pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2022年
06月18日
17:36

ふぃるめも226 炎の気まぐれ

 
 

 今回は、6月17日~24日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。(含再掲1作)

 ※24日公開作『愛に奉仕せよ』『母へ捧げる僕たちのアリア』『イントロダクション』『あなたの顔の前に』および24日より始まる特集上映《生誕90周年上映 フランソワ・トリュフォーの冒険》については次回扱う予定です。

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第226弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■6月17日公開作

『ナワリヌイ』

毒殺されかかった当人が、犯人集団の背後にプーチンが潜む事実をハイテク計略で暴きだすドキュメンタリー怪作。ロシア全土に旋風起こし収監された男の軌跡。
間抜けすぎるスペツナズ(特殊部隊)、オウムばりの化学工場etc. ウクライナ侵攻へ至ったロシア政府の超絶劣化に震撼する。

"Navalny" "Навальный" https://twitter.com/pherim/status/1535616155993657345

  拙稿「ルーシの呼び声〈3〉」 近日URL追記。




『エリザベス 女王陛下の微笑み』
チャーチル以来、歴代首相と毎週面談してきた女王の含蓄に、元首相らが受けた感銘を語る奥深さ。
ノッティングヒル他の名匠ロジャー・ミッシェル遺作は、彼だからこそ王室私的映像の使用も許され、機知に富み飽きさせない。
競馬に勝ってはしゃぐ女王かわゆす。

"Elizabeth: A Portrait in part(s)" https://twitter.com/pherim/status/1537767410329354241

前ツイでのチャーチル言及について付言すると、1952年25歳での即位時は第2次チャーチル政権下(’51-55)でした。
また『エリザベス 女王陛下の微笑み』では6歳から公務に就いたとも言及あり、戦時中も疎開せず父王の代理公務を単独で始めていたので、面談同席してたかもですね。
他ドレスデン訪問など見処多いです。

  いただきしチャーチルつっこみ https://twitter.com/kentaro_sibajun/status/15378064775611...

『エリザベス 女王陛下の微笑み』中盤、
女王が《王冠の重み》を語る場面。
“王冠はね、今もやっぱり重い。あとどっちが前かわからない。不便だけど重要ね。運良く父とは頭の形が似てたけど、原稿を読むには紙を上げなきゃいけない。うつむくと冠が落ちるか、首が折れる。”
さらりと面白いこと言う。




『炎の少女チャーリー』
発火の能力を制御できず、学校ではイジメられ孤立する少女が、家族を襲う危機のなか覚醒しゆく。
スティーヴン・キング原作映画の38年ぶりリメイク。少数者の身体&叫びの隠喩、キャリーほか名作群の引用などホラー界の最多安打製造機ブラムハウスがまたやってくれた感。

"Firestarter" https://twitter.com/pherim/status/1529072889097756672

  ブラムハウス=ジェイソン・ブラム連ツイ https://twitter.com/pherim/status/1347439125205381127

孤立した異能の家族がただただ共に生き延びようとする様は、バスク映画『すべての月の夜』を想起。

  『すべての月の夜』“Ilargi Guztiak” https://twitter.com/pherim/status/1501031246322802690




■6月18日公開作

『ポーランドへ行った子どもたち』

朝鮮戦争時に東欧へ移送された孤児たち。
俳優チュ・サンミが、産後うつに苦しむなかで彼らを想い、脱北少女と共に現地滞在する全体が劇的なドキュメンタリー傑作。
戦争で辛酸を嘗めたポーランドの人々が、東洋の孤児らと分かち合った時間の煌めきに圧倒される。

"폴란드로 간 아이들" "Children Gone to Poland" https://twitter.com/pherim/status/1532560873973501952

  拙稿「ある脱北少女と韓流女優の祈り」チュ・サンミ インタビュー http://www.kirishin.com/2022/06/13/54644/




『百年と希望』
格差/環境対策や反差別を重視するジェネレーション・レフトの潮流を、創立百年を迎える共産党の内幕に探るドキュメンタリー。
後半の選挙描写は個人的に共感し難さを覚えるも、忙しない赤旗編集部内の描写や、高度成長期の東京で青春を過ごし帰農した党員のご老人の話など興味深い。

"" https://twitter.com/pherim/status/1538362318933078017

共感し難さに関し例えば印象的なのは、人の群がる片山さつきと、人も疎らな青年候補が対置される街頭演説描写。情念に訴える演歌節の片山と、理路整然と語る青年の対比はアイロニックだけれど、共産党支持層と非支持層とで受け取る皮肉の質は変わる。正しいだけで支持が集まらないのも納得のこの感じ。

コロナ政策に対し、科学が、科学がと吼える場面も同様。それで伝わるなら政権とってるでしょっていう一抹の。

(とはいえこれらは描かれる人々や語られる言葉への違和感であって、作品そのものの評価とは別。)




