pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2025年
12月02日
06:59

ふぃるめも386 Costa / Sakamoto / Satosan

 
 

 今回は、11月28日~29日の日本公開作など10作品を扱います。(含短編1作)

 ※短編&TIFF再掲作分の調整は10-12月ふぃるめもの配信ドラマ/アニメ換算にて。
 
 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめです。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■11月28日公開作

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』
― 雨音だけは不思議と、思考の邪魔をしない。
最期の1時間前まで奏で続けた指。書物との対話。高橋幸宏逝去当日の日記のあと細野晴臣が語りだすまでの、《間》。
要素を削る映像が、沈黙を引き立てる。担当医師の畏怖。ゴダールの安楽死。慄える声。音と時間の映画。

"Ryuichi Sakamoto: Diaries" https://x.com/pherim/status/1992191241417810157

私的幼少時坂本龍一体験: https://x.com/pherim/status/1678651533687422977
坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE-WELL-TOKYO》霧の彫刻 https://x.com/pherim/status/1905565835651154122
「音楽のためだけに音楽を書いていると、音楽という様式の中での洗練へと向かわざるをえない、それはひとつの完成に向かうこと、生命が死んでゆくことですよね。面白くも何ともないのね。」(坂本龍一 カセットブック『Avec Piano』1983) https://x.com/pherim/status/298960221685035010

『MINAMATAーミナマター』https://x.com/pherim/status/1440145062990532614
『天命の城』https://x.com/pherim/status/1011217544605155328
『第一炉香』https://x.com/pherim/status/1518561356500275200『BECKETT ベケット』https://x.com/pherim/status/1426757728505012224
『あなたの顔』"你的臉" https://x.com/pherim/status/1275261955637301249


※ナレ、月の写真などめぐり追記予定。「ちきしょう、ブータンに行ってしまうか」




『そこにきみはいて』
外見は落ち着いた恋人同士ながら、特殊な事情を抱える関係性が男の自死によって終わり、女は心の旅へ出る。
竹馬靖具監督作。物語そのものがアンビエント調で穏やかな音響とよく合う点で、過去作『ふたつのシルエット』も想起させる。福地桃子、芯の強さと脆さを併せ持つ熱演。

"" https://x.com/pherim/status/1993508516737458335

『ふたつのシルエット』https://x.com/pherim/status/1297730327033475073

中川龍太郎が原案で、準主演級の役で出演もしており、演者による物語の咀嚼という観点から大変に興味深い。以下中盤までのネタバレとなるのだけど、要はアセクシュアルとバイセクシュアルのカップルの話なのだけれど、そこに開く(死後明らかとなる)断絶の表現が、なかなかに考えさせられる。現実には昇華しきれない欲望を御しきれない感じ、くらいまで一般化できれば普遍的な問題軸として広く共感もされ得るのか。




『タイタニック』Titanic the Musical
華やかな客室描写から、氷山接近を軽くみた加速で緊張感増す流れが圧巻。1997年Broarway初演のUK公演版。
機関室場面が一番見応えあるのは映画版同様で、イングランド中部の炭鉱労働者がボイラー室で“俺帰ったら結婚”フラグ立てる切なさよ。

"Titanic the Musical" https://x.com/pherim/status/1995365691650896062

『エニシング・ゴーズ』Anything Goes https://x.com/pherim/status/1982275360507994375
『インディセント』אינדעצענט https://x.com/pherim/status/1989650890186526924

『海の上のピアニスト イタリア完全版』機関部 https://x.com/pherim/status/1298399601389576192
十代pherimのバンコク『タイタニック』鑑賞 https://x.com/pherim/status/850674688971886594





『兄を持ち運べるサイズに』
柴咲コウ演じる理子が、奔放すぎて憎かったクズ兄の死後処理に東北へ。親類の逝去に焦点化し続ける中野量太監督新作。
オダギリジョーの“冥界”演技が、村井理子原作の自重かかる物語に抜けを生む。感情の抑揚が見事で、ダメ男を愛した元妻役/満島ひかりの明るさも光る。

