今回は、5月3日~10日の日本上映開始作を中心に、11作品を扱います。(含再掲1作/短編1作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第305弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■5月3日公開作
『無名』
トニー・レオン/梁朝偉の含み笑いがドハマりするスパイ活劇。
40年代の魔都上海で錯綜する各勢力利害を、幾重にも真意を隠すスパイたちの対立が象徴する。
W主演で憎み合うワン・イーボー/王一博とのスタントなしの肉弾戦も魅せまくる、今後が楽しみな程耳/チェン・アル監督作。
"无名/Hidden Blade" https://twitter.com/pherim/status/1785145255534428483
『サタデー・フィクション』“蘭心大劇院” https://twitter.com/pherim/status/1720645318826762280
横光利一, 芥川龍之介ほか「上海」旅行時連ツイ:https://twitter.com/pherim/status/1026328176530612224
『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』
おかん、奮戦。
グアンタナモへ収監された無実の息子を救うべく、トルコ移民の立場からドイツ政府を動かすまで。
前作『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』からの展開、メルケルに母的連帯感抱く場面などアンドレアス・ドレーゼン監督面白い。
"Rabiye/Rabiye Kurnaz vs. George W. Bush" https://twitter.com/pherim/status/1785279912292835820
『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』https://twitter.com/pherim/status/1392307176891244548
『モーリタニアン 黒塗りの記録』https://twitter.com/pherim/status/1452054509748834309
『人間の境界』“Green Border”
難民を人間兵器とみなすベラルーシのEU移送政策と、対抗するポーランドの強制送還措置との狭間で、人間性を剥奪される人々。
傑作『赤い闇』の監督A.ホランドが、森奥でシリア/アフガン/ウクライナ難民らが味わう苦難を劇映画化。支援者や国境警備隊員の戸惑いも迫真的で考えさせる。
"Zielona granica/Green Border" https://twitter.com/pherim/status/1786609150518272431
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』https://twitter.com/pherim/status/1293741535620558849
『ザ・クロッシング』“La Traversée” https://twitter.com/pherim/status/1612000176687943680
『青春18×2 君へと続く道』
台南のバイト先に現れた日本人女性に恋する青年が、やがて旅する切なき信越会津。
藤井道人監督/脚本の、東アジア恋愛映画の粋を極める巧さに慄く。中華圏の岩井俊二潮流に台湾新電影風味、主題歌ミスチルで主演/清原果耶&許光漢、脇役/松重豊&黒木華ってこの無敵感。
"" https://twitter.com/pherim/status/1786048509940322387
※『悲しみより、もっと悲しい物語』に通じる物語性その他めぐり追記するかも~
台日映画:
『百日告別』https://twitter.com/pherim/status/838614561301262336
『夕霧花園』https://twitter.com/pherim/status/1418912927952764928
『悲しみより、もっと悲しい物語』https://twitter.com/pherim/status/1244504878417735680
藤井道人監督作:
『パレード』https://twitter.com/pherim/status/1785861077953356104
『ヴィレッジ』https://twitter.com/pherim/status/1673893122055766016
『殺人鬼の存在証明』“Казнь”
十年前の誤認逮捕で失墜した名誉挽回を賭して、熟練刑事が連続殺人犯を追い詰める。
ロシア映画独特の軽躁感を伴うクライムノワール展開は先が読めず面白い。プーチン政権下の元検事局長から採られた主人公イッサの名が利いてくる意外性に、監督の鋭敏さが露出する。
"Kazn/The Execution" https://twitter.com/pherim/status/1786266721357271383
『猟人日記“狼”』https://twitter.com/pherim/status/1548518343648239616
中華ノワール連ツイ https://twitter.com/pherim/status/1314517116268081152
■5月10日公開作
『ジョン・レノン 失われた週末』
「23歳で初めて同棲した相手がジョン・レノン!」
オノ・ヨーコから交際を促された秘書メイ・パンの独白。袂を分かったマッカートニーの訪問、デヴィッド・ボウイやエルトン・ジョンとのセッションなど“失われた週末”を巡る息子ジュリアン・レノンの回想も聞かせる。
