pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2024年
11月16日
06:40

ふぃるめも335 第37回東京国際映画祭《2》 ワールド・フォーカス部門、ラテンビート映画祭 IN TIFF 他

 
 

 今回は、第37回東京国際映画祭(2024年10月28日~11月6日開催)コンペティション部門(つづき)、ワールド・フォーカス部門、第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF上映作から10作品を扱います。
 ラテンビート映画祭 IN TIFFは、ワールド・フォーカス部門の一環です。同部門の他特集上映は次々回扱います。

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第335弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■コンペティション部門2
 https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...
 
『わが友アンドレ』
故郷での父の葬式へ向かう途上で起こるイマジナリーフレンド遭遇劇。序盤でIFとバラす仕掛けに始まる、吹雪で入る食堂での閉鎖空間展開が良い。
山河ノスタルジア他の俳優・董子健/ドン・ズージェン初監督作。ペマ・ツェテン映画の撮監を迎えた雪景眼福。
[Trailer見当たらず]
"My Friend An Delie" "我的朋友安德烈" https://x.com/pherim/status/1859151875922424228


『山河ノスタルジア』https://x.com/pherim/status/720841333636599808
『羊飼いと風船』https://x.com/pherim/status/1353544132233285633





『大丈夫と約束して』
スロバキア僻村で祖母と暮らす15歳少年が、思慕する母の身も蓋もないリアルを知らされ幻滅するも、とくに成長もせず終わる描写が潔い。
堂に入った悪ガキ少年達、実際村で遊ぶ4人組がスカウトされた逸話面白い。面構えにブルガリア映画『二月』(RT↓)も想起され。
[Trailer見当たらず]
"Promise, I'll Be Fine" "Hore je nebo, v doline som ja" https://x.com/pherim/status/1856905491966038368


『二月』https://x.com/pherim/status/1344261567043391491
『アウシュヴィッツ・レポート』https://x.com/pherim/status/1420214891839823873





■ワールド・フォーカス部門1
 https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...

『怒りの河』
愛娘転落死の犯人は娘の同級生だと思う父が、隣国へ身売りされた同級生を追いマフィアへ潜り込む。
山深い雲南~ミャンマー国境域での逃避行描写はそれだけで見応えあり。
麻薬市場と誘拐業が有機的に結びつく傍らで、ゲリラと国軍が継戦する山岳地の迫真演出も鮮烈な劉娟第2作。

"A River Without Tears" "怒江" https://x.com/pherim/status/1859567175738196104

『チャオ・イェンの思い』“乔妍的心事” https://x.com/pherim/status/1854679714839117928
『ニーナ・ウー』“灼人秘密” https://x.com/pherim/status/1206405278113001473





『スウェーデン・テレビ放送に見るイスラエル・パレスチナ 1958-1989』
強制収容所を経験した若者が危惧するイスラエルのナチ化、建国以降にアラブ系ユダヤ人のかこつ苦渋など、収録された肉声の解像度が異様に高い。
ハイファに戻って/太陽の男たちの若きガッサーン・カナファーニも明晰に喋る喋る。

"Israel Palestine on Swedish TV 1958-1989" "Israel Palestina på svensk tv 1958-1989" https://x.com/pherim/status/1858143826747294092

『太陽の男たち』1972 https://x.com/pherim/status/1629367018137976832
『天国と大地の間で』https://x.com/pherim/status/1514871745638854658





『ファイヤ―・オブ・ウィンド』
葡萄園を襲う猛牛、から逃れ樹上で一夜を明かす人々。
その光景が、なめらかに労働運動や武装蜂起と絡みだす。サウダージとも違う独特のポルトガル映画質感あるよなって思ったら、監督はペドロ・コスタの奥さんだった。オリヴェイラも想起させるまったり農園時空。

"Fire of Wind" "Fogo do Vento" https://x.com/pherim/status/1859502609813676333 

『ヴィタリナ』https://x.com/pherim/status/1307289954142179328
『ホース・マネー』https://x.com/pherim/status/746605136991027201
『モラル・オーダー』https://x.com/pherim/status/1453262355635347459





■ワールド・フォーカス部門2 第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF
 https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...

『孤独の午後』“Tardes de soledad”
闘牛士の吐息、生傷を濡らす汗、牛の背にぬめる黒血。決断の一瞬、刺さる剣先、どうと斃れ堕ち地に舞う砂埃。
ポリコレを嗤う、生半可でない諷刺目線に痺れる。今年も大空間でアルベルト・セラが観れて良かった、という早め年の瀬感。

"Afternoons of Solitude" "Tardes de soledad" https://x.com/pherim/status/1855801007718146252

『パシフィクション』“Tourment sur les îles” https://x.com/pherim/status/1595631060733550597
『ルイ14世の死』https://x.com/pherim/status/1003254845560664064





『ペペ』 “Pepe”
カバすぎる。
マフィア親分によってアフリカから南米へ連行され野生化したカバさんが、人間に叛旗を翻す。
河馬の字にふさわしい猛々しさと誇りもつその勇姿、どう撮ったか不思議な映像が連続するけど、「密林で3年暮らした」という監督語りに即降参。

"Pepe" https://x.com/pherim/status/1858009586470629596

『牛』https://x.com/pherim/status/1454791119078715393
『GUNDA グンダ』https://x.com/pherim/status/1467478395663847425





『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』
ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーア、
2人の競演で魅せるアルモドバル新作。
生煮え感ある映画祭上映作を観続けた眼にこのウェルメイド感は滅法眩しい。それだけに終盤のひねりが不足気味。主題ほどに社会派作を志向しないのがアルモドバル風味とはいえ。

"La habitacion de al lado" "The Room Next Door" https://x.com/pherim/status/1858492601412014394

『ヒューマン・ボイス』https://x.com/pherim/status/1594176906966204417




『キル・ザ・ジョッキー』
伝説的な騎手が刹那的に事故って脳震盪、病床から女装して街へと消える彼をマフィアが追う。
ペルシャン・レッスン↓のNahuel Pérez Biscayart主演。アキ・カウリスマキ映画の撮影監督による軽快な映像運びが、タイトル以上に重い物語を俊足で疾走する。高速回転する哀切。

"Kill the Jockey" "El Jockey"

『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』https://x.com/pherim/status/1592692945719021570




『チェイン・リアクションズ』
悪魔のいけにえという映画一作を巡り、延々続く語りが超絶面白い事態自体が面白い。三池崇史ら触発された監督達に加え、スティーヴン・キング御大の韜晦気味に白熱するチェーンソー賛歌がまたアツい。
映画概念を巡り蒙を啓く真の画期作であったことがよく伝わる構成。

"Chain Reactions" https://x.com/pherim/status/1857402794833264809

『悪魔のいけにえ』https://x.com/pherim/status/1857402792065073184
F・W・ムルナウ『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922) https://x.com/pherim/status/1176377586101800962






 余談。ことしのワールドフォーカス部門では、諸般の事情から日本映画2本を優先してラヴ・ディアスを諦めたのが痛かったな。けっきょくその「事情」も微妙になったし、次こそ漏らさず観たいのす。





おしまい。
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