今回は、10月10~17日の日本公開作から10作品を扱います。
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第378弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■10月10日公開作
『見はらし世代』
夭折した母、成功する父、屈折する家族。
団塚唯我監督26歳、煌めきヤバい。遠藤憲一、慄える名演。木竜麻生&黒崎煌代の姉弟ずっと見てたい。そして井川遥、佇まいで魅せる存在感に魂消る。
主舞台の一つMIYASHITA PARKのトータルデザイン団塚栄喜が実父という私性も利く秀作。
"" https://x.com/pherim/status/1976128053450506535
『遠くへいきたいわ』https://x.com/pherim/status/1498491396172386305
『首』 https://x.com/pherim/status/1805509607449936063
『わたし達はおとな』https://x.com/pherim/status/1534869984719302656
『グランドツアー』
大英帝国下ラングーンから始まる、スパイ容疑のある公務員を追いかける婚約者の東南/東アジア周遊旅。
現代都市がモノクロで昔めくミゲル・ゴメス監督作。単にくどいオリエンタリズム演出と、鳥類学者のルイ・ポサスやアピチャッポン映画のサヨムプーらの撮影醸すギャップも見処。
"Grand Tour" https://x.com/pherim/status/1975851771076702714
彷徨牧師「帝国は崩壊する。我々は何も理解せずに帰る。白人が東洋の文化を理解することなど不可能なんだよ。超越してる。」
19世紀からあるサイゴン中央郵便局も登場するのだけど、ホール中央に掲げられたホーチミンのどでかい肖像写真を映さない努力がなかなか涙ぐましく。ハリウッドなら味気なくCG一発でしょうけど。
“Redemption” https://x.com/pherim/status/1907984195399594165
『インディア・ソング』https://x.com/pherim/status/1153910956478455811
『ヒポクラテスの盲点』
コロナワクチンの負の側面を検証する、と書けば“反ワクかよ”と直結する感性にも届くだろう質実ドキュメンタリー。
テレビマンユニオン制作ゆえの気骨を全編に感じ、後遺症被害を巡るmRNA遺伝子製剤のリスク解説が殊に秀逸。大脇幸志郎/新田剛ら多角的な人物配置も聞かせる。
"" https://x.com/pherim/status/1974092173940605425
(以下は完全な余談、というか覚え書きとして)
まぁ何だろう、『ヒポクラテスの盲点』はあくまで現在進行形で切々と語るのだけど、やはりコロナ禍中の諸々が想起されてまう。
→https://x.com/pherim/status/1435477150182756358
思い当たる文脈なしに罹患した帯状疱疹もそのひとつ。(本編中で言及され、短絡でなく単にほぇ~と思ったので。)
→https://x.com/pherim/status/1723958845045944353
『ホウセンカ』
独房で寿命が尽きようとする男に、花が話しかける。
40年を遡る、花が見つめた愛の物語。
木下麦監督前作オッドタクシーの穏やかな微温進行がそのまま血の繋がらないヤクザな家族史へ引き写され、情緒と厚みの拡張すごい。
ceroの劇伴とセトウツミの此元和津也脚本の相性も完璧。
"" https://x.com/pherim/status/1976258759891825008
『オッドタクシー』https://x.com/pherim/status/1439562396381499392
『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』https://x.com/pherim/status/1571842518299607044
『種まく旅人~醪のささやき~』
淡路島の老舗酒造での父子対立や買収騒動を、住み込み農水官僚(菊川怜)が目撃する。
種まく旅人シリーズ5作目で、うち篠原哲雄監督2作目かつ官僚主人公2作目。という座組が醸した結果なのか、9割超が説明台詞で予定調和の割り切り構成は逆に凄い。しっかり説明。
"" https://x.com/pherim/status/1975034466176479650
『駒田蒸留所へようこそ』https://x.com/pherim/status/1722449527163301968
『ジョージア、ワインが生まれたところ』https://x.com/pherim/status/1186190554951872512
『ワイン・コーリング』https://x.com/pherim/status/1187925110482620416
『おかえり、ブルゴーニュへ』https://x.com/pherim/status/1062697316203679744
■10月17日公開作
『モロカイ・バウンド』
仮釈放中の男が、息子や元妻との関係改善に務めるが。
流れ続ける絶景とハワイアン音楽の調和が沁み入る、沖縄にもルーツもつアリカ・テンガン監督作。
ハワイ諸島中でも観光地化されてないモロカイ島先住民の出自が、現代社会の軋みを象徴する良構成。
"Moloka’i Bound" https://x.com/pherim/status/1976479924430176766
