pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2023年
11月14日
22:51

ふぃるめも285 憎まない蟻の風景

 
 

 今回は、11月4日~17日の日本上映開始作などから10作品を扱います。
 
 ※11月17日公開作オリバー・ストーン『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』および『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』については次回扱います。

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第285弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■11月4日公開作

『二人静か』

不妊治療のすえ産んだ子が、5歳時に失踪する。捜し続ける歳月を暮らす夫婦の前に、無闇に献身的な若い女性が現れる。
やるせなさが他人を結びつけ、からみ合う道行きの奥。転がる夫婦の性愛、拭えぬ記憶。シリアス演出一辺倒にやや平板さを感覚するも、母役/西山真来らの熱演に見入る。

"" https://twitter.com/pherim/status/1722093731258814876

『カウンセラー』https://twitter.com/pherim/status/1449936467829035010




■11月10日公開作

『正欲』

突き抜けた性的《超絶》マイノリティを演じる新垣結衣&磯村勇斗 の凄演。
そして二人の生存を賭けた共闘の前に立ちはだかる稲垣吾郎 演じる、“常識”を極限まで研ぎ澄ませた狂気で自らの家庭を喰い破る検事がまたヤバい。朝井リョウ原作を躍動させる岸善幸監督&港岳彦脚本の秀逸。

"" https://twitter.com/pherim/status/1716974214086013364

『街の上で』https://twitter.com/pherim/status/1378335473408466948
『半世界』https://twitter.com/pherim/status/1094526964944097281


#東京国際映画祭、あす発表の賞レースで一つこれはほぼ確と予想できるのが、『正欲』の観客賞受賞です。
去年の観客賞は『窓辺にて』(前ツイ引用RT↑)、一昨年は『ちょっと思い出しただけ』(↓)。この流れはまぁ固いかなと。それにしても稲垣吾郎 の誘引力よよ。 #TIFFJP

『ちょっと思い出しただけ』https://twitter.com/pherim/status/1466739196845260810

『正欲』観客賞決定!
おめでとうございます〜




『ぼくは君たちを憎まないことにした』
テロで最愛の妻を失った男が、悲しみの底で「今まで通りの生活を続ける」とSNSへ書きつけた言葉は世界を席巻する。
残された息子と暮らす中で、憎しみや怒りを拒否する声明へ至る戸惑いと気づきの時間を、瑞々しくも静謐に描きだす演出の抑制ぶりに震撼する。

"Vous n‘aurez pas ma haine" "YOU WILL NOT HAVE MY HATE" https://twitter.com/pherim/status/1722607802680746298

『女は二度決断する』https://twitter.com/pherim/status/989812428983562241

【映画評】女は二度死ぬ、二度生まれる。https://twitter.com/pherim/status/1642645806812663810





『駒田蒸留所へようこそ』
実家の蒸留所を継いだ女若社長が、災害で失われた幻のウイスキー《KOMA》の味復元に奮闘する。
『SHIROBAKO』他お仕事系アニメの実績豊富なP.A.WORKS制作だけあり質実安定。味と香りという非視聴覚テーマを再現する醸造工程は秀逸。終幕後飲みたくなること必定の逸品。

"" https://twitter.com/pherim/status/1722449527163301968 
 
『ジョージア、ワインが生まれたところ』https://twitter.com/pherim/status/1186190554951872512
『ワイン・コーリング』https://twitter.com/pherim/status/1187925110482620416





『蟻の王』
ローマで同棲を始めた師弟が引き離され、弟子青年は電気ショックの“治療”で心神喪失、師匠は法廷で追い詰められゆく’60sイタリア社会描写も興味深い実録物。
詩人で劇作家、蟻の生態研究者である主人公の人物造形がポー河畔の街と引き立て合う、ジャンニ・アメリオ監督による豊醇作。

"Il signore delle formiche" "Lord of the Ants" https://twitter.com/pherim/status/1721739387904696607

『ナポリの隣人』https://twitter.com/pherim/status/1090084081805578240
『靴ひものロンド』https://twitter.com/pherim/status/1568888576255094784

『甘き人生』について書きました。http://www.kirishin.com/2017/07/19/7678/





『1%の風景』
日本では1%の人しか選ばなくなった助産所/自宅出産の今日模様。
自然分娩を含むプロセス全体が撮られ、「死に触れるうち生まれる現場で働きたくなった」と明るく語る元看護師や、「みんな待つことができなくなったね」と呟くベテラン助産師の瞳の奥へ降り積もる時の蓄積など想う。

"" https://twitter.com/pherim/status/1722885130577178963 

『GOGO(ゴゴ) 94歳の小学生』https://twitter.com/pherim/status/1341941438653710336
『ルージュの手紙』https://twitter.com/pherim/status/939136376309555200





■11月10日配信作(10月27日劇場公開作)

『ザ・キラー』“The Killer”
Netflix
徹底した自己管理と精神集中により、確実に暗殺をこなす殺し屋、のはずだった。
デヴィッド・フィンチャー新作は、主人公の完璧主義が陥る迷走を、安直に嗤うコメディへと堕さずソリッドに描き切る映像音楽キレッキレの痛快作。端役T・スウィントンも滅法良い。

"The Killer" https://twitter.com/pherim/status/1724403125401076106 
 
『ゴーン・ガール』https://twitter.com/pherim/status/533166207369633794




■11月17日公開作

『アメリ デジタルリマスター版』

このうえなき珠玉の眼福娯楽作が、精彩化する幸福。
カフェにゆき交う恋愛模様、骨の繊細な心優しきお爺さん、証明写真機を巡る謎すべてが愛惜しい。
オドレイ・トトゥの可愛さ爆裂、ヤン・ティルセン音楽極上のジャン=ピエール・ジュネ傑作再臨。

"Le fabuleux destin d'Amélie Poulain" "Amelie" https://twitter.com/pherim/status/1723531117884747846

『天才スピヴェット』https://twitter.com/pherim/status/553083503735099392




■日本公開中作品

『オペレーション・フォーチュン』

ウクライナで盗まれ100億$で取引される謎のブツを標的に、英国諜報部MI6が最強の男を雇う。
ガイ・リッチーが撮るジェイソン・ステイサムが観たいんだよ!という欲望に100%応えるスパイアクション快作。
ヒュー・グラント&ジョシュ・ハートネットが笑える良スパイス。

"Operation Fortune: Ruse de Guerre" https://twitter.com/pherim/status/1721508542610633030 

『キャッシュトラック』https://twitter.com/pherim/status/1445729170240114692




■国内過去公開作(含映画祭上映作)

『2000人の狂人』
Herschell Gordon Lewis 1964
今ならどんだけアングラ過激志向の新鋭でも実現不能だろう高水準アンチモラル残酷映像。
ナンセンス画としてアリ、が最前提なのは言うまでもないとして、今つくれないものがすでに蓄積されていることの視覚的豊穣とあり得た罪咎など想わされ。

"Two Thousand Maniacs!" https://twitter.com/pherim/status/1706292906989068460





 余談。帯状疱疹を罹患中。とツイートしたら、カナダライさんなど旧知のかたはむろん、これまで交信のなかった映画アカウントのかたがたからもリプをいただき、年1あるかないかという“延びるプライベートツイ”に。たしかにふだんTLで映画ツイだけ見かけてるひとが急に病気になったりしたら目に留まるし、元気づける意味で何かしら反応しておきたくなりますね。というささやかな発見など。ありがたいことです。





おしまい。
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