"The Lost Weekend: A Love Story" https://twitter.com/pherim/status/1785629878622240968
『リバイバル69 ~伝説のロックフェス~』https://twitter.com/pherim/status/1710119253553418303
オノ・ヨーコ展示 https://twitter.com/pherim/status/1529416674684080128
『フューチャー・ウォーズ』“Le visiteur du futur”
原発の爆発により終末へ向かった2555年の世界線から、爆発を防ぐためタイムトラベラーが訪れる。
時間警察との格闘などがユーモラスに描かれ、フランス産低予算コメディ映画特有の軽躁感が全編を占めながらも、徐々に深刻する語り口は印象的。
"Le visiteur du futur/The Visitor from the Future" https://twitter.com/pherim/status/1787818479753871481
『タバコは咳の原因になる』https://twitter.com/pherim/status/1601054074778288128
『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』https://twitter.com/pherim/status/1546033433797083136
『世界の果てまでヒャッハー!』https://twitter.com/pherim/status/798328054321815552
『クイーン・オブ・ダイヤモンド』1991
ラスベガスのカジノでディーラーをして暮らす女の、永遠に反復される日々。
反復が強力すぎて、研ぎ澄まされたカードさばきもふと客へ振る舞う笑みも人形のように映り、過ぎ去る男たちは風景と化し砂漠的な孤独を想わせる。
ニナ・メンケス、不朽の一作。
"Queen of Diamonds" https://twitter.com/pherim/status/1615707143965118464
「ふぃるめも256 アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション上映作」国立映画アーカイブ特集企画
https://tokinoma.pne.jp/diary/4802
『トランスフュージョン』
最愛の妻を事故で亡くした元特殊部隊員が、息子との関係回復のため裏稼業へ手を出したら、さぁ大変。
“Transfusion=輸血”への着目は珍しく、音楽と孤立感ある夜描写が趣深い。ハクソー・リッジ他、2030年代の第5作までアバター主役予定のサム・ワーシントン主演新作。
"Transfusion" https://twitter.com/pherim/status/1787456706194370962
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』https://twitter.com/pherim/status/1611329580840931329
『ハクソー・リッジ』https://twitter.com/pherim/status/873904299448745986
拙記事『ハクソー・リッジ』 https://www.kirishin.com/2017/07/07/7286/
『夢の中』
カメラマン志望の青年と、死の予感に包まれた女性との夢幻的ボーイミーツガール物語。
画と音楽で魅せる映像詩展開ながら、台詞がダブつく印象に若書き感も孕む都楳勝監督作で、『階段の先には踊り場がある』他を生んだレプロエンタテインメント《感動シネマアワード》グランプリ受賞作。
"" https://twitter.com/pherim/status/1788042921163514056
『階段の先には踊り場がある』https://twitter.com/pherim/status/1504790190203699202
『クイーンのワンペア』“一Pair囡”https://twitter.com/pherim/status/1617388162942390275
■国内過去公開作(含映画祭上映作)
『蝸牛』U-NEXT
中学3年生となった野球少年は、己の性に違和感を覚えだす。幼馴染の少女は、意中の少年がトランスジェンダーとして目覚める予感に慄える。
性未分化をカタツムリに象徴させる発想の起点が面白い、『夢の中』の都楳勝による監督短編。第12回下北沢映画祭コンペ部門準グランプリ。李駿碩/ジュン・リー短編『吊吊揈』も想起され。
"" https://twitter.com/pherim/status/1169409293189148673
李駿碩『吊吊揈』“My World”https://twitter.com/pherim/status/1168085723053842432
余談。
こめかみをつなぐラインで水平に頭が縛られてる感じというのは寝起きによくあることなのだけど、しばらく晴れがつづいたあとの雨天つまり低気圧のせいなのか、目覚めてからけっこう経つのに維持されていて、だから抑制がかかっている体感がありながら、寝起き時特有の頭の冴えも幾分か持続されている感じがして、トータルでいうといま珍しい自覚状態で、すこし頭を使うレベルの雑務が淡々とこなせていく。
それで発見したのはこの映画ツイはいまそういうジャンルの“作業”になっているということで、まぁ始めたきっかけが備忘録なのだから、まさに忘れないための作業なんだよな、ということはしばらく忘れていた気がほんのりする。初心忘るべからずの朝。
おしまい。
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