今回は、4月上旬の日本公開作を中心に。
(一般公開日前の更新を基本としていますが、諸々私事重なりズレ込み中)
タイ移住後に劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第86弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしば黒字表記に含まれます)
■4月6日公開作
『ダンガル きっと、つよくなる』
インドから、父と姉妹がレスリングでトップを目指す。手に汗握る展開連続の上質エンタメ作ながら、主人公のモデルは吉田沙保里とも闘った実話ベース。若き精悍な姿から衰え肥える姿までを、驚異の筋肉改造により演じ切った父役アーミル・カーンの役者魂にも喝采。
"Dangal"
『ダンガル きっと、つよくなる』父の意向で姉妹がレスリングをさせられ、無理やり髪まで切られて笑い者になる序盤は、いかにもインド的父権主義むき出しな展開。けれど本作が軽薄コメディと真逆に凄いのは、そこから社会批判を交えつつ"父の深い愛"を説得的に描き通すこと。笑えて泣ける秀作でした。
姉妹がオリンピックを目指す筋立て、周囲の宗教的文化的因習からの抑圧に耐える描写など、先日のイスラーム映画祭3での『ボクシング・フォー・フリーダム』を観ながら本作との対比を想起することに。『ダンガル きっと、つよくなる』はアーミル・カーンの名声という社会的資産あっての作品化だなとも。
『ボクシング・フォー・フリーダム』: https://twitter.com/pherim/status/979581355825668097
『ワンダーストラック』
各々に聴覚障害をもつ少女と少年が、時代を隔て交錯する。『キャロル』で1950年代のNYを超絶美麗に撮ったトッド・ヘインズ監督が、20年代/70年代を白黒サイレント/カラーで描き分け、自然史博物館の収蔵庫が鍵になるというステキ眼福良構成。全シーンがインスタ映えというミラクル。
"Wonderstruck"
『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』
1995年名作『ジュマンジ』のラストから始まる嬉しさ。ボードゲームとスマホをNintendoが繋ぐ心地よき子供時空。アバター世界で性転換するキャラなど現代変換もいちいち巧い。ロビン・ウィリアムズの不在を補って余りある正統派少年少女冒険ファンタジー。
"Jumanji: Welcome to the Jungle"
95年作『ジュマンジ』では、同名の原作絵本同様にボードゲーム内世界へ少年少女が引き込まれる。ロビン・ウィリアムズは、心は少年のまま26年ゲーム内に閉じ込められた主人公を演じており、彼ならではの持ち味を存分に発揮した。新作では、これがボドゲからゲーム機へ。敢えてネトゲMMOを避ける妙味。
■4月7日公開作
『ラブレス』
愛の不在でなく、愛の失踪。ともに別のパートナーとの新生活に期待するロシア人夫婦の狭間で少年は慟哭する。少年の行方は淡々と象徴する。スマホ画面の内へ覗ける個の欲望の底へと陥没するしかない、人間性の喪失した現代を嘲笑う。モスクワ郊外の住宅地と荒野を映す映像が素晴らしい。
"Nelyubov"
『ベルリン・シンドローム』
おしゃれ系監禁スリラー。夢と期待に胸膨らませベルリンへ降り立った豪州女性が、一夜のアバンチュールを楽しんだ翌朝からのめくるめくホラー体験。ヒューマントラフィックを巡る意識下の恐怖が喚起される現代性も。機能的だが殺風景なドイツ街&部屋空間よろし。
"Berlin Syndrome" 再録。前ツイ: https://twitter.com/pherim/status/874261860614144000
そう、“Berlin Syndrome”主演の豪州人女優、陰のあるクリステン・スチュワートだなぁと思っていたら、きょう日本公開で今夏の戦争映画の話題を占めるだろう『ハクソー・リッジ』にヒロイン役出演。いま波に乗る女優さんなのだなと。
『ハクソー・リッジ』: https://twitter.com/pherim/status/873904299448745986
それでこの
『ハクソー・リッジ』ヒロイン女優テリーサ・パーマー(Teresa Palmer)、地味にテレンス・マリック
『聖杯たちの騎士』にも恋人役の一人として出演、ケイト・ブランシェットやナタリー・ポートマンと肩を並べる準備も粛々と。
『聖杯たちの騎士』: https://twitter.com/pherim/status/809975120206983168
『港町』
瀬戸内に面した牛窓の町を映す想田和弘の新作は、彫刻家にも似たこの監督の本質を露わにする。カメラは鑿であり、観る者は彫塑された時間の内に遊歩する。そこではモノクロームすらもが美学上の選択を超え、観客の主体的参与を誘う。終盤で老女が起こす転調は、精神を震撼させ普遍の底を突き破る。
"Inland Sea"
試写メモ36.1「ときのかたる」: http://tokinoma.pne.jp/diary/2787
試写メモ37 「想田和弘監督にインタビューしてきましたよ 観察映画における瞑想性をめぐって」: http://tokinoma.pne.jp/diary/2817
■4月14日公開作
『ラッカは静かに虐殺されている』
ラッカ市民有志による命がけの告発に戦慄する。例えば玩具やゲーム機の提供によりISへとり込まれた子供達が、笑いながら人形の首を切りとり捕虜を処刑する衝撃。ヒトラーユーゲントやポルポト少年兵が今この瞬間に生まれゆく実景を眼前にすることの。
"City of Ghosts"
『さよなら、僕のマンハッタン』
冴えない青年が父の愛人と関係して意外な真実が露わに。'70~'80年代の名曲に乗り、監督マーク・ウェブの持ち味であるなめらかなストーリーテリングが進行する。全てが揺らめきだす中で、ジェフ・ブリッジス演じる謎の隣人だけが静止衛星のように俯瞰する構図の妙趣。
"The Only Living Boy in New York"
『女は二度決断する』
ネオナチの仕掛けた爆弾で夫と子を失った女の咆哮。ドイツ新世代を牽引するトルコ系監督ファティ・アキンの新作は、現代ドイツ焦眉の移民排斥問題に真っ向から挑む意欲作。主演ダイアン・クルーガー、本作でカンヌ女優賞獲得も納得の凄演。衝撃の結末が孕む重層性に震撼する。
"Aus dem Nichts"
試写メモ38「」: 後日追記
■日本公開終了済み作品
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
アニメゆえの硬質な透過光描写や、岩井俊二の実写版にはなかったタイムパラドックス脚色が良かった。バンコクにて鑑賞。新房昭之の本作もまた細田守や新海誠の日本舞台作同様、外国語字幕付きだとエスニックブーストなのかより趣き深く映る不可思議。
"Fireworks" ※ちなみに岩井作英題は"Fireworks, Should We See It from the Side or the Bottom?"
ジブリ以降、日本の秀作アニメ映画は高確率でタイへ来るようになり嬉しい。
今回のふぃるめもは含再録2作。ただし前回13作扱ったので調整行わず。
(作品数カウントの利便性から、平均で各回新規メモ作品10作となるよう更新しています)
おしまい。
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