タイ移住後に劇場で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第23弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしば黒字表記に含まれます)
『Dark Places』 シャーリーズ・セロン主演新作のダークスリラー。原作が『ゴーン・ガール』のギリアン・フリン。白昼シーンを昏く描ける巧さとか。真実の重さと痛み、背負う覚悟。蓮葉な小娘役クロエ・グレース・モレッツよろしおす。日本公開未定。
『Absolutely Anything』 サイモン・ペッグ主演新作。宇宙人に全知全能化された冴えない中年教師が、それでも冴えない毎日を走り抜けるドタバタ劇。言語能力を授かった愛犬が、欲望を素直に語り続けるかわいさとか。全編笑える良作。日本公開来春。
ちなみに本作『Absolutely Anything』の監督はモンティ・パイソンのテリー・ジョーンズで、サイモン・ペッグ扮する主人公に万能の力を与える宇宙人たちの声を、モンティ・パイソンのメンバーが演じているのもかなりの見どころ。あとはエンドロールですぐに帰らないこと。ロビン・ウィリアムズをスクリーンで観る最後の機会を逃すかもしれないから。
『ピクセル』 パックマン、ドンキーコング、ギャラガ、テトリスetc. 80年代アーケードゲームの主役たちが、地球外から人類へ挑戦しにやって来る。元プレイヤーには感涙モノの映像作り、特にピクセルの質感良。3DドルビーATMOSにて鑑賞。日本公開9月12日。
パックマンやブロック崩し、ギャラガ該当世代の元プレイヤー達には、3D鑑賞を強くオススメします。そう、あの日脳内補完してたのはまさにこれだよ、この光景だよって涙にじんじゃう、かも。マリオも走るけど、製作はSONYピクチャーズっていう栄枯盛衰感。岩谷徹もカメオ出演。
『あん』 樹木希林の穏やかなる凄絶。河瀨直美監督作は内容を問わず画を眺められるので、ハンセン病差別を真っ向から扱う作品と知らずに入館、心底唸った。赦しと偏見、そして解放。真性の粒あん派ゆえ、茹でられる小豆への肉迫には官能美さえ。傑作。
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『野火』 塚本晋也監督新作、大岡昇平原作。かつて東京の古アパートに展開された塚本節の狂気と閉塞感が倍加され、ジャングルの奥底で炸裂する。米軍は敵対者として現れず、砲火はただ神の火として降り注ぐ。弾け飛ぶ肉片、灼けつく血液、その舌触り。
『カフェ・ド・フロール』 60年代パリと現代モントリオールで展開される物語が終盤意外な形で絡み合う。母の孤立、夫婦の孤独。時代や周囲の風潮との葛藤が一方のテーマではあれ、後半の種明かしは蛇足感あり、心地良い音楽と映像で魅せる一篇だった。
『涙するまで、生きる』 カミュ短編の映画化。アルジェリア独立戦争下、現地生まれの白人教師と、罪を背負うアラブ人青年とが行う二人旅。苛烈と寡黙の同居するヴィゴ・モーテンセンと、荒涼たるアトラス山脈との嵌り具合。不条理を生き抜く覚悟と優しさ。
『バケモノの子』 良い夏休み映画、『おおかみこども』のお父さん版。ぼくの幼年時代はジブリ黄金期と藤子F現役のドラえもん、今は細田アニメがあるんだね。ただそのぶん諸々背負い込みすぎ感も。役所広司声だけで光ってた。街壊す鯨の影身、心の剣。
『薄氷の殺人』 ギリギリのラインで破裂を終幕まで抑え切る、この抑制ぶりはこれまでの中国映画に稀有な気が。主演グイ・ルンメイ/桂綸鎂の儚げな魔性に痺れる。にしても原題「白日焰火」のもつ余韻に比べた邦題の(略。雪と石炭。中国ノワールの良作。
『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』 全編が見所の本作、とりわけウィーン国立歌劇場を舞台とするシークエンスは息を呑んだ。ド派手な爆炎爆音演出の一方で、格闘戦はBGMを切り肉弾音を響かせる質実ぶり。シリーズ最高傑作を更新。
今回は以上です。『ミッション:インポッシブル』、ウィーン国立歌劇場のシークエンスと、メインキャラクターのひとりを演じたサイモン・ペッグに関連する余談があるのですが、すこし長くなるのでまた後日。
おしまい。
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コメント
09月05日
21:56
1: -
ピクセルって、文字通りピクセルって意味だったのか!!と、紹介文を読んで思ったり。まじ懐かしいです。野火も観たいなあ。
09月06日
17:44
2: pherim㌠
ドットとの区別が知りたくて検索したら、「picture cell」からの造語なんですって。野火はガチでからだに来るので、体調の良いときに!