今回は、6月7日~8日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。(含配信ドラマ2クール/中短編2作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第309弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■6月7日公開作
『あんのこと』
毒母に虐げられ続ける娘(河合優実)の更生を支える人々、阻む現実。#稲垣吾郎、善悪反転キャラの深淵。
佐藤二朗の刑事役、泥臭さにガチ惚れる。狐狼の血/役所広司&松坂桃李や湖の女たち/浅野忠信の系譜を堂々更新。入江悠監督サイタマノラッパーから15年、これは画期作になりそうな。
"" https://x.com/pherim/status/1796803195320332484
『湖の女たち』https://x.com/pherim/status/1789515438168387877
『すばらしき世界』https://x.com/pherim/status/1359107609886818307
『死刑にいたる病』https://x.com/pherim/status/1521471258382434306
『あんのこと』めぐる鋭き一閃。
入江悠監督が鬼迫を感じたとRTするのも納得の。
“自殺とは、他殺である”
“他者への想像力を持たない人に、ほんとうの祈りは不可能だ”
“さまざまな生が、今日もあなたに混ざっていく”
戸田真琴さんが感じた、実在の人物を描く怖さと希望の光:
https://hanako.tokyo/culture/436099/
『あんのこと』は母役/河井青葉も凄まじい。初期から常連の濱口竜介監督作では穏やか/内向的な女性を演じてきた彼女が、キレまくる超自己中の毒母を怪演。
そして #稲垣吾郎、サイコパス仕草に加え、真面目ゆえに悪と化す人間の業を演じさせたら日本代表級の俳優になった観。
『PASSION』https://x.com/pherim/status/868475053767180288
『偶然と想像』https://x.com/pherim/status/1499706415367143426
『正欲』https://x.com/pherim/status/1716974214086013364
『窓辺にて』https://x.com/pherim/status/1587236575834157056
佐藤二朗さんから「嬉しき感想」との引用RTいただき、44万viewsってさすがの200万フォロワー力。
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https://x.com/actor_satojiro/status/1797438374950875378
『プリンス ビューティフル・ストレンジ』
鬼才プリンスのロックからファンクへ、幼少期からポップス頂点を経た57歳の急死まで。
音楽家両親の南部州からミシシッピ川を北上した遍歴に、米国黒人音楽史を重ねる構成の妙が全編利く。チャカ・カーン、チャックD、ビリー・ギボンズらの回想聴かせる。
"Mr Nelson on the North Side" https://x.com/pherim/status/1798241839646142771
『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』https://x.com/pherim/status/1515911077262868481
『ルイジアナ物語』https://x.com/pherim/status/1033995779013206016
『グリーンブック』https://x.com/pherim/status/1100377298035855361
『違国日記』、マンガ映画化の大成功作でした。
新垣結衣「うちへ来るといい。盥回しはなしだ」
姪(早瀬憩)を引き取るこの序盤で原作超える予感に鳥肌立ったけど、親友のLGBT描写や優等生の孤立など脇役も鮮烈で、瀬田なつき監/脚の構成力恐るべし。
そして一瞬で海街diaryの華やぎ醸す夏帆圧巻。
"" https://x.com/pherim/status/1795423233715667427
『海街diary』『MOTHER マザー』https://x.com/pherim/status/1278324463541514242
『正欲』https://x.com/pherim/status/1716974214086013364
『Red』https://x.com/pherim/status/1226711689493504001
『違国日記』で忘れがたいのが、中盤のLGBT描写。
体育館へ差し込む陽光までもが神懸って感じられる、小宮山莉渚↙熱演の珠玉場面。そこにはいない新垣結衣の演技派へ確変し『正欲』を経た存在感や、ヤマシタトモコ原作の穏やかな日常描写に潜む鋭敏さが、確実に響いていた。
『男女残酷物語 サソリ決戦』 1969
慈善財団幹部のイケオジが、実は拷問好きのド変態。女性ジャーナリストを毒牙にかけるも、なぜか二人で想像超える性異次元へ。
無限の財力で試される“俺の考えたエロ凌辱”の数々が、55年後には至高のギャグと化す切なみ。1969年イタリアの時代性を考えると一層趣深い。
"" https://x.com/pherim/status/1797974147936743601
『女性上位時代』('68) https://x.com/pherim/status/1401905454427430912
『5月の花嫁学校』https://x.com/pherim/status/1404722891904622601
『罪深き少年たち』
ソル・ギョングが、狂犬と呼ばれても信じる正義貫く刑事を熱演。
スーパーでの強盗殺人を巡り少年らへ自白強要した警察の暗部が17年後に暴かれた実話が基で、韓流社会派系譜が放つ官憲批判の志は圧巻。エンタメ性を堅持しながら社会と格闘し変革する映画表現の底力に戦慄する。
"소년들/The Boys" https://x.com/pherim/status/1797105276824563877
『悪の偶像』https://x.com/pherim/status/1276076794127372288
『殺人者の記憶法』https://x.com/pherim/status/955280957283553280
