今回は、7月28~8月4日の日本上映開始作と、
ラテンビート映画祭presents《フラメンコ!フラメンコ!》上映作、配信新/旧作などから10作品を扱います。
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第274弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■7月28日公開作
『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』
シモーヌ・ヴェイユ。ホロコーストを生き抜き、カトリック保守のフランスで中絶法を通し女性初の欧州議会議長就任、“女性の権利委員会”を設置させた一代記。
深く考え熱く闘った軌跡を、絶妙な時系列配置で説得的に語りきる。迫真の戦時中再現も見処。
"Simone, le voyage du siècle" "Simone Veil, a Woman of the Century" https://twitter.com/pherim/status/1684397037452935168
『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』https://twitter.com/pherim/status/1551904889030135808
『イノセンツ』
団地に暮らす子どもたちが、森で授かった超能力にときめき、戸惑い、平穏な日々は軋みをあげ狂いだす。無垢の怖さ。
大友克洋『童夢』を着想源とするエスキル・フォクト監督作。『テルマ』『わたしは最悪。』他の脚本を担当してきた地力は本物で、昨今の北欧ホラー台頭感パない。
子ねこ残虐場面あり。
"De uskyldige" "The Innocents" https://twitter.com/pherim/status/1683797149182754816
『テルマ』https://twitter.com/pherim/status/1053151648250359808
拙稿「蛇の飛翔、雛鳥の夢」http://www.kirishin.com/2018/12/05/21301/
『わたしは最悪。』https://twitter.com/pherim/status/1542346409625604097
『ミツバチのささやき』や『ポネット』を子役演出の参考にしたというエスキル・フォクト監督の演出はきめ細やかで、その精巧さが中盤からの異能力対峙を一層引き立てる。脚本担当でタッグを組み続けたヨアキム・トリアーとも異なる才能の発露の一端このあたりに。
『ミツバチのささやき』https://twitter.com/pherim/status/1358425235066789893
『ポネット』https://twitter.com/pherim/status/1276440214957785088
『イビルアイ』
孤絶した祖母の屋敷に姉妹だけ残され、どんどこ怪しさ増すお婆ちゃんから衰弱する妹を守ろうと奮闘する少女。
謎設定やギミックの数々が説明なしに続々現れる速度感も心地よい、パラドクス/ダークレイン監督アイザック・エスバンが撮るメキシカンホラー新作。終盤の畳み掛け圧巻。
"Mal de ojo" "Evil Eye" https://twitter.com/pherim/status/1684179054692544514
婆や怖い直近映画『X エックス』https://twitter.com/pherim/status/1542490208922308613
■8月4日公開作
『インスペクション ここで生きる』
福音派の母からゲイゆえに捨てられ路上で暮らした少年が、青年となり海兵隊で味わう訓練の過酷さと、孤立する日々。
フルメタルジャケット同様のしごき場面を、ムーンライトの映像美へ昇華させるA24魔術。排除から信頼へ変わりゆく同期兵らの心情描写が沁みる。
"The Inspection" https://twitter.com/pherim/status/1686949195700416513
『ムーンライト』https://twitter.com/pherim/status/847029413740871681
『ビール・ストリートの恋人たち』https://twitter.com/pherim/status/1097325990760464384
『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』https://twitter.com/pherim/status/1319121235809202177
『炎上する君』
銭湯で咆哮する情熱娘と、燃える足もつ青年との出逢い。
西加奈子原作特有の、密だけど浮遊するリアリティを活写するふくだももこ監督短編。
舞台の高円寺は大昔にすこし住んだことがあって、見覚えのある通りも薄っぺらく更新されている感じがいかにも日本で、切なくも懐かしい。
"" https://twitter.com/pherim/status/1687425836256030720
高円寺商店街再訪ツイ https://twitter.com/pherim/status/328076914134773760
■ラテンビート映画祭presents《フラメンコ!フラメンコ!》 7/28~
