今回は、5月17日の日本上映開始作など10作品を扱います。(含配信ドラマ1話)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第306弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■5月17日公開作
『ありふれた教室』
恐怖の教室。校内で相次ぐ窃盗をめぐり、教師カーラは証拠を押さえ告発するも、事態は壮絶な地獄絵巻へ。
多様性の極地と化した学校を素材とする映画が増えた昨今でも、この方向性は新しい。権利に煩いアラブ人男性教師との関係や校内新聞の差し止めなど、細部が逐一興味深い。
"Das Lehrerzimmer/The Teachers' Lounge" https://twitter.com/pherim/status/1788490624989376861
『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』https://twitter.com/pherim/status/1234592506035109888
『死の教室』https://twitter.com/pherim/status/1197717612215431169
『ぼくたちの哲学教室』https://twitter.com/pherim/status/1662084941746929666
『ティアーズ・オブ・ブラッド』
地下鉄ホームから転落した若者と、急停止させた運転士が父子と判明して始まるクライムノワール。
警察内部でも汚職や父娘関係が描かれ、謎多き運転士ともども錯綜する、ラジ・リ版レ・ミゼラブルで脚本を手掛けたジョルダーノ・ジェデルリーニ監督作。血眼の迫力。
"Entre la vie et la mort/On the Edge" https://twitter.com/pherim/status/1789639504279785644
『レ・ミゼラブル』https://twitter.com/pherim/status/1232142772452282369
『バティモン5 望まれざる者』
『2重螺旋の恋人』https://twitter.com/pherim/status/1023395969147133952
『湖の女たち』
一切の弛緩なきクライムノワール秀作。
浅野忠信が、脇役ながら警察の組織的堕落を一身に背負う中年刑事の粗暴さと切なさを重厚に体現、真面目過ぎて底の破れる主人公役/福士蒼汰を引き立てる。
松本まりかの体当たり熱演に、同じ大森立嗣監督作MOTHERの長澤まさみも想起され。
"" https://twitter.com/pherim/status/1789515438168387877
『MOTHER マザー』https://twitter.com/pherim/status/1276712524604297216
『鵞鳥湖の夜』『兎たちの暴走』https://twitter.com/pherim/status/1465625921243648002
『ソイレント・グリーン』デジタル・リマスター版 1973
終末世界を生きる刑事が、食糧企業幹部の殺害事件から奇怪な真実へと迫る。
家具化した娼婦との情事、生の牛肉に涙する老人、絶望し切った神父。
50年前の想像力が描く、2022年のレトロフューチャー味溢れるディストピア世界が興味深い。
"Soylent Green" https://twitter.com/pherim/status/1790216882081190059
『ナイロビの蜂』『ブラッド・ダイヤモンド』
https://twitter.com/pherim/status/1365965880652308487
『秘密への招待状』
https://twitter.com/pherim/status/1357178129995866114
『シド・バレット 独りぼっちの狂気』
ピンク・フロイドを創った男の天才性と、脱退後の30年へ迫ったドキュメンタリー。
狂ったと噂されたその後の足取りを、関係者取材から炙りだす。創造性と実人生との交接が孤立を伴う様に、サリンジャーなどが想起され。共感覚を伴う絵画への着目も良かった。
"Have You Got It Yet? The Story of Syd Barrett and Pink Floyd" https://twitter.com/pherim/status/1788344801341182035
『ライ麦畑で出会ったら』https://twitter.com/pherim/status/1053988654031429637
『MORE/モア』https://twitter.com/pherim/status/1455335063910973440
『ボブ・マーリー ONE LOVE』
レゲエの神様がどう生き、どう死んだか。
ラスタファリ思想上の信念から足親指の癌切除を拒み、36歳で夭折した歌聖の生涯。妻や息子&娘らを製作陣に迎えたことで、神話化されがちな逸話の内幕が質実に再現される。
白人の実父や銃撃事件の犯人との対峙場面など胸熱。
"Bob Marley: One Love" https://twitter.com/pherim/status/1788877982402281559
『ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ』デジタルリマスター https://twitter.com/pherim/status/1762394390910357934
