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　今回は、特集企画「《北欧の至宝》マッツ・ミケルセン生誕60周年祭」上映全作と、11月22日の日本公開作から10作品を扱います。（含再掲2作）

　※再掲作分の調整は10－12月ふぃるめもの配信ドラマ/アニメ換算にて。

　タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめです。強烈オススメは緑、超絶オススメは青で太字強調しています。（2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。）


　
■11月22日公開作

『潜行一千里 ILHA FORMOSA』
怪作バンコクナイツ以来の劇映画準備過程で知った、台湾原住民の熱量。
アミ族のガハガハ母ちゃん、パイワン族の歌姫アバオ、セデック族や本省人ラッパー大支ら見応え充満。
空族/富田克也監督の臨場感あるナレ醸す旅心地もほのぼの楽しい。

"" https://x.com/pherim/status/1976615012287553930

空族作品連ツイ https://twitter.com/pherim/status/830768555998130179
（『バンコクナイツ』『国道20号線』『サウダーヂ』『典座 -TENZO-』『Rap in TONDO』他）
《潜行一千里》https://x.com/pherim/status/834731754476802048

『台湾萬歳』https://x.com/pherim/status/884911664700596224
『ばちらぬん』https://x.com/pherim/status/1520228359212466177
『かでぃんま』https://x.com/pherim/status/1957780822242783663
『セデック・バレ』https://x.com/pherim/status/515871211503374338




『Lilypop』
写真を学ぶ美大生りりかと、同居人エナや友人たちに流れる時間の密度を描く青石太郎監督作。
笑わせや泣かせを狙うでなく、霊感に度々言及されるもホラー演出が来たりはしない。日本の美大生版ホン・サンス映画のような淡々とした会話の積み重ねに引っ張られ気づけば終幕を迎えていた。

"Lilypop" https://x.com/pherim/status/1987406952285237396

『気まぐれな唇』2002 https://x.com/pherim/status/1675734109614931968
『スユチョン』By the Stream https://x.com/pherim/status/1870305689794687154




『医の倫理と戦争』
法が人権を踏みにじる時、医師はどう立つべきか。
731部隊と現代医学会の連なり。人体実験用の丸太(捕虜)供給模様と、患者切り捨てや閉鎖病棟の虐待など今日的課題が連環しゆく。
ベトナム戦争の枯葉剤や離島の基地新設と医の倫理とを貫く、現役医師の視座はひたすら新鮮。

"" https://x.com/pherim/status/1991731143801213051

『ヒポクラテスの盲点』https://x.com/pherim/status/1974092173940605425
『沖縄スパイ戦史』https://x.com/pherim/status/1021022625114480641




■《北欧の至宝》マッツ・ミケルセン生誕60周年祭 11/14～
　https://synca.jp/mads60thanniv/
　
『ブレイカウェイ』Blinkende Lygter 2000
組織に追われる4人組が、色々あって隠れ家でレストランを開くことに。
マッツ・ミケルセン+アナス・トマス・イェンセン監督の座組(Adams Apple～Riders of Justice)ここに始まる。
三十路マッツ、酔いどれ乱射する艶やかさよ。

"Blinkende Lygter/Flickering Lights" https://x.com/pherim/status/1987019953854423191

『エクストリーム・ジョブ』https://x.com/pherim/status/1209690847941279744

『ライダーズ・オブ・ジャスティス』https://x.com/pherim/status/1482555580141441027




『フレッシュ・デリ』De grønne slagtere 2003
肉屋の奇行をマッツ・ミケルセンが怪演する。
レクター博士の原形ここに。
冷凍庫へ電気屋を置き去り始まる狂気の軌跡。スリラー/コメディのあわいに不思議な温もり添えるアナス・トマス・イェンセン＆マッツ安定の北欧妙趣。

"De grønne slagtere" "The Green Butchers" https://x.com/pherim/status/1988074764175634792

『悪魔のいけにえ』“The Texas Chain Saw Massacre”1974 https://x.com/pherim/status/1857402792065073184
『チェイン・リアクションズ』https://x.com/pherim/status/1857402794833264809




