pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2021年
10月27日
23:44

ふぃるめも194 第33回東京国際映画祭 TOKYOプレミア《2》

  

 今回は前回に続き、第33回東京国際映画祭上映作(2020/10/31-11/9開催)のうち、《TOKYOプレミア2020部門》から11作品を扱います。(含再掲1作)

 ※今週末から始まる第34回東京国際映画祭ではなく、前回分。
  いつか更新しようと後回すうち一年たっちゃったシリーズPart2!!


 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第194弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしば黒字表記に含まれます)
 
 

■TOKYOプレミア2020 部門《2》 (通常年におけるコンペ3部門のコロナ対応統合版)
 https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html?departments=...

『チャンケ:よそ者』“醬狗”“Jang-Gae: The Foreigner”
韓国に暮らす台湾系華人の優等生グァンヨンは、華人を指す蔑称“醬狗”呼ばわりされ悩みが尽きない。
韓国のソウルフード・チャジャン麺がしょっぱくて食べられない、という「醬」に象徴される葛藤描写。張智瑋監督の私小説的側面が濃く、役者も着眼的も良いがやや定型的。

"醬狗" "Jang-Gae: The Foreigner" https://twitter.com/pherim/status/1581132146391252994

主人公と微妙な関係性をもつ女子高校生役キム・イェウンの存在感ある演技がとても良い。
が調べても他作に行き着かない。主役も同様ながら、よく見つけてきたなという印象。




『最後の入浴』
ポルトガル北部の渓谷で静かに暮らす修道女。
世話するイケメン甥の裸に触れるうち、
禁じてきた性への欲望が頭をもたげる。
ドウロ渓谷へ降り注ぐ陽光と内なる身悶えとの鋭い対照と、美しすぎ無垢すぎる少年の柔肌という2本柱の醸す抒情性。そこに潜むほのかな緊張が全編を締める。

"O Último Banho" "The Last Bath" https://twitter.com/pherim/status/1581494328190726144 
 
  
  

『モラル・オーダー』
20世紀初頭のリスボンで、26歳下の運転手と駆け落ちした貴婦人の物語。
オリヴェイラの撮影監督による監督作とあって全編が流麗明媚。マリア・デ・メディロスの小柄な身躯に燃え盛る青白き瞋恚は凄まじく、ソト見の保守性に反してこれが実話ベースという前のめり姿勢はなかなか奇趣。

"Ordem Moral" "Moral Order" https://twitter.com/pherim/status/1453262355635347459




『兎たちの暴走』
幼いころ己を捨て自由に生きる母への憧れ。17歳の少女は実母の窮地を救うため、裕福な同級生の身代金誘拐を企てる。
中華ノワールの好趣。四川省攀枝花市の夜闇駆け抜ける映像、廃墟の劇場など美術の座組が良い。少女の心を象る、重慶/成都/昆明とも異なる新興重工業都市の浮遊感。

"兔子暴力" "The Old Town Girls" https://twitter.com/pherim/status/1334062008283500544

『兎たちの暴走』“兔子暴力”は、1977年生まれ女性の申瑜(シェン・ユー)監督デビュー作ながら、スタッフ・制作陣にロウ・イエ組、リー・ユー組が関わり、「中華ノワールの好趣」とはそういうこと。

  『シャドウプレイ』“风中有朵雨做的云”https://twitter.com/pherim/status/1198449373157326848

『兎たちの暴走』母役・万茜(レジーナ・ワン)出演作『鵞鳥湖の夜』から始まる“中華ノワール”連ツイ:
https://twitter.com/pherim/status/1265839448635277312




『スウェット』
エクササイズのカリスマにしてSNSインフルエンサーの主人公が嵌まり込む、現実と虚構の昏き狭間。
東欧的な人間模様の生々しさとポーランドの素っ気ない街並みが、ネット&リアルの混濁しゆく現代に普遍の自意識錯乱ストーリーを際立たせる。性を武器とした己に疲弊する流れの既視感。