『ボブ・マーリー ルーツ・オブ・レジェンド』“MARLEY”https://twitter.com/pherim/status/1786754357205324056
『リマスター ボブ・マーリー』https://twitter.com/pherim/status/1787664482313146519
『ボンゴマン ジミー・クリフ デジタル・リマスター』https://twitter.com/pherim/status/1779603847117500602
『ハーダー・ゼイ・カム』https://twitter.com/pherim/status/1780879723595432405
『PS-1 黄金の河』
南インド10世紀チョーラ朝の王子2人と王女が、渦巻く陰謀から王国を守るべく各々の立場で奮戦する。
バーフバリのファンタジー要素はなく、質実な史劇を派手なアクションで彩る趣向はRRRを想わせる。
衣装&建築が豪奢で、ランカ島(現スリランカ)巡る攻防時の軍船描写など垂涎。
"Ponniyin Selvan: Part One/Ponniyin Selvan" https://twitter.com/pherim/status/1790000022827782336
『ランガスタラム』“Rangasthalam”https://twitter.com/pherim/status/1678390369783001089
『RRR』https://twitter.com/pherim/status/1623890228070199297
■5月17日配信開始作
『ザ・レジーム / 壊れゆく政権』 1話 U-NEXT
ケイト・ウィンスレットが、ユーラシアの独裁国家を統べる大統領に扮する政治劇。
HBO製作の重厚さ堪能。独裁者の真剣な振る舞いが笑えてまう姿に“葡萄畑に帰ろう”が、権力者なりに苦労する顛末に“独裁者と小さな孫”が想起され。
"The Regime" https://twitter.com/pherim/status/1789843882898756073
『葡萄畑に帰ろう』https://twitter.com/pherim/status/1515299470207971332
『独裁者と小さな孫』https://twitter.com/pherim/status/686833749376413696
『女と男の観覧車』https://twitter.com/pherim/status/1013056417412968448
■日本公開中作品
『夜明けのすべて』
この喜びも悲しみも必ず終わる。
いまここにしかない闇と光。
夜明け前が一番暗い。
メンタルを病む主人公ふたりにこそ、現代に適応した健常者たちよりずっと体温を感じる世界観。次は何を見せてくれるのか、今一番な楽しみな監督は三宅唱だと思う。
"" https://twitter.com/pherim/status/1786855084716138671
『ケイコ 目を澄ませて』https://twitter.com/pherim/status/1637279618070880258
『きみの鳥はうたえる』https://twitter.com/pherim/status/1034633021956087808
『ワイルドツアー』https://twitter.com/pherim/status/1096368625366138880
《ワールドツアー》https://twitter.com/pherim/status/1097499262185746432
『呪怨:呪いの家』https://twitter.com/pherim/status/1282510076192755713
『ippo』https://twitter.com/pherim/status/1610183519048970240
■国内過去公開作
『バービー』
マーゴット・ロビーのハマり具合と、ワンハリでもスーサイドでもなくアイ,トーニャが想起された意外性。
グレタ・ガーウィグ監督、レディ・バード&若草物語からの展開ヤバ、次が楽しみ。
あとライアン・ゴズリングに笑い通し。肉襦袢みたいな体が本物と知ってさらにおもろ。
"Barbie" https://twitter.com/pherim/status/1789108201600033242
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』https://twitter.com/pherim/status/991329909975826434
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』https://twitter.com/pherim/status/1416974863240101888
余談。『PS-1 黄金の河』、とにかく美麗で、どこまでCGでどれくらいお金がかかってるのか、あるいはかけずに出来てるのか、もうちょっと判断不能な感じで、とはいえどんだけ美麗化してもそこが本質ではないんだよなと思わせるあたり、一時期の韓国製MMOにダブるものあり。じゃぁどこが、っていう水準でいうと、『夜明けのすべて』。現状ことし前半の日本映画ベスト。このラインでは、濱口竜介新作がとっても楽しみ。
おしまい。
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