■6月24日公開作

『ベイビー・ブローカー』

是枝裕和新作は、赤ちゃんポストの内から現代の亀裂を覗き込む。
母になれない女達、父になれない男達がたどりゆく道。
児童売買を明るくこなすソン・ガンホの凄演に、相棒役カン・ドンウォンや刑事役ペ・ドゥナらが拮抗しつつも濃密にどろり滴る是枝時空の温度が沁みる。

"브로커" "Broker" https://twitter.com/pherim/status/1533292692117295104




『ザ・ロストシティ』
南洋の黄金郷伝説めぐるサンドラ・ブロックxチャニング・テイタム主演の抱腹絶倒アクションコメディ。
助っ人ブラッド・ピット&敵役ダニエル・ラドクリフが、深刻ぶるほど笑える近年演じてきたキャラ造形も踏まえて飽きさせない。ポリコレいじりも冴える純度120%の娯楽快作。

"The Lost City" https://twitter.com/pherim/status/1536905823016071168

  『スイス・アーミー・マン』https://twitter.com/pherim/status/1310198266785456132
  『ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡』https://twitter.com/pherim/status/1314776746667831296

  『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』https://twitter.com/pherim/status/1443520703643340802
  『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』https://twitter.com/pherim/status/1416974863240101888


ブラッド・ピット主導の製作会社PLAN B作品に『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』があり、原題でも“Lost City”が両作とも入る桃源郷探索物であることから密な関連を想定して試写へ臨んだが、とくに見当たらず。ただチャニング・テイタムとダニエル・ラドクリフの取り合わせは、どうにも後者主演のチャーリー・ハナム&ロバート・パティンソンの感じにダブるんだよね。探れば何かでそうな気配。




『ルッツ』“Luzzu”
マルタ島の伝統漁船ルッツを愛する若パパ漁師、
生活のため裏稼業へ手を出しゆく。
漁業の終わり見据える魚市親分が悪事を仕切り、子分がインド移民で実はイイ奴という今日景。代々継いだ愛船を手放し魂見失う男の物語を、訥々と赤子へ呟く図に思わず泣く。不意に出逢う心の一作。

"Luzzu" https://twitter.com/pherim/status/1442451854303002630

『ルッツ』は珍しいマルタ映画。
島社会の諸々を映してくれる幸せ。

例えば舟を囲む漁師達が昔話に花咲かせる場面。遭難したお前の親父が昔これでチュニジア着いたんだぜとか語る翁の中に、陽に灼け皺深い本物の漁師顔が数人いたり。

以下、地中海漁師町映画スレッド始める。

 “Il sud è niente” https://twitter.com/pherim/status/1260902528591355905
 『海は燃えている』 https://twitter.com/pherim/status/829540157674057728
 “Lu Tempu di li pisci spata” https://twitter.com/pherim/status/1277081784308490240
 『メルテム 夏の嵐』 https://twitter.com/pherim/status/1275738861134471168





■VOD配信作/国内過去公開作(含映画祭上映作)

『 (r) adius ラディウス』
’17
記憶をなくして目覚めた青年は、人や動物が自身の半径50mへ入った途端に死ぬと気づく。
唯一死なない女性が現れ転がりだす物語。一発アイデアをどう魅せるかに特化するインディーズ感バリバリながら、SFXも演技も高い精度が全編保たれる分、幕切れの突き抜けなさは惜しい。

"Radius" https://twitter.com/pherim/status/1536511877857296384




『グリーンランドー地球最後の2日間ー』
正義とか他人などより家族の命。
巨大彗星迫るなか、大深度シェルターの救済対象に選ばれた主人公一家、でも道中でバラバラになりさあ大変。
家族しか眼中にない主人公夫妻の行動で、大量の人間が致命的損害を受け続ける描写の、狂おしく身も蓋もない今日性。

"Greenland" https://twitter.com/pherim/status/1540169886827040769    
 

 

 余談。
 
 ブラムハウスの新作『炎の少女チャーリー』、公開前の試写評がなんだかとても不評ばかりが目立ち不思議だったけど、徐々に持ち直してきた感。ブラムハウス作品としてもそこそこ平均点はいくし、個人的にはけっこう良かったので意外だったんですよね。
 
 ただこの「そこそこ良い」という評価軸が狭い結果、粗製乱造感へ傾く層というのが太く存在する感じはなんとなくわかったり。
 とくに一般のネトフリ視聴勢などが同じノリで(つまり劇場ではなく家でのオンライン試写で)観たりすると、演出の力点をまったくとり逃がすということはいかにもありそうに思えます。そもそもが物語重視の感性だったりすると、とりわけ。




おしまい。
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