今回は、12月10日~12月23日の日本上映開始作を中心に、11作品を扱います。(含再掲1作/ドラマ1シリーズ)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第250弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■12月10日公開作
『少年たちの時代革命』
香港の将来を悲観し、自死のメモを残し街へ消えた少女を探す若者たち。
2019年民主化デモを巡り、“勇武派”の騒乱を下支えした穏健派や一般人の言動再現が微細に渡り興味深い。
本国上映禁止作。厳しい制約下でのゲリラ撮影の痕跡さえもが逐一熱い。
"少年" "May You Stay Forever Young" https://twitter.com/pherim/status/1600826312876515329
『時代革命』https://twitter.com/pherim/status/1457270313599660032
陳梓桓Interview http://www.kirishin.com/2022/07/14/55198/
『Blue Island 憂鬱之島』https://twitter.com/pherim/status/1535481191482085376
拙稿「『時代革命』キウィ・チョウ監督インタビュー」
http://www.kirishin.com/2022/08/15/55717/
※デモ細部描写、勇武派に関し追記するかも。
■12月16日公開作
『ネバー・ゴーイン・バック』“Never Goin' Back”
仲良し高校中退ガールズ2人組、バイトがんばりビーチリゾートを夢みるも、色々あって夢遠のく。
同居人男子が売人だったり、周囲から軽く扱われる環境を快活に乗り切る眩しさ無限大。
優等生バディ♀物快作“Booksmart”より前のA24作品、ついに日本公開。
"Never Goin' Back" https://twitter.com/pherim/status/1602133335207469056
『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
https://twitter.com/pherim/status/1292699235675041794
『戦場記者』
チェルノブイリ赤い森の露軍愚行跡、イスラエル軍アイアンドーム発射模様、アフガン地獄のヘロイン窟。
須賀川拓ってよく目にする名だけど納得感。直の体験含め日本のマスコミが海外で晒す醜態&無能ぶりには閉口し切りだけど、彼くらいの変種を珍重しだす身振りは世界を救わなくても多分TBSを救う。良作。
"" https://twitter.com/pherim/status/1603592440753328128
※須賀川拓ご本人よりリプいただいたので以下お返事。↓
まだ若い金平茂紀さんが動乱のモスクワ街路を歩き、佐古忠彦さんが神戸の煙燻る被災地で言葉に詰まるのをブラウン管越しに観ながら自分は育ちました。
そのころ浴びていた報道魂の熱量を『戦場記者』で久々に感覚した気がします。今後ともさらなるご活躍を、陰ながら応援しています。
『プライベート・ウォー』https://twitter.com/pherim/status/1173797556259676163
■12月16日配信開始作
『バルド、偽りの記録と一握りの真実』(劇場公開中&12/16Netflix配信開始)
あるメキシコ人ドキュメンタリー監督の、痛切なる帰郷。追想、幻想、トラウマ、哀悼。発光する死と生。
イニャリトゥによる、クストリッツァ“Underground”寄りの“バードマン”セルフリメイクメキシコ現代史版という塩梅。劇場向けな作りがROMAも想わせるNetflix新作。
"Bardo" https://twitter.com/pherim/status/1604689687288827904
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』https://twitter.com/pherim/status/1604672973750665216
『ROMA/ローマ』https://twitter.com/pherim/status/1431815254871216139
『バルド、偽りの記録と一握りの真実』、実はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの来日記者会見参加してました。
撮影監督ダリウス・コンジとの協働やルベツキとの比較を尋ねたく挙手してたけど、スーツ&首ストラップ系しか当てない会で、例により役者の話ばかりで終了。
「例により」例示:タランティーノ&ディカプリオ会見
https://twitter.com/pherim/status/1166467394937581570
『LUPIN ZERO』1-2話
少年期ルパン&次元が昭和の街を駆け巡り、大人の女に酔いしれ悪者を懲らしめ大事なものを盗みだす。
モンキーパンチ連載開始時1960’sの京浜工業地帯をレトロ調に再現する眼福画、犬王の大友良英/音楽+あのワルサーP38謳う名曲EDで七尾旅人が熱く締める、その全てが楽しすぎ。
"LUPIN ZERO" https://twitter.com/pherim/status/1601193066291138561
『LUPIN ZERO』は小学校の放課後、遊び疲れた夕方始まるテレビ放送の、少し気だるい感じまで再現されてるような話運びが懐かしい。画の質感といい、気合の入れどころが正しい感じ。
海外アニメファンの期待値が相当に高いらしく、すでに考察も様々に始まっていて、それ眺めるだけでも楽しいですよ。
(海外考察事例→https://twitter.com/pherim/status/1603946086426890241)
※次元まわりなど追記するかも。ED動画など出ていれば引用しつつ。
■12月17日公開作
『理大囲城』(理大圍城 / Inside the Red Brick Wall)
2019年11月香港理工大学での、11日間に及んだ学生と警察との攻防。
千人以上の逮捕者を出したこの騒動、内部で何が起きていたかを直に捉える映像は、その物量で報道由来のイメージを破壊してくる。窮して籠絡されゆく仲間を見送る影姿の孤独。
"理大圍城" "Inside the Red Brick Wall" https://twitter.com/pherim/status/1412285678801494029
『理大囲城』を巡り書きました。
12/17~全国順次公開→@ridai2019hk
香港と中国のこれから。山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞の意味、雨傘以降の香港民主化運動の潮流展望など。
ほか我が心の香港/リンボ/花椒の味/時代革命言及
拙稿「【映画評】香港の心のゆくえ - キリスト新聞社」
http://www.kirishin.com/2021/11/06/51385/
■12月23日公開作
『フラッグ・デイ 父を想う日』
ショーン・ペン監督x主演新作は、米国最大級の贋札事件犯人と、報道記者となったその娘を描く実話ベースの父娘物語。
実子ディラン・ペン&ホッパー・ペンによる姉弟役と伯父役ジョシュ・ブローリンの絡みなど見処あり、ペン監督前作↓RTよりグッと趣深く進化した感。
"Flag Day" https://twitter.com/pherim/status/1605894992202825729
監督前作“The Last Face”https://twitter.com/pherim/status/926820186249760768
出演前作『リコリス・ピザ』https://twitter.com/pherim/status/1541252262441254912
『博士と狂人』https://twitter.com/pherim/status/1315135529814380544
※ショーン・ペンの役どころめぐり追記するかもー。
■e-flux Online Programs: IV. Words Takeover
https://www.e-flux.com/video/programs/491991/iv-words-tak...
