今回は、11月2日の日本上映開始作と、MadeGood Films主宰企画《OUTCAST 映画祭》(11/2~)上映作など、10作品を扱います。(含配信ドラマ1クール/短編1作/再掲3作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第332弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■11月2日公開作
『STRANGERS』
多くを望まない女の穏やかな日々が、浮気する婚約者の失踪をきっかけに崩れだす。
大西礼芳が演じる、不安に駆られ出所不明の感情に導かれゆく目つきの怜悧さ、玄理のファムファタル性に切り拓かれる小川あんの表情変化など、見処充満の池田健太長編第1作。柾木玲弥の軽快さも良い。
"STRANGERS" https://x.com/pherim/status/1850517349516149154
『嵐電』https://x.com/pherim/status/1131033778841722880
『彼方のうた』https://x.com/pherim/status/1742439744360030208
『SUPER HAPPY FOREVER』https://x.com/pherim/status/1837403751910670480
■OUTCAST映画祭/OUTCAST FILM FESTIVAL
https://madegood.com/outcast/
『ダーク・デイズ』“Dark Days”2000
NYマンハッタン地下の住人達を16mmで撮る画に、DJ ShadowのTrip Hopがのる冒頭の鋭さにまず見入る。
悲惨なりに誇りも忘れぬ面々ながら、鉄道公社+行政の介入で住宅提供された後の豹変ぶりはご愛嬌。
Amtrak車窓に覗く地底世界へ惹かれていたため見応え極太。
"Dark Days" https://twitter.com/pherim/status/1693163350111502486
『ミッドナイト・ファミリー』
メキシコシティでは、闇救急車が市中を駆け巡る。
家族経営の救急車は、他の救急車を豪快に追い越す。サッカーボールで遊ぶ小学生児も搬送を手伝い、車内では保険の有無を執拗に尋ねる。利益確保の必要が職業倫理との葛藤を軽やかに凌駕する、行政崩壊のリアルに目をみはる。
"Midnight Family" https://x.com/pherim/status/1847481844532728212
私的初救急搬送ツイ https://x.com/pherim/status/1343851409100267520
『その鼓動に耳をあてよ』https://x.com/pherim/status/1752979692737761406
ER緊急救命室 https://x.com/pherim/status/1191538609909710848
『新宿ボーイズ』1996
30年前の歌舞伎町を生き抜く“おなべ”たち、その誇りと葛藤の日々追う映像の、粗い煌めきとぬめる湿度に舌を巻く。
石原都政の“浄化”前に歌舞伎町が有した混沌とギラつきが濃縮保存され、資料価値すら感覚する画に見入り、田舎の母との電話など沁みる。
"Shinjuku Boys" https://x.com/pherim/status/1848200761152618884
花園神社ツイ https://x.com/pherim/status/735772374973325312
歌舞伎町神輿ツイ https://x.com/pherim/status/909652201714282496
『アカーサ、僕たちの家』“Acasă, My Home”
ブカレスト市内、バカレシュティ湖畔の片隅を不法占拠し暮らす大家族。湿地へ舟を浮かべ漁る一家の生活は、湖の自然公園化を決めた政府方針により激変する。
クレマンの“第三風景”定義そのものと言える放棄地の多様性に見入る。
"Acasă, My Home" https://x.com/pherim/status/1847116730675744876
『落ち着かない土地』“An Unquiet Land” https://x.com/pherim/status/1206159469714952192
『キース・ヘリング〜ストリート・アート・ボーイ〜』
NYの地下鉄構内を自らの絵でジャックするべく飛び回る、その貪欲さに喝采を送りたくなる。
表現こそが我欲を超え他者へと通じる、その回路を強靭に信じ実践した青年の鮮やかな軌跡。ゲイコミュニティを襲った1980's末HIV流行描写が熾烈。
"Keith Haring: Street Art Boy" https://x.com/pherim/status/1850002853517197485
キース・ヘリング来日時ツイ https://x.com/pherim/status/17485196913
コタキナバル市中のグラフィティ https://x.com/pherim/status/452986861997158401
『銃か落書きか』“Rifles or Graffiti” https://x.com/pherim/status/1243836461255774208
『画家と泥棒』ノルウェー
無名画家の絵を盗み捕まる泥棒青年。
青年を描かせてという画家の依頼に始まる奇抜展開が、ドキュメンタリーである点に世界が驚き怪しんだ一作。
でも私的にグッときたのは己を描いた絵を見せられて、誰からも顧みられずに生きてきた青年が黙って滂沱の涙を流す場面。これは真。
"Kunstneren og tyven" "The Painter and the Thief" https://twitter.com/pherim/status/1599585066287792128
『チェチェンへようこそ ―ゲイの粛清―』
事実上ロシアの傀儡と化した、
チェチェン=カディロフ政権による“血の浄化”。
LGBTQ排除の実態、惨鼻極まる拷問、私刑の容認。
“恥”ゆえに公道で親族の頭を潰す暴虐。
このpost-truth下で挑まれた、深層学習型AIを駆使する撮影対象保護の先進性に目を瞠る。
"Welcome to Chechnya: The Gay Purge" https://twitter.com/pherim/status/1497377398865625091
『濁水漂流』(香港の流れ者たち) https://x.com/pherim/status/1607931966103638016
■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)
『無言歌』2011
下校バスに乗り遅れた生徒と教師の、逸脱する時間。
―言葉にすると壊れるものもあるからな
―約束みたいだ
―ただあるだけのほうが、ずっといい
―誰にも壊せない
切り詰めた構成の先に訪れる、穏やかな解放の一瞬が印象深いふるいちやすし監督短編。
全編↓
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下校逸脱ツイ https://x.com/pherim/status/903456354567766016
『地面師たち』
豊川悦司の静けき精悍、ピエール瀧の豪放磊落、リリー・フランキーの不敵な微笑。
キャラが研ぎ澄まされ、小池栄子も染谷将太も次の場面で何してくれるか楽しみすぎる大根仁監督作。そしてプライド高きカモ役/山本耕史、しょうもないし切ないしもう最高。かつ石野卓球の音楽至高。
"Tokyo Swindlers" https://x.com/pherim/status/1848681088237113470
ピエール瀧&リリー・フランキー『凶悪』https://x.com/pherim/status/401826046799921152
山本耕史&小池栄子『鎌倉殿の13人』https://x.com/pherim/status/1816668614596133329
『ミッドウェイ』https://x.com/pherim/status/1302092797441241088
余談。OUTCAST映画祭の7作はネット配信でも観れますので、ご興味あればぜっひ。
おしまい。
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