pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2023年
10月03日
04:11

ふぃるめも280 第35回東京国際映画祭《4》 ユース部門, ガラ・セレクション部門ほか

 
 

 今回は、第35回東京国際映画祭ユース部門、ガラ・セレクション部門、Nippon Cinema Now部門、ジャパニーズ・アニメーション部門、黒澤明の愛した映画部門、TIFFシリーズ部門から12作品を扱います。(含ドラマ1season/再掲5作)

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第280弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■ユース部門
 https://2022.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...
 
『ヌズーフ/魂、水、人々の移動』“Nezouh”
軍に封鎖されたダマスカスで、瓦礫化した家に残る意志の固い父と、脱出を考え始める母。
板挟みの娘は、寝室の天井へ空いた穴から望む星空に心奪われる。シリアの惨状映すドキュメンタリーが量産された歳月を経て、より心奥へ潜る潮流の深さと広がり。

"Nezouh" https://twitter.com/pherim/status/1584529903952986112

『シリアにて』“Insyriated”https://twitter.com/pherim/status/1295555771380318210
 
 


『セルヴィアム 私は仕える』
ウィーン郊外のカトリック系の寄宿学校を舞台とする閉鎖系スリラー。
ホラー展開の背景に性搾取や上役シスターの隠蔽工作などを忍ばせ、社会全般からの信仰心低下を呼び声をも遠く響かせる。設定や映像の緊迫感が部分的に突き抜けるも、全体が冗長すぎて今後に期待系。

"Serviam – Ich will dienen" "Serviam - I Will Serve" https://twitter.com/pherim/status/1708831239745237200

『イーダ』https://twitter.com/pherim/status/1197505806930853888
『夜明けの祈り』https://twitter.com/pherim/status/877317356510265345
『神に仕える者たち』“Služobníci/Servants”https://twitter.com/pherim/status/1558431452815294464





■ガラ・セレクション部門
 https://2022.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...

『モリコーネ 映画が恋した音楽家』
凄まじい出演陣。エンニオ・モリコーネをトルナトーレが撮ることでのみ為しえた、戦後映画史を体現する70名超の顔ぶれに圧倒される。
映画音楽の道を迷い恥じたという驚き。ハンス・ジマーらが解析する旋律の革新性。そして嬉しい名作回顧の奔流。これは芳醇。

"Ennio" https://twitter.com/pherim/status/1611553399107104772 
 
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』で、熱くエンニオを語る面々。
イタリア勢:ダリオ・アルジェント④↘/ベルトリッチ③↙/セルジオ・レオーネ/J.モランディ/パゾリーニも出ちゃう
国際勢:クリント・イーストウッド②↘/H.ジマー/Tarantino/Terrence Malick/Bruce Springsteen etc.etc.

『サッドヒルを掘り返せ』https://twitter.com/pherim/status/1611553372372635648 
 『海の上のピアニスト イタリア完全版』https://twitter.com/pherim/status/1296642459825393666





『バルド、偽りの記録と一握りの真実』(劇場公開中&12/16Netflix配信開始)
あるメキシコ人ドキュメンタリー監督の、痛切なる帰郷。追想、幻想、トラウマ、哀悼。発光する死と生。
イニャリトゥによる、クストリッツァ“Underground”寄りの“バードマン”セルフリメイクメキシコ現代史版という塩梅。劇場向けな作りがROMAも想わせるNetflix新作。

"Bardo" https://twitter.com/pherim/status/1604689687288827904

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』https://twitter.com/pherim/status/1604672973750665216
 『ROMA/ローマ』https://twitter.com/pherim/status/1431815254871216139


『バルド、偽りの記録と一握りの真実』、実はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの来日記者会見参加してました。
撮影監督ダリウス・コンジとの協働やルベツキとの比較を尋ねたく挙手してたけど、スーツ&首ストラップ系しか当てない会で、例により役者の話ばかりで終了。

「例により」例示:タランティーノ&ディカプリオ会見
 https://twitter.com/pherim/status/1166467394937581570

 



『ザ・メニュー』
よくある厨房&レストラン白熱物かと思いきや、
ランティモス風不条理展開が笑える一品。
アニャ・テイラー=ジョイの戸惑い顔と、レイフ・ファインズの鬼畜ドヤ顔だけでお腹一杯なのに、ニコラス・ホルトやジョン・レグイザモのダメ男ぶりがスパイスとして効き腹筋崩壊一直線。

"The Menu" https://twitter.com/pherim/status/1711212323980091682

『ボイリング・ポイント/沸騰』https://twitter.com/pherim/status/1547191489905577984
『デリシュ!』“Délicieux” https://twitter.com/pherim/status/1564231979218120704
『ハンガー:飽くなき食への道』“คนหิว เกมกระหาย” https://twitter.com/pherim/status/1677156218396348416


フロア係役ホン・チャウめぐり追記するかもー

『ザ・ホエール』“The Whale”https://twitter.com/pherim/status/1641230003202588673




『独裁者たちのとき』“Сказка”『フェアリーテイル』
どこを切ってもソクーロフ飴の怪作きた。
ヒトラーやスターリン、チャーチルらが冥界の入口風な巨大扉を前に嗤い皮肉りあう地獄。
映画監督神にイジられ続けるムッソリーニのおトボケムーヴに笑う。イッセー尾形が昭和天皇演じる『太陽』の先に待ってた21世紀景。

"Skazka" "Fairytale" https://twitter.com/pherim/status/1652136053363605506

『精神の声』https://twitter.com/pherim/status/1022671291848040448




■Nippon Cinema Now部門
 https://2022.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...
 
