディーロ』“Gadjo Dilo” https://x.com/pherim/status/1624321187307491328
ロマン・デュリスめぐり追記するかもー
『ロボット・ドリームズ』
ワンコとロボットのやがて切なき友情物語。
絵柄もシンプルで子供向けかなと観始め、胸を突く展開や描写の数珠つなぎでぐんぐんのめり込む。’80年代NY再現、夕陽に映えるWTC沁みる。
この造形ラピュタかなと調べると、パブロ・ベルヘル監督ガチ宮﨑リスペクターでした。
"Robot Dreams" https://x.com/pherim/status/1847859128062136773
『アフター・ヤン』https://x.com/pherim/status/1588776681707536384
『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』https://x.com/pherim/status/1481614277283020801
『風の谷のナウシカ』BESTIA上映 https://x.com/pherim/status/1300991761230118912
おっとりワンコとブリキロボットの愛嬌一杯なバディ感や、海辺での体の物質的描写が長いのもあってか、ダニエル・ラドクリフが死体演じる『スイス・アーミー・マン』が幾度も想起され。
軽快さの中に哀切かもす語り口あたりも共通するかな。
『スイス・アーミー・マン』https://x.com/pherim/status/1310198266785456132
『ココでのはなし』
ゲストハウス“ココ”へ集う各々の訳あり日乗。
日本が好きで日本語堪能だけど差別に遭う中国人娘の描写に鮮やかな今日性あり。中国語変だけど生越千晴の演技も良い。
山本奈衣瑠が主演か、じゃ観よかというもはや信頼印。結城貴史と宮原尚之の絡みが醸す安宿あるある感和む。
"Push Pause" https://x.com/pherim/status/1854719406238318703
『SUPER HAPPY FOREVER』https://x.com/pherim/status/1837403751910670480
『走れない人の走り方』https://x.com/pherim/status/1783687381629161605
『ネネ -エトワールに憧れて-』“Neneh Superstar”
12歳の黒人少女ネネが抱く、バレエの夢。
最高峰パリ・オペラ座のバレエ学校入学を果たすも、立ちはだかる偏見と疎外の日々。パリ郊外団地の生活環境との対照も鋭く、差別心情丸出しの指導者との相克描写が手に汗握る。
"Neneh Superstar" https://x.com/pherim/status/1850685103703482636
『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』https://x.com/pherim/status/887327530079862787
『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』https://x.com/pherim/status/1557702754348724224
『ダンサー イン Paris』https://x.com/pherim/status/1706997672538992809
パリ郊外映画スレッド https://x.com/pherim/status/1857780572757832098
黒人少女ネネの目に映り込む、郊外移民のリアルと“フランス伝統芸術”の距離。
パリ・オペラ座という世界最古のバレエ様式を継ぐ場にあって、今日も更新を続けるダンス表現の一端景が垣間見える点も興味深い。
『草原の英雄ジャロロフ~東京への道~』
ボクシングスーパーヘビー級金メダリストを描く、ウズベキスタン産純正スポ根。恋と試練の物語が純朴すぎて逆に胸打つ。
半分を占める白人パートの三文芝居と東京編の観光映画っぷりが無惨なので、面構え佳きウズベク俳優たちを倍魅せる編集を施せばなお素敵。
"Yengilmas Tokioga yo'l" "Engilmas" https://x.com/pherim/status/1855439720656027831
『旅のおわり世界のはじまり』https://x.com/pherim/status/1138629488630124544
『ベルナデット 最強のファーストレディ』
カトリーヌ・ドヌーヴが、ジャック・シラク大統領夫人として親しまれた女の“復讐”を熱演する。
“私の時代、女は夫の付属物として育てられた”という台詞に始まり、夫の意に反しサルコジ支持へ回る過程をコミカルに描く脚本秀逸。
"Bernadette" https://x.com/pherim/status/1855590305048772938
『愛する人に伝える言葉』https://x.com/pherim/status/1580183736758697990
『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』 https://x.com/pherim/status/1347821659776901121
『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』https://x.com/pherim/status/847651120251977732
■11月15日公開作
『対外秘』
1990年代の釜山を舞台にくり拡げられるポリティカルノワール夜。
与党公認を取り消され不正で落選させられた主人公が、極秘文書を入手し黒幕へ逆襲する、『悪人伝』のイ・ウォンテ監督作。狼たちの墓標以降、地方の港町舞台の韓流ノワールは粒揃い続きで新作が毎度楽しみ。
"The Devil's Deal" "대외비" https://x.com/pherim/status/1855948696334299262
『悪人伝』https://x.com/pherim/status/1267654449054355461
『野獣の血』https://x.com/pherim/status/1612436468315873280
『狼たちの墓標』https://x.com/pherim/status/1528272006143430656
■プンクテ特集上映《ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク》11月16日公開作
https://punkte00.com/gordon-newyork/
『ヴァラエティ』1983
ポルノ映画館Varietyで2$のチケットを売るクリスティーンが、常連客紳士を尾行しだす夜の冒険描くベット・ゴードン監督作。
Times Squareほか80年代NYを撮るトム・ディチロの映像に、ジョン・ルーリーの音楽、ナン・ゴールディン演じるバーテン相手に交わす会話、粋すなぁ。
"Variety" https://x.com/pherim/status/1853604802145710224
『きゅうり畑のかかし』“Scarecrow in a Garden of Cucumbers” 1972 https://x.com/pherim/status/1628739587655991298
『アル中女の肖像』1979 https://x.com/pherim/status/1691463421039095808
『エンプティ・スーツケース』1980
シカゴの職場と恋人のいるNYを、空のスーツケースで行き交う女の疎外と孤立。
ザラ目映像での長距離列車Amtrak移動景、Talking HeadsやX-Ray Spexの曲と俯瞰都市景にのせた心模様の淡々語りが謎心地よい。ナン・ゴールディンまたも出演。
"Empty Suitcases" https://x.com/pherim/status/1856166415486857222
“わたしの人生は他の誰かに起きる出来事の一部”
『美と殺戮のすべて』https://x.com/pherim/status/1773586544571429349
『ロボット・ドリームズ』https://x.com/pherim/status/1847859128062136773
『ダーク・デイズ』“Dark Days” 2000 https://x.com/pherim/status/1693163350111502486
『エニバディズ・ウーマン』1981
ポルノ映画館Variety Photo Plays周縁の男女が、日常と性をダルげに観察し語るベット・ゴードン短編。
ここから2年かけ脚本を研ぎ澄ませ、表現の芯を捉え代表作“ヴァラエティ”を生んだ道程こそ偲ばれる。女の猥談が全く響かない男の図笑う。
"Anybody's Woman" https://x.com/pherim/status/1859224824461336610
“Anybody's Woman”全編:https://vimeo.com/130990237
■国内過去公開作(含映画祭上映作)
『悪魔のいけにえ』“The Texas Chain Saw Massacre”1974
千年ぶりに観なおしたけど、忘れてるシーンが一つもないのに楽しく怖く新鮮で全編ヤバい。
人体ミートフック吊りとかラストの夕暮れダンスとか、計算より勢いしか感じないまま原点にして頂点へ半世紀君臨するトビー・フーパー監督初期傑作。
"The Texas Chain Saw Massacre" https://x.com/pherim/status/1857402792065073184
『チェイン・リアクションズ』https://x.com/pherim/status/1857402794833264809
余談。『悪魔のいけにえ』は、『チェイン・リアクションズ』(TIFF2024)の予習で観なおしました。後続ふぃるめもにて近日詳述。
おしまい。
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