https://www.lbff.jp/
『ロスタントス~バルセロナ物語~』1963
ロマの対立する両家の息子と娘が描く悲恋の道行き。
物語はロミジュリながら、息子の母演じる伝説的踊り手カルメン・アマジャを筆頭に、老若男女が唐突にキレッキレで踊りだし、悪人も通行人も拍手と足踏みで参加しだすフラメンコ時空に痺れる。
"Los Tarantos" https://twitter.com/pherim/status/1684549035301179393
『サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ』https://twitter.com/pherim/status/832193511852085249
『エグザイル 愛より強い旅』“Exiles” 2004 https://twitter.com/pherim/status/1640828119186821120
『ガッジョ・ディーロ』“Gadjo Dilo” 1997 https://twitter.com/pherim/status/1624321187307491328
『衝動 世界で唯一のダンサオーラ』https://twitter.com/pherim/status/1236860510483574784
『J:ビヨンド・フラメンコ』https://twitter.com/pherim/status/933686545524994049
『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』https://twitter.com/pherim/status/757219180781326337
『フラメンコの魔性と神秘』1952
スペイン南部アンダルシアの歌舞様式“カンタ・フラメンコ”を様々に紹介していく良ドキュメンタリー。
「アレグリアス(アラゴン発祥のホタがアンダルシアで変形したもの↓RT)は老いも若きも踊れる」とか言って、婆やと孫が踊りだす可愛い仕込みも。カンヌ特別賞受賞。
"Antonio: Duende y misterio del flamenco" https://twitter.com/pherim/status/1685581395333455872
ホタ『J:ビヨンド・フラメンコ』https://twitter.com/pherim/status/933686545524994049
■国内劇場未公開作(含VOD公開/DVDスルー作)
『パラダイス 人生の値段』Netflixドイツ2023年作
寿命換金技術が格差社会を蝕む世界で、
属す企業に妻の40年を巧妙に奪われた男が叛逆する。
ドイツ製ながら、未来都市の質感が韓流JUNG_Eと瓜二つ。配信&CG全盛時代ゆえの未来イメージ画一化が進行中なのねと。Word製の文書みたいな。ラストの不条理感はドイツ的。
"Paradise" https://twitter.com/pherim/status/1686380059945488385
『JUNG_E ジョンイ』Netflix韓国2023年作 https://twitter.com/pherim/status/1617019881828020228
『エリジウム』https://twitter.com/pherim/status/381278090179014656
■国内過去公開作(含映画祭上映作)
『 (500)日のサマー』2009
恋愛にも友情にも着地しない関係性に戸惑う青年の1年半。
野性味あるお洒落ヒロイン像が流行化した本作だけど、今みると広告業界隈を舞台とする前スマホ時代のバブリー感が奥ゆかしい。
偶然の中に必然をみいだす《人生の秘訣or罠》性が、ラストでどっと押し寄せる。
"(500) DAYS OF SUMMER" https://twitter.com/pherim/status/1683029513725444096
『gifted ギフテッド』https://twitter.com/pherim/status/932090831170711552
『ザ・ライト ─エクソシストの真実─』2011 Netflix/Amazon
アメリカ人の葬儀屋息子が信仰に懐疑的な神学生となり、ヴァチカンの悪魔祓い講座で悪目立ちして超級エクソシストに反抗し、真の悪魔とご対面。
アンソニー・ホプキンス演じる神父のモデルは明らかにアモルト神父↓。物語は弱いが脇役陣やたら良い。
"The RITE" https://twitter.com/pherim/status/1678735415069802497
『ヴァチカンのエクソシスト』https://twitter.com/pherim/status/1678010350745296897
『悪魔祓い、聖なる儀式』https://twitter.com/pherim/status/929205047874875392
拙稿「【映画評】悪魔がえぐる今日の闇」 http://www.kirishin.com/2023/07/13/61236/
余談。気温が体温を超えるとかマジやべー、死ぬる。とか思ってた子どもの頃が懐かしいです。熱帯から遥かに遠かったはずの東京でまさか日常になるとはっていう。
おしまい。
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