今回は、9月25日~27日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。(含配信ドラマ1クール/短編1作/再掲1作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第327弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■9月25日公開作
『Viva Niki タロット・ガーデンへの道』
ニキ・ド・サンファル(1930-2002)が、20年をかけ制作したトスカーナの庭園“Tarot Garden”。
ガウディ“グエル公園”から流れでる、創造的水脈が感覚される松本路子監督作。《女教皇》の乳房に7年住み制作した逸話など興味深い。
小泉今日子ナレーション。
"" https://x.com/pherim/status/1839172680194670802
『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』https://x.com/pherim/status/1601779080613212160
拙稿「私は石を砕かない」https://note.com/pherim/n/n2084cf45dde3
■9月27日公開作
『Cloud クラウド』
黒沢清新作は、菅田将暉扮する転売屋ヤーのサイコパスじみた勤勉さが仇となるフィルムノワール&アクション展開なのだけど、本筋とは無縁のタイミングで傑作“CURE” “回路”級の魂凍らせ演出キメて来るのがもうたまらん。
古川琴音のはすっぱ演技重畳、奥平大兼のアサシン良趣。
"Cloud" https://x.com/pherim/status/1837729634961482218
『スパイの妻』https://x.com/pherim/status/1304949557998923776
拙稿「不穏の残響、神戸の近代。」 http://kirishin.com/2020/10/16/45715/
『旅のおわり世界のはじまり』https://x.com/pherim/status/1138629488630124544
『散歩する侵略者』https://x.com/pherim/status/904890512158539776
『岸辺の旅』https://x.com/pherim/status/659324462806863873
『リアル~完全なる首長竜の日』https://x.com/pherim/status/368667939395760128
『サウンド・オブ・フリーダム』
児童誘拐、人身売買、性虐待。1500億$産業と化した闇へ斬り込む制作陣の気骨に痺れる。
瞳の透明度MAXジム・カヴィーゼル、キリスト熱演作“パッション”以来となる製作総指揮メル・ギブソンとの清濁タッグ健在で、“シンレッドライン”ばりの密林潜入行がアツい。
"Sound of Freedom" https://x.com/pherim/status/1838198497667088525
『ハクソー・リッジ』https://x.com/pherim/status/873904299448745986
拙稿「【映画評】 『ハクソー・リッジ』」https://www.kirishin.com/2017/07/07/7286/
『SUPER HAPPY FOREVER』
山本奈衣瑠、いま日本映画最良の新潮流に乗る役者かも。
亡き妻との出逢いの残滓を探し、くたびれた観光地を歩く男が、客室へ流れ込むベトナム人掃除婦の歌に耳を澄ませる。
佐野/宮田役の佐野弘樹と宮田佳典が企画発案、好趣に充ちる五十嵐耕平監督作。D.A.N.音楽最高。
"SUPER HAPPY FOREVER" https://x.com/pherim/status/1837403751910670480
『走れない人の走り方』https://x.com/pherim/status/1783687381629161605
『海辺の彼女たち』https://x.com/pherim/status/1386895322585001992
拙稿「最果ての彼女たち」https://www.kirishin.com/2021/06/13/49370/
『西湖畔に生きる』“草木人间”
マルチ商法に嵌る家族の末路が、杭州の絶景を背に描かれる意欲作。
傑作絵巻『春江水暖』で鮮烈デビューした顧曉剛/グー・シャオガン2作目は、風景主体の水平長回し画をそのままに、現代都市で苛烈に渦巻く欲望の嵐をも正面から直に見据える。狂いゆく母の沸騰ヤバい。
"草木人间" "Dwelling In The Fuchun Mountains" https://x.com/pherim/status/1745775915492343974
顧曉剛1作目『春江水暖~しゅんこうすいだん』https://x.com/pherim/status/1357526291998674944
拙稿「中国、その想像力の行方と現代」https://www.kirishin.com/2019/11/27/39116/
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』
前田敦子と協働し、池松壮亮へ立ち向かう仕立てがハマって楽しすぎ。
池松演じる寡黙な職人的殺人鬼とのバトルはアツいし、前田敦子のギャップ萌えとかズルくて最高。宮﨑への遠征自体が醸すご当地作品風刺も各所で笑えるし、阪元裕吾監督&脚本巧すぎる。
"" https://x.com/pherim/status/1838550523160727623
『べイビーわるきゅーれ』https://x.com/pherim/status/1827703899345846412
『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』https://x.com/pherim/status/1833474334847078783
『黄龍の村』https://x.com/pherim/status/1812804806651842944
■国内過去公開作(含映画祭上映作)
『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』
殺し屋業も非正規組はキビシイのだ。
髙石あかりx伊澤彩織の主役タッグ、岩永丞威x濱田龍臣の敵役に加え、水石亜飛夢x中井友望の“掃除屋”コンビが良い味。
2作目ゆえ2(ウー)マンセル対決っていう軽快さがすでに、今後シリーズ化の芯捉えてる阪元裕吾監脚作。
"" https://x.com/pherim/status/1833474334847078783
『べイビーわるきゅーれ』
高校卒業した女子ふたりの、ルームシェア&殺し屋稼業ことはじめ。
“凡庸な世界の在り難さ”を鮮烈に楽しく描きだすのが阪元裕吾監督+脚本の持ち味かも。
けっこうな時間を使いツヨツヨ感醸されたヤクザや殺し屋が瞬殺されちゃう展開だけがもつ、快楽の玉突き状態笑う。
"" https://x.com/pherim/status/1827703899345846412
『黄龍の村』https://x.com/pherim/status/1812804806651842944
■国内劇場未公開作(含VOD公開/DVDスルー作)
“Exit The Matrix”“Выход из Матрицы”
狭軌鉄道の貨物“マトリックス号”1車輌だけで外部世界とつながるロシアの僻村。
様々な理由からそこでの暮らしを選んだ若者たちが興味深い。ウラル界隈の辺境かと調べたら、ウクライナや黒海に近く、戦争の影響が気になる2021年作。
《全編》↓ by Alexandra Bogucharskaya
"Exit The Matrix" https://x.com/pherim/status/1841087071295062416
“Two Sisters” https://x.com/pherim/status/1470394291168354304
『陽の当たる町』https://x.com/pherim/status/878035710124609536
■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)
『メディア王~華麗なる一族~』 season 2
下剋上を企み親父の逆襲で都落ち、堕天使と化した次男坊ゲンダルの恥ずかしラップに兄弟姉妹困惑するひと幕が白眉のシーズン2、ダレず続々ブーストかけてくる巧緻で飽きさせない。
内輪の揉め事と公聴会や株主総会、国政までもが連動する様の滑稽なリアル。
"Succession Season 2" https://x.com/pherim/status/1832309189680701917
『メディア王~華麗なる一族~』season 1 https://x.com/pherim/status/1830429511529447712
余談。今週公開の邦画3タテはなかなか無いケースという感じします。どれも重厚とは対極の、しかし快作。
おしまい。
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