『わたしのお母さん』
近くて遠い母との距離が、私の日々を孤独にする。
ふとみせる戸惑いの仕草、ためらいの目線。
井上真央の透徹した演技の細やかさを、“天然の鬱陶しさ”を醸す石田えりの表現力が引き立てる。冷静に状況を捉える杉田真一の演出含め、《誠実さ》こそ主役であるかのような珠玉作。

"" https://twitter.com/pherim/status/1592350507162796032 
 
『わたしのお母さん』、公式の井上真央/石田えり/杉田真一監督各インタビューがとてもいいし、少し映画の続編のような要素もあるので、映画が気に入ったひとはパンフ推奨。
あと脚本/撮影/照明/録音/美術/編集が全て1976~78年生まれの日本人というのは、たぶん本編の求心性と深い処で繋がっている。




『ケイコ 目を澄ませて』
目の前の一瞬をただ生き切る。
圧巻の三宅唱監督&岸井ゆきの主演作。
聾者のプロボクサーとして、黙々とリングに立ち続ける彼女の姿は、ジムが閉鎖し下町の再開発が進むほど逆に際立つ。
“きみの鳥はうたえる”を想起させる手法と素材の神的一致、がいざなう時間の至福。

"" https://twitter.com/pherim/status/1637279618070880258

三宅唱監督作:
  『きみの鳥はうたえる』https://twitter.com/pherim/status/1034633021956087808
  『ワイルドツアー』https://twitter.com/pherim/status/1096368625366138880
  《ワールドツアー》https://twitter.com/pherim/status/1097499262185746432
  『呪怨:呪いの家』https://twitter.com/pherim/status/1282510076192755713





■ジャパニーズ・アニメーション部門
 https://2022.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?departments=...

『ぼくらのよあけ』
夏、阿佐ヶ谷、近未来。
団地舞台のジュブナイルSFなんだけど、うん秋公開は製作遅れたからねってくらい夏。夏休みの大冒険で大切なものを見つける日本アニメ伝統の夏。
佐藤大脚本で、“宇宙小戦争”や“サイダーのように”同様レトロ風景へ最新ギミックを盛り込む手際絶妙。

"" https://twitter.com/pherim/status/1583712881056821248

『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』https://twitter.com/pherim/status/1502487576904540160
『サイダーのように言葉が湧き上がる』の場面画像と、戦前戦間期の版画家・川瀬巴水(1883-1957)。 https://twitter.com/pherim/status/1422345509390360601

団地発宇宙行き(パリ郊外版)
  『GAGARINE/ガガーリン』https://twitter.com/pherim/status/1495597726033416193
  拙稿「瓦礫のうえで」http://www.kirishin.com/2022/02/25/52929/


 
 

『夏へのトンネル、さよならの出口』
青春タイムリープの夏。
ボーイミーツガール王道展開から心の成長まできっちり描く良構成。“夏への扉”想わすタイトルとひまわりや無人駅の使い方、新海誠“ほしのこえ”ばりの隔絶表現など諸々巧い。
鈴鹿央士と飯豊まりえ の落ち着いた声の取り合わせは好きな感じ。

"" https://twitter.com/pherim/status/1566359946920628225




■黒澤明の愛した映画部門
 https://2022.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...
 
『晩春』
“年頃”を迎えるも父の元を去りがたき娘の逡巡を描く、小津安二郎1949年作。
原節子と親友役/月丘夢路、叔母役/杉村春子らの言葉の刺し合いが容赦なさすぎて抱腹絶倒。結婚に対する『秋刀魚の味』(1962)とは対極のグズりがラストで妖艶に昇華する。印象が様変わりした十数年ぶりの再見重畳。

"Late Spring"

『秋刀魚の味』岩下志麻演じるさりげなさ:https://twitter.com/pherim/status/1197732523129761792
『秋刀魚の味』名シーン(加東大介x笠智衆x岸田今日子) https://twitter.com/pherim/status/1648454797438357504
『浮草』1959 https://twitter.com/pherim/status/1309324474794221568





■TIFFシリーズ部門
 https://2022.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?keyword=&...

『ガンニバル』
暴力警官 vs 人肉食一族。
下界秩序の及ぶ里山を、旧家の財力で支配する山奥の後藤家、が崇拝するカニバリズム土俗信仰。素敵すぎる。
そして柳楽優弥と吉岡里帆の夫婦演技。法の番人が時に法を乗り越える必然を《抑え難い怒り》へ結晶化、妻だけが怒りを包摂し得る構図で魅せる。

"GANNIBAL" https://twitter.com/pherim/status/1683457472848363522 

柳楽優弥ツイ https://twitter.com/pherim/status/1082258545607725056
吉岡里帆in『島守の塔』ツイ https://twitter.com/pherim/status/1556816885437861888




 

 余談。次回TIFF開催と同月まで投稿を引っ張ってしまう、去年の轍をまた踏んでしまいました。orz

 今回5作再掲だけれど、今回扱ったガンニバルほか、映画の数倍時間かかるドラマツイートをふだん1作に数え掲載しているため、今回はこれで十作換算としまう。





おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh
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