『アダムズ・アップル』Adams æbler 2005
ネオナチ青年が反抗心も猛々しく乗り込んだ更生プログラム先の教会で待っていたのは、常軌を逸した住人達だった。なかでもマッツ・ミケルセン扮する牧師の敬虔かつ純朴すぎる狂気が怪物的で笑えるブラックコメディ。アダムの林檎とヨブ記の突き抜けた換骨奪胎ぶりが凄まじい。

"Adams æbler" "Adamʼ s Apples" https://twitter.com/pherim/status/1183593953905373185

きのう午後は京橋にて試写2件。北欧の至宝マッツ・ミケルセンによる、あの崇高なる狂人キャラはこんな昔に確立されてたのかと知らされた『アダムズ・アップル』(’05)。配給が非専業の有志らしく手作り感和む。自作のポスター看板、入れ替わりの配給会社の人が「ほんとはこういうのしたいんだよね」と。(試写直後ツイ： https://twitter.com/pherim/status/1169369940479987713 )

めげない現代版ヨブに扮するマッツを存分に堪能できる『アダムズ・アップル』、10月19日公開。作品ツイートまた後日します。
観に行くかたは、せっかくなのでヨブ記の一読お勧めします。味わえるヤバさの深みも増しますので。

　拙稿「敬虔と罪の深淵『アダムズ・アップル』」
　https://www.kirishin.com/2019/11/16/38684/




『アフター・ウェディング』Efter brylluppet 2006
インドで孤児支援に没頭するヤコブ(マッツ・ミケルセン)を、寄付交渉のため訪れた母国デンマークで待ち受ける過去との対面。
主人公の性別を入れ換えたリメイク版『秘密への招待状』(2019↓)に比べ、インドを“可哀想な国”とみる時代性が鮮明で趣深い。

"Efter brylluppet" https://x.com/pherim/status/1989171140368167334

『秘密への招待状』https://x.com/pherim/status/1357178129995866114
『ブラッド・ダイヤモンド』https://x.com/pherim/status/1365965880652308487
『ナイロビの蜂』https://x.com/pherim/status/1366344551540031488
『The Last Face』https://x.com/pherim/status/926820186249760768




『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』En kongelig affære 2012
嫁ぎ先のメンヘラ王に馴染めず、イケおじ侍医と禁断の恋に落ちる姫15歳を、スウェーデン出身でデンマーク語も話すアリシア・ヴィキャンデル23歳が熱演。
マッツ・ミケルセンが、斜陽のデンマーク帝国襲う啓蒙潮流を体現する。

"En kongelig affære" https://x.com/pherim/status/1991339095398977727

『世界の涯ての鼓動』https://x.com/pherim/status/1154990468775567361
拙稿「【映画評】世界の涯ての鼓動」https://www.kirishin.com/2019/07/30/27641/




『偽りなき者』Jagten 2012
世間を支える「いい人」達の良識に孕まれる排他性が、無実の主人公を追い詰める。
情景の静けさに反して、描写される精神の緊迫感が物凄い。原題は"Jagten"(英Hunt)。獲物を狩る欲望が「真実」という嘘を作りあげていく。

"JAGTEN" "The Hunt"

『アナザーラウンド』https://x.com/pherim/status/1429433683530838023




『メン＆チキン』Mænd og høns 2015
共に口唇裂のあるインテリ弟と異常性欲兄が、幹細胞研究の権威である父の秘密を探る中、3人の異母兄弟を知る。
マッツ・ミケルセン含むオジ集団が十八番のアナス・トマス・イェンセン監督作。いまや撮れない笑い満載なの貴重。

"Mænd og høns"

『カオス・ウォーキング』https://x.com/pherim/status/1457703460665659402
『ザ・ドア 交差する世界』https://x.com/pherim/status/1431257289671864320

　



　余談。あすからフィルメックス10日間、すでに息切れまぁ楽しもう。





おしまい。
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