『大海原のソングライン』https://x.com/pherim/status/1287596828590870528
『Moana(モアナと伝説の海)』https://x.com/pherim/status/803951869739446272
『モアナと伝説の海2』https://x.com/pherim/status/1871165793674957288
『モアナ 南海の歓喜』https://x.com/pherim/status/1052353283363205120
『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』Season 1 https://x.com/pherim/status/1935172161700003908
『パシフィクション』“Tourment sur les îles”https://x.com/pherim/status/1595631060733550597
『ネクスト・ゴール・ウィンズ』 https://x.com/pherim/status/1760270578534285609
『エンドレス・サマー デジタルリマスター版』 https://x.com/pherim/status/1811589047644750104
『次元を超える』
行方不明となった修行者の恋人が、カルト阿闍梨の暗殺を依頼した直後に果てる。暗殺者/松田龍平、困惑。
豊田利晃短編近作群へ主演し続けた渋川清彦の奔放演技がまず楽しい。
窪塚洋介ジーザス風味、千原ジュニア無闇に迫真、芋生悠妖艶、東出昌大や板尾創路の遊びも各々良い。
"" https://x.com/pherim/status/1978661359727301028
『狼煙が呼ぶ』https://x.com/pherim/status/1214015089335918592
『中山教頭の人生テスト』https://x.com/pherim/status/1935306073654899090
『半世界』https://x.com/pherim/status/1094526964944097281
『山歌(サンカ)』https://x.com/pherim/status/1515663363162124289
『リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース 2022』
OASIS伝説的Knebworth野外公演から20年、帰ってきたリアム単独ライヴを5.1ch音響上映。
ヘリ到着に始まる全編の臨場感と、くだけたカリスマティックな佇まいに惹き込まれる。Wonderwallでぶちアガる聴衆アツい。
"Liam Gallagher: Knebworth 22" https://x.com/pherim/status/1978067283118375042
『オアシス:スーパーソニック』https://x.com/pherim/status/810629495178854400
『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』https://x.com/pherim/status/1484734593400176640
『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』https://x.com/pherim/status/1588010741688586240
『おーい、応為』
北斎の娘、葛飾応為。
長澤まさみ主演+大森立嗣監督タッグはMOTHER以来。嫁ぎ先の絵師を稚拙と笑い離縁された女の絵魂、炸裂。
永瀬正敏扮する北斎の執念を肉親視点で描く一篇でもあり、清貧でなく乱貧生活描写は寺島しのぶ/和田光沙ら共々見応えある。
"" https://x.com/pherim/status/1978418436318347761
『MOTHER マザー』https://x.com/pherim/status/1276712524604297216
『湖の女たち』https://x.com/pherim/status/1789515438168387877
『HOKUSAI』https://x.com/pherim/status/1396319608156549120
『KIDS/キッズ』
SEX、ドラッグ、エイズ。
処女喰い少年の邪悪さや黒人ゲイカップルへの暴力と、HIVの容赦ない伝染がpopにダブる衝撃。HIV禍襲う90’s NYストリートのリアルを、コロナ禍後に眼差す奇妙な感興。
ハーモニー・コリン19歳脚本&ガス・ヴァン・サント製作、ここから時代背負ったのな。21歳長編デビューのクロエ・セヴィニーも瑞々しいラリー・クラーク監督作。
"KIDS" https://x.com/pherim/status/1978798856000467002
『mid90s ミッドナインティーズ』https://x.com/pherim/status/1298817354365718528
拙稿「疾走する魂と割れる社会」https://www.kirishin.com/2020/09/02/45044/
余談。酷評も多いけど、東京での受容シーンも含め、一時代を象徴したのは間違いないんですけどね。『KIDS/キッズ』は公開当時か直後のレンタルで観て、なかなかに言外に深く刻まれたんですよね。そういうあたりはいま初見のひとと共有できないとして、ハーモニー・コリンの初期監督作はどうなんだろう。単に支離滅裂にみえるのかも。
おしまい。
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