今回は、4月18~19日の日本公開作と、《没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集》上映作など10作品を扱います。
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第359弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■4月18日公開作
『哭戦 オペレーション・アンデッド』“ช.พ.๑ สมรภูมิคืนชีพ”
第二次大戦下、中立国タイ南部へ上陸した日本軍は秘密裏にゾンビ兵を起用、若いタイ兵らはゾンビ村と化す郷土を目撃する。あぁん婚約者がぁ
731部隊の人体実験をホラー演出へ転じる流れがタイ風でおおらか。グロ表現も妙に品があり和む。
"ช.พ.๑ สมรภูมิคืนชีพ" "Operation Undead" https://x.com/pherim/status/1909208373918048427
プライベート・ライアンのノルマンディー上陸場面を模したシークエンス、低予算で頑張ってる感すごくて応援したくなるし、上陸側が日本軍なのにタイ側視点で描きたいから視点がねじれちゃってて余計に楽しい。
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の苦学生バディ役Nonkul=チャーノン・サンティナトーンクン、『レッドライフ』のスピチャー・サンカチンダーなど好演。日本人役の立ちんぼ演技や台詞ミスは残念だし、着物女性の非日本語話者起用&謎の琴BGMは文化盗用気味だけど監督がB級を自認するなら誇りかも。トータルで全然あり、楽しめた。
『女神の継承』https://x.com/pherim/status/1550454518621450240
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』https://x.com/pherim/status/1044201278140633089
『レッドライフ』“เรดไลฟ์” https://x.com/pherim/status/1828380042604486776
『Siam Square』https://x.com/pherim/status/866609194488573952
『哭声/コクソン』https://x.com/pherim/status/922607993195130880
『哭悲/The Sadness』https://x.com/pherim/status/1540666448820830209
『私の親愛なるフーバオ』
韓国の動物園で生まれたパンダと、あるおじさん飼育員との歳月、別れ。
ワシントン条約で、中国から貸与されたジャイアントパンダに子が生まれた場合、4歳までに返さねばならないとの由。愛され要素しかない人気ぶりに、幼いころ並んだ上野公園のパンダ行列思いだす。
"안녕, 할부지/My Dearest Fu Bao" https://x.com/pherim/status/1911618632192499946
パンダ銀座線 https://x.com/pherim/status/826639370400604160
パンダと南アフリカ人 https://x.com/pherim/status/792251472888999936
『BEASTARS 第2期』https://x.com/pherim/status/1751217407363109189
『劇場版 呪術廻戦 0』https://x.com/pherim/status/1614451311063478272
『104歳、哲代さんのひとり暮らし』
尾道で一人暮らしを続けるお婆の朗らかな日々を撮る山本和宏監督作。
坂道は後ろ向きで降りるといい、って爆走してて和む。
村中の老若男女が観戦に来たという、世界恐慌後の小学校運動会の写真とか通知表が出てきたり、教員時1941年12月8日の記憶再現など凄い。
"" https://x.com/pherim/status/1913060733660922087
あとリリー・フランキーのおっとりナレーションも良い。
『スズさん 昭和の家事と家族の物語』https://x.com/pherim/status/1454247292668559360
佐藤真『阿賀に生きる』https://x.com/pherim/status/1584386354922016768
『島にて』https://x.com/pherim/status/1255755417159778304
■没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集 4月18日~
https://oliveira2025.jp/index.html
『訪問、あるいは記憶、そして告白』 1982
マノエル・ド・オリヴェイラが暮らしたポルトの家で語る来し方や家族、革命、映画のこと。
男女の会話に監督の地語りが挟まり、瀟洒だが今風のセレブ豪邸より余程贅沢な屋敷内を、船室紹介のように練り歩く展開が面白い。ペドロ・コスタとは対極のポルトガル宇宙。
"Visita ou Memórias e Confissões" https://x.com/pherim/status/1910678595129008627
『ヴィタリナ』https://x.com/pherim/status/1307289954142179328
『ホース・マネー』https://x.com/pherim/status/746605136991027201
『ファイヤ―・オブ・ウィンド』https://x.com/pherim/status/1859502609813676333
『絶望の日』O Dia do Desespero 1992
19世紀ポルトガルを代表する作家カミーロ・カステロ・ブランコの生家を舞台とする伝記作。
軋みあげ走る馬車の車輪、煙る葉巻を映し続けるオリヴェイラの粋。モラル・オーダーで初監督した渋男マリオ・バローゾが撮影&主演の大車輪。
"O Dia do Desespero" https://x.com/pherim/status/1912703300073660744
『モラル・オーダー』https://x.com/pherim/status/1453262355635347459
『アブラハム渓谷』Vale Abraão 1993
