pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2021年
03月22日
00:23

ふぃるめも168 ライオンのうたをきく

 
 

 今回は、2月26日~2月27日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第168弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
 
■2月26日公開作

『レンブラントは誰の手に』
知られざるレンブラント作品の発掘をめぐる、大騒動のドキュメンタリー。
無名の作品を携えた若きギャラリスト青年の野心に、競売クリスティーズから世界的権威の美術史家、政治家や食指を動かす資産家、ルーブル美術館までもが巻き込まれゆく様は圧巻かつユーモラス。

"My Rembrandt" https://twitter.com/pherim/status/1374566301264269312




『三月のライオン』
兄妹のすれ違う近親愛。
1980年代の面影残す東京の街並みと、不思議な懐かしさ醸す人々の佇まいに衝撃的なまでの感動を覚えるのは、単に映り込むのでなくそれらが温度をもった手触わりのまま心奥へ沁み入ってくるからだ。
矢崎仁司1992年作、壊れゆく時間と浮遊する多幸感。

"Der März kommt wie ein Löwe" https://twitter.com/pherim/status/1374330452433985536

羽海野チカが語る『3月のライオン』由来。
“映画は観てないんですが、おかっぱの子が食べかけのアイスをくわえてるポスターの表情が凄くよかった。
イギリスの諺で、3月はライオンのようにきて、子羊のように去る。物語がつくれそうな言葉だなとずっと思っていたタイトルです” (ダヴィンチ’08/4月号)




『スカイライン ー逆襲ー』
3部作の最終章、スケール極大化。
宇宙人襲来物の初代『スカイライン -征服-』は予算の制約を閉鎖空間劇の工夫で乗り切り、巨大宇宙船との中空戦闘で魅せる次作『-奪還-』を経て、異星間航行で敵本拠へ。
世代の継承劇に、脳みそ吸われちゃった異種親子愛を盛り込む妙趣。

"Skylin3s" "Skyline 3" https://twitter.com/pherim/status/1365832570831654915




『カポネ』
帝王の晩年。トム・ハーディが演じる、認知症に陥り虚実皮膜を浮遊する姿は、デ・ニーロやアル・パチーノが扮した全盛期のそれと余りにも対照的。
FBI監視下で家族に介護されるなか、日夜襲い来るフラッシュバック。過去と現在、合わせ鏡の内で乱反射する恐怖の昏い煌めきに震撼する。

"Capone" https://twitter.com/pherim/status/1364775410777477122




『ターコイズの空の下で』
資産家の自堕落な孫による、祖父のモンゴル抑留時代へ触れる旅描くロードムービー成長譚。
馬泥棒で旅の相棒役アムラ・バルジンヤム/ Amra Baljinnyamの佇まいが良い。柳楽優弥の馬上演技は、森山未來のそれに比べ役柄的に無理なく自然。草原眼福。 

"Under The Turquoise Sky" https://twitter.com/pherim/status/1373959887177195522

  「森山未來のそれ」↓ 
  『オルジャスの白い馬』 https://twitter.com/pherim/status/1216621427131998208

  関連馬映画ツイ:  
  “Zud”https://twitter.com/pherim/status/1248532409714225152
  『馬を放つ』 https://twitter.com/pherim/status/974567944469454849





『MISS ミス・フランスになりたい!』
青年アレックスが、幼き日の夢「ミス・フランスになること」を叶えるため奔走する。
優しき変人揃いの同居人達、秘密を知っても密告しないライバル、厳しいが理想を共有できるトレーナーなど人間模様が清々しく、主人公の目覚ましい成長と変貌に目を奪われる。

"Miss" https://twitter.com/pherim/status/1372748547469185035




■2月27日公開作

『二重のまち 交代地のうたを編む』
震災当時は子どもだった若者が、陸前高田に滞在する。
嵩上げにより、かつての町と新しい町が二重化しゆく地で彼ら4人が触れるものと、本作監督小森はるか+瀬尾夏美の十年とが響き合う。ありえた時間とありうる時間の重なり、呼び声と応答の果てなき連なり。

"" https://twitter.com/pherim/status/1365520416752603138 
 
  『空に聞く』 https://twitter.com/pherim/status/1329582085724459008

  拙稿「重なりあう時間たち」 http://www.kirishin.com/2021/02/27/47563/




『きこえなかったあの日』
生まれつき耳が聴こえない今村彩子監督が撮る、東日本大震災からの十年。
熊本地震、西日本豪雨、新型コロナウイルス流行。災害下の障碍者に固有の困難と孤立感とを抱えた人々の姿は、この監督にしか撮れない表情に満ちて熱い。
緊急警報が聴こえない世界への想像力。

"" https://twitter.com/pherim/status/1364942207375958024

  今村彩子前作『友達やめた。』 https://twitter.com/pherim/status/1305698392157290497

  拙稿・今村彩子監督インタビュー「好きとむずかしさのあいだ」
  http://www.kirishin.com/2020/09/20/45250/
  
  拙稿「重なりあう時間たち」 http://www.kirishin.com/2021/02/27/47563/



  
  
『DAU. ナターシャ』
1950年代のソ連秘密研究所で働く食堂ウェイトレスによる、めくるめく一夜の狂騒。
ソヴィエト全体主義社会を描くため街ごと再現、エキストラを実際に住まわせる巨大プロジェクト《DAU.》シリーズ、漸く初見。仏外交官の醜態、人体実験etc. 物凄い奥行きの予感に痺れるしかない。

"DAU. Natasha" https://twitter.com/pherim/status/1374932601790603267 
 
※後日《DAU.》他作をめぐり連ツイ必至。

 
  

■日本公開中作品

『43年後のアイ・ラヴ・ユー』

妻を亡くした元演劇評論家が、かつてを共に過ごしアルツハイマーを患った元女優リリィへ会うため介護施設へ詐病潜入する。
演劇畑ゆえ醸すボケ“演技”の面白さと、今もお洒落で突如古典を流麗に諳んじるリリィのリアル。男と女の、時空の積層。

"Remember Me" https://twitter.com/pherim/status/1360436049684557826 
  
  『男と女 人生最良の日々』 https://twitter.com/pherim/status/1222434877229809664
 
 



 余談。『43年後のアイ・ラヴ・ユー』から『男と女』より先に想起されたのが、『老人スパイ』。昨年の東京国際映画祭で観たのだけれど、未ツイゆえ紐づけもできず。
 
 ふぃるめも更新、かつてなく滞りけり。





おしまい。
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