pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2019年
05月23日
23:59

ふぃるめも113 カタリベたちの恋

 


 今回は5月18日~25日の日本上映開始作、日本公開未定作など10作品を扱います。


 タイ移住後に劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第113弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしば黒字表記に含まれます)



■5月18日公開作

『マルリナの明日』

強盗団に襲われた女性による逆襲の旅路を描くナシゴレン・ウェスタン傑作。タランティーノばりに換骨奪胎された西部劇のユーモアが、インドネシア小島の奇景に炸裂する。常在する死体の視線、固定カメラの抑制が生む迫力。モーリー・スリヤ、この新進女性監督の映像感覚は凄い。

"Marlina" https://twitter.com/pherim/status/1129225759229218817




■5月24日公開作

『神と共に 第一章 罪と罰』

転生をかけ閻魔大王など個性的な神々による裁きに臨む、被告人消防士兄貴&弁護人天使トリオvs冥界のコミカル検察官吏2人組。オモニへの慕情という古典的物語を主軸に、表情演技利きまくるハ・ジョンウほか豪華キャスト+超豪勢CGで迫る韓流エンタメ攻勢の膂力に目を見張る。

"신과함께-죄와 벌" "Along With the Gods: Two Worlds" https://twitter.com/pherim/status/1129583783550672896




『空母いぶき』
自衛隊の意義への問いを常に前景としつつ、豪華キャスト各人に見せ場をつくる脚本(伊藤和典『パトレイバー2』+長谷川康夫『亡国のイージス』)が秀逸で、深海戦闘や国籍不明艦隊との鍔迫り合いを巡るSFX描写も意外なほど見応えあり。佐々木蔵之介の鬼気迫る硬質演技が全編を堅く締める。

https://twitter.com/pherim/status/1130311476638507008




『ベン・イズ・バック』
薬物依存に囚われた息子と、信じようとする母。ささくれ立つ展開をノーマン・ロックウェル調の映像が落ち着かせ、過去との対峙へ向かう路程を彩る寒色の密度が深い。社会問題化したオピオイド系薬害を扱う点は今日的で、練られた構成のもとジュリア・ロバーツの感情演技が一閃する。

"Ben is Back" https://twitter.com/pherim/status/1131400986944188416




『嵐電』
路面電車が主役で京都裏町の情緒あふれる、ウェルメイドなのにきちんと破れた不思議快作。大西礼芳の体当たり演技と井浦新のトボけ顔との往還はいつまでも観ていたい風趣に富むし、ゆっくりとしているのに色んなことが同時に起きていて、全体は静かなのにこんなにも楽しい映画を初めて観た。

https://twitter.com/pherim/status/1131033778841722880




『パリ、嘘つきな恋』
フランク・デュボスク主演&初監督作。富裕で軽薄なイケメン中年が、ノリでついた嘘を撤回できないまま一人の車椅子女性にベタ惚れしていく。健常と障碍、異性と同性、上司と部下などの溝を嘘まみれのエスプリで架橋する姿にPost-truth社会への風刺をみる。ヒロインが女神すぎて恍惚。

"Tout le Monde Debout" "Rolling to you" https://twitter.com/pherim/status/1130668600505671681




■5月25日公開作

『作兵衛さんと日本を掘る』

半世紀ものあいだ地の底を掘り続けた明治生まれの男が、還暦を過ぎてから描き始めた男女の坑夫たち。それらが映しだすのは戦争から原発までを含み込む、国家のエネルギー政策に翻弄される人間の真実そのものだ。貧乏が力になったと笑う104歳の元女坑夫が放つ明るさに敬服する。


  試写メモ57 「地の底からの眩い光」:
  https://tokinoma.pne.jp/diary/3337


  よみめも53 森崎和江 『まっくら』: 近日投稿(6月前半)




■日本公開中作品

『チベット ケサル大王伝 最後の語り部たち』

千年の歴史を有し世界最長とされる叙事詩を暗唱する語り部達。草原の牧童がある日神憑きとなって語りだす神授型や、漸次レパートリーを増やす学習型の来し方を巡る本人語りは説得性と見応えあり。近代化による衰弱と中国社会への適応の様子がただ切ない。

https://twitter.com/pherim/status/1124169357901176837

  チベットの『ケサル』、キルギスの『マナス』、モンゴルの『ジャンガル』:
  https://twitter.com/pherim/status/981845944097320960 (ふぃるめも84『馬を放つ』関連ツイ)





■日本公開未定作

“Kusama: Infinity”

草間彌生の伝記映画秀作。NY時代にウォーホールら抽象表現主義&ポップの大物達が草間から剽窃する場面に盛った感あるのはご愛嬌として、地元松本市でのバッシングなど日本人には撮りがたい距離感と鋭角性。観客心理を巧く抑えたウェルメイド語りは飽きさせず、日本公開待たれる一作

"Kusama: Infinity" https://twitter.com/pherim/status/1116179062043504640




“Escape Room”
量子物理学ギミックから密室脱出劇へ。リアル脱出ゲームでシリーズ化を狙うならコレという要素をテンポ良く抑え感心。あとで検索するとインシディアス&パラノーマル監督+ワイルド・スピード1~8のニール.H.モリッツ製作で手堅さ納得。デアデビルのデボラ・アン・ウォール、不意の勇躍。

"Escape Room" https://twitter.com/pherim/status/1102902154392530948

ちな前ツイのアダム・ロビテル監督作“Escape Room”(2019米, 画像1枚目)は、2本ある同題近作『エスケープ・ルーム』('17スペイン/'17米, 画像2/3枚目)を製作力で圧倒しタイトルを奪った格好、ただし日本公開未定。スペイン版は18年日本限定公開済み、17年アメリカ版は現在アマプラjpにて観られる模様。





 余談。

 来月末くらいに本が出ます。いちおう共著本、になるのかな。
 映画の本、くらいは明かしてもいいのかな。(出版初心者ゆえ、わからじ)

 執筆陣がですね、なんかこう、すごいんです。十代の頃からみてきたお兄さん(現おじさん)を筆頭に、その人の著書を何冊も持っていたり、昔からツイッターをチェックしたりという気になってたひとたちが、ズラリと。わお。その末席に加えてもらえたことは、素直に嬉しいですね。というかいま、最後の著者校正中だったりします。いやしかし、修正作業もまたいろいろと勉強になります。楽しいものです。





おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh

コメント

2019年
05月24日
17:38

おめでとうございます!
ふぃるめもファンとして嬉しいお知らせ。
楽しみにしています。

2019年
05月25日
12:33

ありがとうございます~
ふぃるめもはあくまで補完的な試みですので、ツイート本体のRTをよろしくお願いします!(・∀・)キリッ

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