今回は、3月後半の日本公開作を中心に10作品を扱います。
タイ移住後に劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第84弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしば黒字表記に含まれます)
■3月16日公開作
『リメンバー・ミー』
ピクサー&ディズニー新作は、メキシコのギター少年が死者の国を旅するミュージカル冒険譚。ガイコツたち棲まうカラフル世界が目に楽しく、響き続ける楽曲が耳に楽しい。現代的ながら呪術的精神性を感覚させる美術意匠の深さ。映画館でこの色音の洪水に出逢える子供は幸せだなと。
■3月17日公開作
『修道士は沈黙する』
G8の財務相が集うバルト海に面した高級ホテルで、IMF理事が謎の死を遂げる。場に居合わせ死の鍵を握るイタリア人修道士は、その信条から理事の秘密を固守する。自由経済に駆動される現実社会の原理が宗教原理に挑むとき、真に沈黙するのは誰か。財務相に配役された各国の俳優の競演も地味に見所。
※後日追記予定
『馬を放つ』は、騎馬遊牧民の魂がキルギスの大地を駆る映画だ。そして同時に、今を生きる誰しもの"引き裂かれた心"を謡う叙事詩だ。魂は慟哭する。友であり翼であった馬を貶める我らは既に怪物だと。その構成の峻烈、映像の峻厳は現代の神話と言うに相応しい。馬は見つめる。ケンタウロスが放たれる。
※後日追記予定
『ラッキー』
本作撮影後91歳で召された笠智衆的名優ハリー・ディーン・スタントンを囲む会。気骨ある翁をいたわり愛する周囲の人間模様が温かい。出演陣が豪華かつ異色で、なかでも涙をにじませリクガメの偉大さを主張するデヴィッド・リンチが笑える。『パリ、テキサス』から1/3世紀経つのね、合掌。
■3月21日公開作
『トゥームレイダー ファースト・ミッション』
新世代ララ・クロフトが、太平洋の孤島に眠る卑弥呼の秘宝を求め、香港のイケメン兄貴と大航海して悪者と戦う世界。脱アンジェリーナ・ジョリー目指しアリシア・ヴィキャンデル登板、でもあのゴージャス感払拭は大変だなと。呪術&病原菌ギミックよろし。
■3月30日公開作
『レッド・スパロー』
共演者の企みによりバレリーナの道を絶たれた主人公が、ロシア政府の女スパイとなりCIA捜査官に迫る。という冷戦期の古典的枠組みを、21世紀スタイルで仕上げるとこうなるぜ、っていう娯楽良作。ジェニファー・ローレンス獅子奮迅。
『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
終盤、この映画で涙が止まらなくなるとは思わなかった。秀逸な脚本が生むストーリーラインだけではない、ずっと好きだったゲイリー・オールドマンの執念とも言える演技だけでもない、美術や衣装、特殊メイクや音楽や画面の陰翳までもが"Darkest Hour"(原題)の現出その一点へ完璧に集束し切ることへの感動。これは傑作。
『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』
ベトナムでの敗戦は、開戦前から国防省内部で予想されていた。スピルバーグによるトランプ批判の嚆矢にメリル・ストリープ&トム・ハンクスが熱演で応えた一作。スクープ前夜の緊迫感など、当時一地方紙だったワシントン・ポストの下剋上物語としても圧巻。
カメラと主演俳優の位置を維持するために、周辺の脇役が喋りながら回り込む演出のわざとらしさがやや目についた。トランプ大統領就任45日後に製作を発表、速攻で撮影というスピルバーグならではの神業には珍しいアラとも。
『トレイン・ミッション』
「じじい、戦え。なぜならお前はリーアム・ニーソンなのだから」という映画。隠遁間近の親父が通勤電車内でハッスルせざるを得なくなる、いつもの展開の列車版。ジャウム・コレット=セラ監督とのタッグ4作目ゆえ、
『フライト・ゲーム』や
『ラン・オールナイト』からの流れで観る楽しみも。
"The Commuter"
■日本公開中作品
『ジュピターズ・ムーン』
ハンガリー映画。銃傷を負った難民の青年に浮遊能力が発現する。現代のおとぎ話として馴染めるのは、青年を追う壮年刑事や助ける中年医師の苦悩が極めて今日的であり、難民キャンプや都市を浮遊する身体自体が鋭い社会批評性を帯びるから。アナログ風味の特撮も素晴らしい。
おしまい。
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