今回は、10月11日の日本上映開始作と《映画作家 ジャンヌ・モロー》特集上映作など10作品を扱います。(含配信ドラマ1クール/短編1作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第329弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■10月11日公開作
『若き見知らぬ者たち』
じっとりとぬめる空気。響く銃声の象る時間。
出口の見えない介護家族の心情を熱演する磯村勇斗は元より、恋人の看護師役/岸井ゆきのが醸す切なさが異様で、『ケイコ 目を澄ませて』を経た分厚さを感覚。弟役/福山翔大の格闘技場面で魅せる気魄も凄まじい内山拓也監督作。
"" https://x.com/pherim/status/1842546412141392127
『ケイコ 目を澄ませて』https://x.com/pherim/status/1637279618070880258
『夜明けのすべて』https://x.com/pherim/status/1786855084716138671
『2度目のはなればなれ』
89歳で老人ホームを脱出し、地元警察が #TheGreatEscaper と呟きバズった実話翁を、マイケル・ケインが同年齢で好演。
ノルマンディでのDデイ70周年式典参加の旅で、ドイツ退役軍人と語らう一幕など珠玉。気丈な妻役グレンダ・ジャクソン遺作。
"The Great Escaper" https://x.com/pherim/status/1843610141595447393
『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』https://x.com/pherim/status/1080449207905935360
『キング・オブ・シーヴズ』https://x.com/pherim/status/1354268788615565313
『最後の乗客』
宮城県のタクシー運転手が語る、海際の浜町で乗せた女性をめぐる怪異譚、から始まる一夜の旅。
震災記憶の風化へ抗う語り口の醸す赤坂憲雄ばりの深みから、予想外の感興へ導かれ見入る。元AKB48岩田華怜ほか熱演する、55分ストレートに進行する物語が切なくも潔い堀江貴監督作。
"The Last Passenger" https://x.com/pherim/status/1843477668014240173
相棒役の谷田真吾、日本映画の出演が『ぼくらの七日間戦争』(1988)以来というのも凄い。
『れいこいるか』https://x.com/pherim/status/1295193776512614400
『夜を越える旅』https://x.com/pherim/status/1444989332155105284
『二つの季節しかない村』
トルコ東部の雪深い僻村で暮らす若い教師の鬱屈と、イスタンブルへの憧れやまない生徒の屈託描く、名匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン新作。
“雪の轍”を想わせる濃密な会話へクルド問題やアルメニア人虐殺の影が忍び入り、しかし扉を開けば峻厳な山河が横たわる無常の詩性。
"Kuru Otlar Üstüne/About Dry Grasses" https://x.com/pherim/status/1842707611315314705
『雪の轍』https://x.com/pherim/status/642172700778041344
『読まれなかった小説』https://x.com/pherim/status/1196258412427743232
『裸足の季節』“Mustang” https://x.com/pherim/status/1643221566627659776
■特集上映《映画作家 ジャンヌ・モロー》
https://jeannemoreau.espace-sarou.com/
『リュミエール』“Lumière”1976
“明るくも暗くもなく、目を開くも閉じるも憂鬱。見慣れた光景は古い世界を想起させず、新しい光景の呪文は古い信頼を取り戻せない”
女優4人の華やかな日々の底に潜む凍土を眼差すジャンヌ・モロー48歳初監督作。ピアソラ音楽、30代ブルーノ・ガンツ出演など豪華。
"Lumière" https://x.com/pherim/status/1842892512953823617
「フィレンツェもパリも日本人でいっぱい、システィーナ礼拝堂には4000人くらいいた」
「日本のオモチャさ、面白いだろ」
登場するエスプリ日本ギミックの時代性せつない。
『17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン』https://x.com/pherim/status/1285407111065726976
『名もなき生涯』https://x.com/pherim/status/1230430112287354881
『思春期』“L'adolescente”1979
12歳マリーが祖母の家で過ごすひと夏。
朗らかヴァカンス風趣のまま、憧れのイケメン医者が母と不倫する魔展開に慄く。戦争迫る1939年の設定が良い。
初潮&裸身描写ほか、ジャンヌ・モロー監督だからこそ撮れた大胆カット“ゆえに”ソフト化もされずにきた皮肉想う。
"L'adolescente" https://x.com/pherim/status/1844201610345693446
『リリアン・ギッシュの肖像』“Lillian Gish”1983
サイレントの女神様が、こんなにお喋り上手とは。
90歳リリアン・ギッシュ、野心溢れるD・W・グリフィス巡る明晰な記憶語りにも唸る。
ジャンヌ・モローと2人きりの対話で、2人の切り返しの他はひたすらサイレント映画名場面という構成も良い。
"Lillian Gish" https://x.com/pherim/status/1846193701363896659
■国内過去公開作(含映画祭上映作)
『転校生』“Transferring”
教室で孤立する容子と、親の都合で頻繁に転校するリサ。誰とも仲良くならないことで自分を守る。けれど。
“ついて来んなよ”の語が、二人の距離を縮めゆく。その描写の緊密さと余韻の厚さ。主演/森川葵&増田璃子が瑞々しい金井純一監督作。
全編↓
"Transferring" https://x.com/pherim/status/1843121378641547619
■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)
『フロム -閉ざされた街』“From”1st Season
道が循環して出られない田舎町へ、
全米から迷い込んだ人々の悪戦苦闘。
ルッソ兄弟製作で、不穏な外部性を予感させ好きかもって思ったら、傑作“LOST”のJack Bender監督がメイン張ってて続編楽しみ。真田広之出てもいいんだぜ。
"From" https://x.com/pherim/status/1835986096091734455
『LOST』https://x.com/pherim/status/14614640176
『モスル あるSWAT部隊の戦い』https://x.com/pherim/status/1459146102049939464
『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』https://x.com/pherim/status/1010469414276231169
『アナイアレイション -全滅領域-』 Netflix
行方不明の夫が戻ってきたが様子が変で、
謎の機関に攫われさぁ大変。
アレックス・ガーランド十八番の、ビーチ/28日後…からシビル・ウォーまで一貫する奥地突入→真実到達モノ。
ナタリー・ポートマン、Under the Skinのスカヨハを想起させ重畳。
"Annihilation" https://x.com/pherim/status/1845647105442148596
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(’13) https://x.com/pherim/status/1325097906660012033
『エクス・マキナ』https://x.com/pherim/status/740551843864969216
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』“Civil War”A24製作 https://x.com/pherim/status/1835514168092643806
拙稿「この現実を見据える確度」https://www.kirishin.com/2024/10/03/68464/
余談。喋るリリアン・ギッシュがけっこういい。父が出ていって母子家庭になり、お金のため部屋貸ししたら女優2人が住んだ流れで母娘も女優となる流れとか。
『フロム -閉ざされた街』は2ndシーズン以降化ける可能性あり。
おしまい。
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