今回は、1月8日~1月22日の国内上映開始作から11作品を扱います。(含再掲1作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第166弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。素人にはお奨めできない的な。)
■1月8日公開作
『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』
カトリーヌ・ドヌーヴ主演新作は、母アンドレア70歳の誕生日に集う一家の群像劇。
失踪していた長女、突飛な次男などを名優たちが好演。愛情を振りまく母や監督セドリック・カーン演じる長男の理性こそ次第に歪みだす、今日的困難の穏やかに溢れゆく圧。
"Fête de famille" "HAPPY BIRTHDAY" https://twitter.com/pherim/status/1347821659776901121
『エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット』
アナログの手仕事に貫かれた画作り。美大や専門学校とは無縁の出自をもつ感性が、通り一遍のカッコ良さに飽き足りないプロの目を魅了する。
ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトやオカモトズの面々が、自曲ジャケへの愛着を語る姿も心地よい。
"" https://twitter.com/pherim/status/1350655166387687424
『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』
このインド製宇宙エンタメ、最の高。2014年、アジア初の火星周回軌道への探査機投入に成功するまで描く。
チームの過半が女性で、サリー姿の居並ぶ管制室の図は新鮮、NASAの1/10の予算で実現させた着想源が土着料理と全編意表突かれ通し。
"Mission Mangal" https://twitter.com/pherim/status/1346443241491611649
追記用メモ:NASAやロシアでなく、ライバルとして中国が強烈に意識 月で中国に負けたから火星で挽回
『オネアミスの翼』『プラネテス』を想わせるシーン続出
女性+宇宙「8時間勤務でなく15時間勤務なら」「妊婦だからって」
やりがい搾取 夢 回想を全員分やる ブラック云々というPC自体の偏り
女性は夕食の残りを朝食に
「印度西部ではリキシャが1km10ルピーだが、私たちは1km7ルピーで火星へ到達した」
『エマの秘密に恋したら』
機内で隣へ座った男に人生のモヤモヤをブチまけたら、なんと勤務先のスターCEOで、と始まる恋路模様。
主演アレクサンドラ・ダダリオの活力とCEO役タイラー・ホークリンのジョブズ味溢れる佇まい、舞台のNYや職場描写、印系&日系の個性的シェアメイトなど見処笑い処多し。
"Can You Keep A Secret?" https://twitter.com/pherim/status/1346350013253730306
『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』
影のハリウッド史と言えるほどに豊穣な語りの数々。派手なアクションからつかみ合いの喧嘩シーンまで欠かせない存在ながら、女性ゆえにスタントマン組合からも弾かれた苦闘の軌跡。案内役ミシェル・ロドリゲスが見せる、彼女らへの深いリスペクトも良い。
"Stuntwomen: The Untold Hollywood Story" https://twitter.com/pherim/status/1346717004355444737
「君じゃ無理、の前にやってみせるの」
『蘇る三大テノール 永遠の歌声』
ライバル心から距離のあったパヴァロッティとドミンゴを、カレーラスの闘病とサッカー熱とが結びつける。
ローマ・カラカラ浴場での伝説的成功劇からLA・ドジャースタジアム、そして世界へ。第四の主人公ズービン・メータ(指揮者)ほか、関係者語りも濃厚な逸品。
"Three Tenors: Voices for Eternity - 30th Anniversary Event" https://twitter.com/pherim/status/1347138481546424320
三大テノール公演の起点となったカラカラ浴場でのコンサート実現の経緯をパヴァロッティ視点で描いたのが、昨秋日本公開の『パヴァロッティ 太陽のテノール』。これとは対照的に『蘇る三大テノール 永遠の歌声』は、パヴァロッティ追悼のニュアンスも濃くドミンゴやカレーラスによる回想が趣深い。