"" https://x.com/pherim/status/1993151083913588982

『湯を沸かすほどの熱い愛』https://x.com/pherim/status/865430850002763776
『長いお別れ』https://x.com/pherim/status/1132496653766647808





『ナイトフラワー』
北川景子扮するシングルマザーが、窮して薬密売に手を出し悪循環のドツボへ嵌り込む。
ヤングケアラー要素は“逆火”を継ぐ内田英治監督脚本作。ガチ社会派作は別に脚本家がいる方が端正にキマる印象。“異動辞令は音楽隊!”同様に渋川清彦の使い方が好き。

"Night Flower" https://x.com/pherim/status/1993836022195798312

『逆火』https://x.com/pherim/status/1941845054362202282
『異動辞令は音楽隊!』https://x.com/pherim/status/1560947213827981314





『消滅世界』
人工授精による出産が常識化し、夫婦間SEXは近親相姦とみなされる近未来。
蒔田彩珠が、旧態の恋愛結婚観に縛られた母を嫌悪する主人公の戸惑いを好演。
原作/村田沙耶香の醒めて距離感の顛倒した作品世界が、物理身体のスレ違わなさへ還元された描写は巧い。母役/霧島れいか出色。

"" https://x.com/pherim/status/1994238456642629926

『PLAN 75』https://x.com/pherim/status/1535835122507067392
『十年 Ten Years Japan』https://x.com/pherim/status/1056860832338857985





『佐藤さんと佐藤さん』
岸井ゆきの、本当に凄い。
司法試験に落ち続ける恋人を励ますため一緒に勉強を始めたサチは先に合格し、妊娠出産する。亀裂を感じても先へ進まねば、毎日を続けねば。
どろりと零れ落ちる蜜のように関係の崩れを描く天野千尋監督の胆力に、十全と演者が応える。沁みる秀作。

"" https://x.com/pherim/status/1993294366165864734

『ケイコ 目を澄ませて』https://x.com/pherim/status/1637279618070880258
『若き見知らぬ者たち』https://x.com/pherim/status/1842546412141392127





■11月29日公開作

『WE-入口と世界の出口』
2073年の監視社会化した日本で、治外法権化した“スペース E”へ逃避、閉塞する人々。
小池博史舞台の映像化作で、パパ・タラフマラ後の突進具合を感じられたのは良かった。能楽やホーミーやケチャなど各々ガチな取り組みが美術や映像とまとまり切らない惜しさはある。

"" https://x.com/pherim/status/1994044378164445351

『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』https://x.com/pherim/status/1630123535288135681




▼《ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ》東京都写真美術館
 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5093.html

《火の娘たち》As Filhas do Fogo 2022
カーボ・ヴェルデのフォゴ島噴火へ、チェーホフ『三人姉妹』を重ねた三部構成。
スクリーン生地を戦がせる風と、三女性の声を圧として浴び、闇に浮かぶ三連祭壇画の中を歩くような、インスタレーションならではの体感性が刻まれる。

"The Daughters of Fire" https://x.com/pherim/status/1997126741249441801

『ヴィタリナ』https://x.com/pherim/status/1307289954142179328
『ホース・マネー』https://x.com/pherim/status/746605136991027201





■《ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ 特集上映》
 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/movie-5319.html

『血』O Sangue 1989
ペドロ・コスタ初長編。
人物の顔や体表で、夜祭の灯りや水面に照り返す月光が煌めき瞬く。モノクロームの強烈なコントラストが、父殺しと愛をめぐるミステリアスな展開を象徴づける。不動の存在を見据えるイメージが覆される瑞々しさ。

"O Sangue" https://x.com/pherim/status/1994574921868218421

『モラル・オーダー』https://x.com/pherim/status/1453262355635347459





 余談。ペドロコスタ展をめぐってはたぶん追記する。

 《ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ》東京都写真美術館
  https://x.com/pherim/status/1995495978770853907


 暗闇と言葉の扱い、など予定。
 
 



おしまい。
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