"Sweat" https://twitter.com/pherim/status/1459876367869231107 
 



『ノー・チョイス』
11歳時から金のため代理母出産を強いられてきた16歳少女が、いつのまにか避妊手術を施されたと知る。
テヘラン貧民区のリアル、法を踏み越える女医の倫理と覚悟。弁護士役Negar Javaherianの浮世離れした美貌と、大真面目な昼メロ+昭和コント風カメラワーク醸す異世界感。
[動画見当たらず]
"Majbourim" "No Choice" https://twitter.com/pherim/status/1581992838052872192 
 
 Negar Javaherianは、極私的生涯ベスト作のひとつ『花嫁と角砂糖』の主役女優。主演作『ペインティングプール』(↓連ツイ先から『花嫁と角砂糖』へ紐付けあり)

  『花嫁と角砂糖』 https://twitter.com/pherim/status/1308024457609375745
  『ペインティングプール』 https://twitter.com/pherim/status/1303159740277555200

 
 
 

『ティティ』
病床で革命的な理論予測へ至った物理学者の手書きメモを、ロマ女性の清掃係が預かって始まる奇想劇。
ロマ描くイラン映画って時点でもう。(・∀・)
全く異なる環境とリアリティを生きる2人の齟齬や対峙模様が面白い。
イランの女性監督は尖ってる、という印象さらに深まるIda Panahandeh 2020年作。

"TiTi" https://twitter.com/pherim/status/1600759810521432070

 『白い牛のバラッド』https://twitter.com/pherim/status/1492751701635338245
 『子供の情景』https://twitter.com/pherim/status/1520013830117502976




『ポゼッサー』
遠隔で人格を乗っ取り合うSFバイオレンス。
父の呪縛が色濃いブランドン・クローネンバーグ新作で、生理へ訴えるグロ描写を理知のフレームへ載せようとする試みに息子なりの格闘をみる。結果感覚的ヤバさの割に突き抜け切れない、しかし妙に飽きさせないB級良作仕上がる。

"Possessor" https://twitter.com/pherim/status/1499577319446355970




『皮膚を売った男』
難民化したシリア男性が、皮膚をアート化する芸術家の企みに乗り、作品として国境移動の自由=査証を得る。突如の絢爛と、自失へ陥る魂の怯え。
近年増えた現代アートをテーマとする秀作映画群、どれも金満臭ギラッギラだけど、一方の極に中東/移民問題を置く本作射程は比類なき。

"L'Homme Qui Avait Vendu Sa Peau" "The Man Who Sold His Skin" https://twitter.com/pherim/status/1459369705655848962




『ゾッキ』
ありふれた郊外の町と人を揺さぶる秘密と嘘。
竹中直人・山田孝之・齊藤工の共同監督作と聞いた時点で立ち昇る変態的予感がそのまま的中した奇怪作。
松田龍平も吉岡里帆もノリノリの出色演技なうえ、不思議にこっ恥ずかしく、こそばゆくも笑える小ネタ満載。なんだこの朗らかな“春だな”感は。

"" https://twitter.com/pherim/status/1377454639507931139

『ゾッキ』を画像検索すると、配給の方針か場面写真はあまりかからず(商業邦画ではよくある)、代わりに竹中直人や山田孝之が出演者とからむ現場写真がたくさん挙がって、眺めているとけっこう楽しい。※後日追記




『マリアの旅』
ベルギーで老後を暮らすマリアが、担ぎ込まれた病院で親しくなった若きヴェロニカの死に直面し、慰霊の旅路へ。
荒涼としたスペイン沿岸を背景に、冒険心を取り戻しゆくマリアの表情変化が瑞々しい。旅場面から『イーディ、83歳 はじめての山登り』が想起され。

"La vida era eso" "That Was Life" https://twitter.com/pherim/status/1583292390802354177  
  
  『イーディ、83歳 はじめての山登り』 https://twitter.com/pherim/status/1219842125568692224
 
 
 

 はい次!




おしまい。
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