『パヴァロッティ 太陽のテノール』 https://twitter.com/pherim/status/1300634161921679360
■1月15日公開作
『聖なる犯罪者』
ポーランドの片田舎で、仮釈放中の青年が神父になりすます。
法も教会も彼の行いを許さない。しかし聖職者の誰もできない仕方で彼は村人を感化させ、村八分に遭った女性を救いだす。表層に留まる青年個人の物語とは別に底部を流れる、赦しをめぐる今日的問いの重奏性に圧倒される。
“Boże Ciało” “Corpus Christi” https://twitter.com/pherim/status/1349554693702184966
拙稿「偽者の真実 『聖なる犯罪者』」:http://www.kirishin.com/2021/01/14/46901/
『キング・オブ・シーヴズ』
マイケル・ケイン主演新作は、還暦オーバーの窃盗団描く実話ベース作。
ノーラン作品などでの理知的な守護者役が近年定番化しているマイケル・ケイン、攻める爺さま達をアグレッシヴに統率するその姿が小気味よい。往年のハリウッド名作を想わせる枯色演出も目に嬉しい。
"King of Thieves" https://twitter.com/pherim/status/1354268788615565313
■1月22日公開作
『KCIA 南山の部長たち』
韓国中央情報部部長による大統領殺害と組織の終焉。
日帝期を知る両人が「あの頃は良かった」と日本語で心を交わす場面に慄える。イ・ビョンホンvsクァク・ドウォンの新旧部長対決、イ・ソンミンの朴大統領そっくり演技など見応えあり。韓国現代史物の傑作系譜を堂々更新。
"남산의 부장들" "The Man Standing Next" https://twitter.com/pherim/status/1354621936349843461
『どん底作家の人生に幸あれ!』
ディケンズ自伝小説『デイヴィッド・コパフィールド』の映画化。
ティルダ・スウィントン、ベン・ウィショーら名優が脇を固め、畳みかける台詞と意表突く演出で突貫するテンポが良い。ヴィクトリア朝富裕層に多人種を配役する先駆性は“映画の今”を改めて考えさせる。
"The Personal History of David Copperfield" https://twitter.com/pherim/status/1352234950867656708
『羊飼いと風船』
輪廻転生のチベット仏教宇宙を生きる夫が、市場経済に攫われるなか堕胎を迷う妻に「爺ちゃんが生まれるんだぞ、殺す気か」と迫る。
チベット映画を牽引する多産型巨匠と化したペマ・ツェテン/Pema Tseden。稀有の進化系を辿りゆく感性は、崑崙を超え中央アジア大草原をも包み込む。
"气球" "Balloon" https://twitter.com/pherim/status/1353544132233285633
東京Filmexでの初見時ツイ@2019『気球』:https://twitter.com/pherim/status/1204600987584843777
余談。
1/15公開予定だった『ザ・スイッチ』公開延期の報、残念ですね。
→https://twitter.com/pherim/status/1347436335246630912
男女の心が入れ替わる物語は『君の名は。』ホラー版風で、空気感やテイストに『ハッピー・デス・デイ』味を感じたら同じ監督作&泣く子も黙るジェイソン・ブラム製作。
にしても、外見おっさんで中身は少女キャラの面白さよよ。
『ザ・スイッチ』製作のジェイソン・ブラムについては前にも少し書いたけれど、そうと気づかず彼の携わった作品ばかり好きな人がきっとたくさんいるだろうというほどに、良作ホラー&スリラー量産してます。
ジェイソン・ブラム言及連ツイ:https://twitter.com/pherim/status/1246358214058246144
パラノーマル系、インシディアス系、アンフレンデッド系、パージ系、セッション、透明人間など全部このひと。
ネットで観られるものも多いので、このリアル逼塞期のお供に、ぜひ。
おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh
コメント
01月29日
04:41
1: いなだ つつみ
インドのやつとスタントウーマンのやつとKCIAのやつが気になりました。
01月30日
12:12
2: pherim㌠
3人の「やつ」の醸す気配が個性的すぎて和みます。
01月31日
06:52
3: いなだ つつみ
我ながら、おでん頼んでるみたいだなと思いました