ボヴァリー夫人をドウロ河舞台に翻案した、ある女の生涯描く圧巻203分の大河物語。
このマノエル・ド・オリヴェイラ監督&レオノール・シルヴェイラ主演傑作、撮監マリオ・バローゾ(↑前ツイも)がナレも担当、観客主観に随伴する構成の蛮勇感スゴい。
"Vale Abraão" "" https://x.com/pherim/status/1914869544931512364
■4月19日公開作
『太陽(ティダ)の運命』
沖縄県知事。米軍基地により、唯一無二の特殊な重力背負うこの職能へ焦点化する佐古忠彦監督秀作。
大田昌秀と翁長雄志の、反目と宥和の道程が凄まじい。多数決ならいつでも少数派を押し切れると一部に犠牲を強いてきた日本政治の本質が、個の実存から鮮烈に炙り出される。
"" https://x.com/pherim/status/1913430769659494435
『生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事』https://x.com/pherim/status/1533081856794836992
『生きろ 戦場に残した伝言』2013 https://x.com/pherim/status/1534368689797369856
『島守の塔』主演・萩原聖人さんへインタビューしました。
https://www.kirishin.com/2022/07/22/55330/
『島守の塔』https://x.com/pherim/status/1548676335089815552
『沖縄の民』https://x.com/pherim/status/1533842851179933696
『メイデン』The Maiden
17歳世界の光と闇。
不意に終わる、息することの全体を感情の輪郭がしばしば突き破る不安定なその時間が、愛おしくも懐かしい新星グラハム・フォイ監督作。
いかにも両界の融け合う黄昏=crépuscule配給作で、Tropical Maladyのアピチャッポン時空も強烈に想起させる。
"The Maiden" https://x.com/pherim/status/1912838902928560430
『トロピカル・マラディ』https://x.com/pherim/status/698651415372107777
『ヒューマン・ポジション』https://x.com/pherim/status/1832974519977603131
■国内劇場未公開作(含VOD公開/DVDスルー作)
『メコンホテル』Mekong Hotel 2012
悠久の大河を望むテラスから、終始ギターの調べを伴い展開する恋物語、過去語り、幻想語り。
アピチャッポン本人撮影の有閑ムードとは裏腹に政府批判も散見されるブンミおじさん後継色あり、かつ雄大に越境しゆくMEMORIAの萌芽も感覚。
"Mekong Hotel" https://x.com/pherim/status/1907412470232175104
拙稿「明滅するリアル 『MEMORIA メモリア』」https://www.kirishin.com/2022/03/04/53173/
『MEMORIA メモリア』https://x.com/pherim/status/1491968334459404289
アピチャッポン・ウィーラセタクン企画上映@バンコク連ツイ https://x.com/pherim/status/924960596717477888
『真昼の不思議な物体』2000 https://x.com/pherim/status/694142558692216832
『ブリスフリー・ユアーズ』2002 https://x.com/pherim/status/695252214781075457
『アイアン・プッシーの大冒険』2003 https://x.com/pherim/status/813669896110292992
『トロピカル・マラディ』2004 https://x.com/pherim/status/698651415372107777
『世紀の光』2006 https://x.com/pherim/status/699900485189251072
『光りの墓』2015 https://x.com/pherim/status/700807039543455744
《フィーバー・ルーム》https://x.com/pherim/status/1146979621100855296
『A.W.アピチャッポンの素顔』https://x.com/pherim/status/1522422409001058305
■国内過去公開作(含映画祭上映作)
『イニシェリン島の精霊』
狭い孤島で起こる、ある友情の奇妙なゆくえ。
黒ビールと絶景を仲立ちに、コリン・ファレルとブレンダン・グリーソンが熱演する。アイリッシュ系のマーティン・マクドナー監督(スリー・ビルボード)が、母国の独立戦争をも相対化し人間を慈しむ。
"The Banshees of Inisherin" https://x.com/pherim/status/1908494691496058916
『スリー・ビルボード』https://x.com/pherim/status/958908797388402689
『ベルファスト』https://x.com/pherim/status/1508271195493261314
『探偵マーロウ』https://x.com/pherim/status/1668451091925856256
『家族を想うとき』https://x.com/pherim/status/1219996184581816320
『ヴェロニカ・ゲリン』https://x.com/pherim/status/1883069353568149892
『プロフェッショナル』In the Land of Saints and Sinners https://x.com/pherim/status/1907762991296135172
拙稿「イースター蜂起の果てに 北アイルランド紛争描写の最前線」
https://www.kirishin.com/2025/04/10/72294/
余談。傑作『イニシェリン島の精霊』についても上記拙記事「イースター蜂起の果てに」にて述べました。
おしまい。
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