pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2024年
10月04日
09:51

ふぃるめも328 恋する最後の花嫁たち

 
 

 今回は、10月4日の日本上映開始作と、戦間期上海舞台作から10作品を扱います。

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第328弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)



■10月4日公開作

『エストニアの聖なるカンフーマスター』

ロシア系東方正教会の老僧たちが、キビキビ動く様も可愛いバルト三国版少林寺。
監督脚本が『ノベンバー』のライナル・サルネットなのが最大の衝撃な、アフリカン・カンフー・ナチス級ナンセンスコメディ。正教会ギミック楽しい。

"Nähtamatu võitlus/The Invisible Fight" https://x.com/pherim/status/1841800394542137604

『ノベンバー』https://x.com/pherim/status/1586878017850466304
『アフリカン・カンフー・ナチス』https://x.com/pherim/status/1403180726875418624





『シビル・ウォー アメリカ最後の日』“Civil War”A24製作
カリフォルニアやテキサス他19州が独立、米国内戦へ。
暗殺直前の米大統領へ迫る記者達が踏み入る、“地獄の黙示録”級の深淵にただ慄える。
アレックス・ガーランド監督作。脚本担当した傑作“28日後”で真に描きたかった終末世界ここに。(続

"Civil War" https://x.com/pherim/status/1835514168092643806

拙稿「この現実を見据える確度」https://www.kirishin.com/2024/10/03/68464/

『エクス・マキナ』https://x.com/pherim/status/740551843864969216
『地獄の黙示録 ファイナル・カット』https://x.com/pherim/status/1229245990235865089


※アレックス・ガーランド過去作&小説&脚本作連ツイぼつぼつ更新予定




『HAPPYEND』
校内へ導入されるAI監視システムと、反発する十代の日々。“在日許可証”など不穏。
大人が子どもを演じる歪さを終始感じ、6人の高校生役皆が20代と知り納得。ただ校長(佐野史郎)室への古風な居座り描写は倒錯したSF感あり、空音央監督が学園闘争期の父=坂本龍一を重ねたかとも思いつく。

"HAPPYEND" https://x.com/pherim/status/1840004770997871018

『十年 Ten Years Japan』https://x.com/pherim/status/1056860832338857985
坂本龍一 カセットブック『Avec Piano』1983 https://x.com/pherim/status/298960221685035010





『花嫁はどこへ?』
同じ赤い婚礼ベールをかぶる花嫁ふたりが、同席した列車で取り違えられて始まる怒涛の嫁入りコメディ。
自立志向で知的なジャヤと内気で依存しがちなプールを通じた因習風刺や、しっかり感動させる物語にさすがのアーミル・カーン製作と唸らされ通し。

"Laapataa Ladies/Lost Ladies" https://x.com/pherim/status/1842046052918317351

『ダンガル きっと、つよくなる』https://x.com/pherim/status/981333810804436992
『シークレット・スーパースター』https://x.com/pherim/status/1157520889073688577





『アーネストに恋して』
南極で船が難破し進退窮まった百年前の探検家アーネスト・シャクルトンと、シングルマザーのビデオゲーム音楽作曲家が時空を超え出逢ってしまう。
オフ・ブロードウェイならではの観客席との一体感が伝わってくる驚き。

"Ernest Shackleton Loves Me" https://x.com/pherim/status/1841681096423178462

『バーナデット ママは行方不明』https://x.com/pherim/status/1706176427597660241
『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』https://x.com/pherim/status/1168361416757170176
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』https://x.com/pherim/status/1604672973750665216





■国内過去公開作(含映画祭上映作)

『ラスト、コーション』“LUST, CAUTION”
2007
アン・リーが上海の女性作家/張愛玲による戦間期短篇“色・戒”を映画化。
トニー・レオンの反体制役とのベッドシーンが妖艶すぎる、1万人から選ばれたタン・ウェイだけが中国本土で浴びたバッシング自体の今日性こそ風刺的。

"LUST, CAUTION" https://x.com/pherim/status/1848558202021155335

『フラワーズ・オブ・シャンハイ』 https://x.com/pherim/status/1211876706526478336
『ビリー・リンの永遠の一日』https://x.com/pherim/status/830222158911533057
『別れる決心』https://x.com/pherim/status/1623655942410862592





『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海』“罗曼蒂克消亡史”2016
浅野忠信が美学貫く“悪”の日本人を鋭く象るクライムノワール。
7年後の“無名”に比べ善悪の単純な程耳監督作で、洗練されすぎSF化した和風意匠が戦間期上海描写と意外に合う。章子怡/チャン・ツィイーも主演し邦題だけがばり無念。

"罗曼蒂克消亡史/The Wasted Times" https://x.com/pherim/status/1838782228849135889

『無名』“Hidden Blade”2023 https://x.com/pherim/status/1785145255534428483




『黄金時代』 2014
タン・ウェイ/湯唯が作家・蕭紅を熱演する許鞍華/アン・ホイ監督重厚作。
魯迅と深く交わる上海期では内山書店界隈が精緻に再現、黒竜江省での成長から西安他への流浪、東京神保町暮らし、日本軍侵攻下の香港島での落命など描写の逐一が充実、見入る。

"黃金時代/The Golden Era" https://x.com/pherim/status/1839291334693437594

上海/神保町 内山書店ツイ https://x.com/pherim/status/1548227261236940800
『我が心の香港 映画監督アン・ホイ』https://x.com/pherim/status/1452828905803423745
拙稿「香港の心のゆくえ」https://www.kirishin.com/2021/11/06/51385/

『男人四十』https://x.com/pherim/status/1476175624662564866
『第一炉香』https://x.com/pherim/status/1518561356500275200





『シャンハイ』“SHANGHAI”2010
渡辺謙=日本陸軍大佐の妻=菊地凛子が愛しちゃった米国スパイ=ジェフリー・ディーン・モーガン変死、主人公ジョン・キューザックさぁ大変。
コン・リーが裏社会ボスの妻演じ、影で策謀巡らす点“蘭心大劇院”にも通じる。外灘戦前再現良い。
ミカエル・ハフストローム監督&ホセイン・アミニ脚本作。

"SHANGHAI"

『サタデー・フィクション』“蘭心大劇院” https://x.com/pherim/status/1720645318826762280




『エイト・ハンドレッド 戦場の英雄たち』“八佰”
上海城市中で日本軍侵攻へ抗う、倉庫ビルに立て籠もった800人。
という愛国映画なのに、終盤の国民党旗掲揚ゆえ一旦は本国上映中止された2020年世界興収1位かつ日本非公開の異色作。川の対岸が中立の英仏租界で、人々が観戦するグロテスクさなど。

"八佰/The Eight Hundred"

拙稿「中国、その想像力の行方と現代」https://www.kirishin.com/2019/11/27/39116/





 余談。本稿後半の戦間期上海舞台作群は、関連の映画批評文執筆の素材として鑑賞しました。当該文章は12月1日文学フリマ東京にて発売される同人誌へ掲載予定です。





おしまい。
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