『茲山魚譜 チャサンオボ』https://x.com/pherim/status/1459691184624791552
『罪深き少年たち』、官憲の腐敗と対峙する人物を描く点ではソル・ギョングが19世紀の流罪学者を演じる『茲山魚譜 チャサンオボ』にも通底するものあり。ネタ的に読まれなかったけど、書いて手応えのあった映画記事、よろしければご笑覧いただきとう。↓
拙稿「信従のまなざし、遠流の明晰。」https://www.kirishin.com/2021/11/19/51548/
『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』
旧知の女性から届いた“最期の挨拶”に返事するため郵便ポストへ出かけたら、そのまま彼女の元へ800kmの徒歩旅と化した翁の冒険。
呆れつつ嫉妬する妻、途上出逢う訳あり青年やワンコとの交感も楽しく切ない。苦虫潰しながら笑うJim Broadbentの表情演技素敵。
"The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry" https://x.com/pherim/status/1797248408509710767
『ゴヤの名画と優しい泥棒』https://x.com/pherim/status/1497048601939230724
『家(うち)へ帰ろう』https://x.com/pherim/status/1075960790056747009
『ベイルート - ブエノス・アイレス - ベイルート』https://x.com/pherim/status/1242669752008359937
■6月8日公開作
『左手に気をつけろ』
感染しない子どもが警察となり、感染源となる左利き人間を集団で逮捕する狂錯社会を描く井口奈己監督中編。
PLAN 75を生んだ『十年 Ten Years Japan』を想起させる並行世界描写と、子ども映画ワークショップ調のおっとり風味、主演/名古屋愛のうろたえカメラ目線が趣ある。
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『PLAN 75』https://x.com/pherim/status/1535835122507067392
『十年 Ten Years Japan』https://x.com/pherim/status/1056860832338857985
『十年 Ten Years Thailand』https://x.com/pherim/status/1060724596192636928
香港版『十年』https://x.com/pherim/status/1061173689146728448
『だれかが歌ってる』
耳から離れない旋律、ふと口ずさんでしまうメロディが結ぶ縁。
音で場面の連なりゆく感覚が、清原惟監督作も想わせる井口奈己監督掌編。清原作が時間→空間性へ展開したのに対し、偶有/他者性へ焦点化している観。世田谷風トラム住宅街描写良い。
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清原惟監督作連ツイ https://x.com/pherim/status/949964821977382912
■国内過去公開作(含映画祭上映作)
『バーバリアン』“Barbarian”
Airbnb泊まろうと思ったら、地下がとんでもないことになっていてもぅ大変。
二重予約で鉢合わせた起業家イケメンとイイ感じになる導入部や、セクハラ訴訟で人生崩壊するオーナーとかの枝葉が面白く、配役も好きな感じ。からの地底展開おもろ。
"Barbarian" https://twitter.com/pherim/status/1790734567311384600
“As Above, So Below”(地下に潜む怪人) https://twitter.com/pherim/status/1345307274433032193
“JeruZalem”https://twitter.com/pherim/status/1380771001286324224
『DIG 聖都の謎』https://twitter.com/pherim/status/1382171398609588232
『COMET/コメット』https://twitter.com/pherim/status/1730969922682093667
■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)
『もうすぐ死にます』
自死した若者の転生ループ物。ブラッシュアップライフのバカリズムに当たる“死”役のパク・ソダム(パラサイト娘役)、癌闘病後の凄味宿す冷徹演技。
名優オ・ジョンセが熱血刑事に扮する後半で、ガラリと社会派へ転じる韓流ドラマ構成の妙&勢い堪能。
"이재, 곧 죽습니다/Death's Game" https://x.com/pherim/status/1799341873502519326
“死とはこの苦しみに終止符を打つための道具だ。”
『ブラッシュアップライフ』https://x.com/pherim/status/1754479430129615166
『パラサイト 半地下の家族』https://x.com/pherim/status/1208610623967248386
余談。
『あんのこと』ツイが主演/佐藤二朗さんに引用RTされるなど。
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https://x.com/actor_satojiro/status/1797438374950875378
監督/出演俳優/スタッフさんにRTされることはよくあるけど、フォロワー200万のひとにRTされると、さすがに伸びる。
(てかインプレッションの挙動がしばらく変わる)
おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh
コメント
06月10日
20:17
1: ruitomy
違国日記の映画は、素晴らしいそうで良かった。
マンガ好きとはいまの営業所では、知られてなかった。マンガが趣味と言った時に、じゃあオススメはと聞かれ(女性事務員2人から)、この今度映画化する「違国日記」と答えた自分を褒めたい。