今回は、第37回東京国際映画祭(2024年10月28日~11月6日開催) オープニング作品とコンペティション部門上映作から10作品を扱います。
これ以外のコンペティション部門作品については次々回扱います。
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第333弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■オープニング
https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/film/37000TOC01
『十一人の賊軍』
越後山奥の攻防。辺境の局所戦に、新発田藩の存亡巡る勢力間の思惑絡み重層化する仕立て圧巻の白石和彌監督新作。
山田孝之&仲野太賀他の砦描写と並行し、屋敷内で戦い切り独断で官軍と幕府軍を騙す家老役の阿部サダヲがまた凄い。“七人の侍”の泥臭さと“十三人の刺客”の速度感。
"11 Rebels" https://x.com/pherim/status/1851051557632274528
『七人の侍』https://x.com/pherim/status/1245612200502259714
『死刑にいたる病』https://x.com/pherim/status/1521471258382434306
『50回目のファーストキス』https://x.com/pherim/status/1004715929580732416
■コンペティション部門1
https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...
『アディオス・アミーゴ』
南米流浪物秀作という垂涎。
写真師の男が旅の伴侶となり、撮影に十数える“静止”の必要から予想外事が連発する時間操作術ガチ素敵。
20世紀初頭コロンビア内戦を描く、信念に命張る生き様の相克活劇も良い。霊媒師やインディオなど脇役造形も最高。
"Adios Amigo" https://x.com/pherim/status/1851278001406955585
『開拓者たち』“Los colonos” https://x.com/pherim/status/1829693543742632063
『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』https://x.com/pherim/status/1532708051895349248
『雨の中の慾情』
肉欲の妄想を描く貧乏漫画家(成田凌)の、妖艶なる福子(中村映里子)と、良き先輩の恋敵(森田剛)との共同生活が、南方戦線での娼館へ突如パラレルワールド化したりするつげ義春原作世界。
片山慎三監督十八番の困窮描写、核心は情念性にあるのねと把握。
"Lust in the Rain" "雨中的慾情" https://x.com/pherim/status/1853408444914823632
『岬の兄妹』https://x.com/pherim/status/1099214692705136640
『さがす』https://x.com/pherim/status/1462405039406792710
『ガンニバル』https://x.com/pherim/status/1683457472848363522
『軍中楽園』https://x.com/pherim/status/1000704947925626880
『士官候補生』“Кадет”
マッチョの神域へナヨナヨ長髪少年がコネ入学、早速イジメられるも怪事連発の真相へ肉薄する。
マイナー国のB級ホラー気分で観始め、ソ連ジョークや独特の闇描写にぐんぐんハマり、Yellow Cat↓監督作かと納得。共産主義の“亡霊”(byマルクス)は、中央アジア版貞子でしたの巻。
[Trailer見当たらず]
"Cadet" "Кадет" https://x.com/pherim/status/1854493408326492569
『イエローキャット』https://x.com/pherim/status/1338690945903075333
『親愛なる同志たちへ』https://x.com/pherim/status/1475656925190627331
『チャオ・イェンの思い』“乔妍的心事”
戸籍を偽り生き別れた姉妹、セレブとなった妹/趙麗穎の元へ、妊婦となった姉/辛芷蕾が現れさぁ大変。
ミャンマー系華僑監督ミディ・ジー/赵德胤新作。張悦然(♀’82~)小説『大喬小喬』を翻案、雲南出生の設定で格差ほか詰め込み過ぎて濃厚な持ち味が足枷に。
"The Unseen Sister" "乔妍的心事" https://x.com/pherim/status/1854679714839117928
『ニーナ・ウー』“灼人秘密” https://x.com/pherim/status/1206405278113001473
『敵』
引退した仏文学者の、妻に先立たれた質実おひとり様暮らしへ兆す、艶やかな予感と不穏な呼び声。
筒井康隆原作のモノクローム翻案が活きまくり、吉田大八監督作は三島由紀夫『美しい星』同様、文学が絡むと更に飛躍するんだなと。長塚京三/河合優実らみな出色演技。
"Teki Cometh" https://x.com/pherim/status/1854137471094960270
『美しい星』https://x.com/pherim/status/861960664968904705
『騙し絵の牙』https://x.com/pherim/status/1375646867715813379
『娘の娘』“女兒的女兒”
シルヴィア・チャン/張艾嘉が、事故死した愛娘が残した受精卵の処置選択に悩む母を熱演する。
『台湾暮色』の黃熙/ホアン・シー監督作&侯孝賢製作で、舞台作のような余韻が深い。あと生き別れだった里子役の林嘉欣/カリーナ・ラムが、他作にまして仲里依紗感あって不思議。
"Daughter's Daughter" "女兒的女兒" https://x.com/pherim/status/1855218470008578180
『消えゆく燈火』“燈火闌珊” https://x.com/pherim/status/1584903811399028739
『死体を埋めろ』“Enterre Seus Mortos”
動物死体回収人の悪夢的冒険
主人公らの面構え精悍で、骨太中南米映画の風格を漂わせる序盤から、マジックリアリズム風味深まる展開素敵なだけに、地に足のつかない抽象描写へ終始する後半がひたすら惜しい。映像眼福だし、編集次第でかなり化ける予感鹿。
[Trailer見当たらず]
"Bury Your Dead" "Enterre Seus Mortos" https://x.com/pherim/status/1859906038318915670
『母の聖戦』“La Civil” https://x.com/pherim/status/1606855330092429312
『マルリナの明日』https://x.com/pherim/status/1129225759229218817
『小さな私』 小小的我
脳性麻痺を患う青年の葛藤と淡い恋。
母子の迫真演技やカフェバイトの包摂描写など見応えあり。太鼓演奏が軸となり、音響良いなと感じたら小林武史。祝TIFF観客賞。
ヒロイン役も瑞々しく、お涙先立つ予定調和がやや惜しまれるも今後楽しみなヤン・リーナー/杨荔钠監督作。
[Trailer見当たらず]
"Big World" "小小的我" https://x.com/pherim/status/1854357346874802264
『37セカンズ』https://x.com/pherim/status/1224894445344002048
『トラフィック』“Reostat”
西欧に移住した若いルーマニア人夫婦の困窮暮らしが陥る隘路。
“母の聖戦”のテオドラ・アナ・ミハイ監督&ムンジウ↓脚本作だけに、旧共産圏映画に通底する殺伐都市描写へ独特の質感を看取。夫婦の物語的連環弱いが、美術鑑定おばちゃん良い。
"Traffic" "Reostat" https://x.com/pherim/status/1857265950653026667
『母の聖戦』“La Civil” https://x.com/pherim/status/1606855330092429312
『R.M.N.』https://x.com/pherim/status/1601448701377277954
『コレクティブ 国家の嘘』https://x.com/pherim/status/1443563926021566468
“Olanda” https://x.com/pherim/status/1244200744804159489
余談。映画祭月間開始。まずはTIFF10日間終えましたけど、昔に比べると波なく淡々と観続けられるようになりましたね。寝てしまいほぼ覚えてない、とかなくなった。トラブルから深刻な見逃しも1件あったけどまぁ上々。あとはふぃるめも更新を今年は早めに終えたいです。過去振り返るに、未更新メモがFILMeXと被りだしてからが正念場。
おしまい。
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