『王国(あるいはその家について)』2018
違う。読み合わせをする主人公とその友人夫妻、に見えてくる。不穏の錯綜。罪と救済。
一見“感情移入”を主題化するようなメタ構造が、そのまま物語内世界へ熱量もつ輪郭を与える点で、『聖なる証』を4年先取りする草野なつか監督作。
"Domains" https://twitter.com/pherim/status/1601547048213708801
■VOD配信作(国内過去公開作)
『ペーパー・タウン』
地図上にだけ存在する町を目指して、オタク少年が幼馴染のおてんば少女に導かれ冒険の旅へ出る。
“僕の世界”を軽々と突き抜けていく恋心、
夢中のゆくえと陽炎の町。
快作『きっと、星のせいじゃない。』のJohn Green原作映画化2本目。日本劇場非公開/Amazon Disney他配信有。
"Paper Towns" https://twitter.com/pherim/status/1600500978448482305
“Where Is the Jungle?” https://twitter.com/pherim/status/1250669584316653568
バンコク初見時ツイ https://twitter.com/pherim/status/646659402619949056
存在しない架空の町がいつのまにか実在、そして再び消え去っていたことが明らかに
https://gigazine.net/news/20141024-agloe/
“It's so hard to leave―until you leave. And then it is the easiest goddamned thing in the world.”
地図上にだけ存在する町。
まぶしくて好きでしかたなかった彼女は、彼女の生きることをただ邁進しているのであって、僕が夢中になっているのは彼女なのか、僕の中だけに棲む彼女の幻なのか。
■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)
『デストロイ8.8』“El ano del tigre”
2010年チリ大地震時に刑務所を脱走した男と、動物園の檻から解き放たれた虎との邂逅を描く2011年作。
コリント書:終わりのラッパの項より始まる本作の虚脱から、11年後『聖なる証』の充溢へ至る監督セバスティアン・レリオの軌跡こそ劇的。地球真裏の震災応答作。
"The Year Of The Tiger" "El ano del tigre" https://twitter.com/pherim/status/1604811829917913093
セバスティアン・レリオ監督他作:
『聖なる証』https://twitter.com/pherim/status/1593800163168247809
『ナチュラルウーマン』https://twitter.com/pherim/status/969932627095388160
『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』"Disobedience"
https://twitter.com/pherim/status/1593949131030290432
『グロリアの青春』https://twitter.com/pherim/status/1595256652567281665
『グロリア 永遠の青春』ジュリアン・ムーア x ジョン・タトゥーロ
https://twitter.com/pherim/status/1470210530552197120
拙稿「物語る奇跡のちから 『聖なる証』」http://www.kirishin.com/2022/11/21/57165/
『この動画は再生できません』Amazon Prime
巷に流行る怪異ビデオを、ガチ恐編集2人組が読み解く面白変化球ホラーな4話物。
加賀翔+賀屋壮也の“間”が毎度可笑しくて、前半の本格ホラー展開を軽やかに換骨奪胎、やがてしんみり切なさを醸す巧さ。これは楽しい。『愛してる!』脚本の谷口恒平監督作。
[予告動画見当たらず]
"" https://twitter.com/pherim/status/1599018646244061184
『愛してる!』https://twitter.com/pherim/status/1579727098302042112
余談。草野なつか監督作『王国』は、チケットを買ったにも関わらず行けなかったことが時期を隔てて二度、海外サイトの限定公開を見逃しも一度と、数年かけて観る機会を捕捉しながらも逃しつづけた。ようやく観れてよかった。(KONAMI感)
おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh