pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2022年
08月29日
23:50

ふぃるめも236 竜とマリカの音楽隊!

 
 

 今回は、8月26日~9月2日の日本上映開始作を中心に10作品を扱います。

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第236弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)




■8月26日公開作

『彼女のいない部屋』
家族を捨て車で旅へ出た女が、バーでクダを巻き行きずりの男を引っ掛ける、ように見える。
家族はふつうに幸せで、女も家族も深く互いを慈しみ合っている、ように見える。
砕け散った鏡の欠片へ乱反射するリアルの残滓が、
やがて輪郭を露わにするMathieu Amalric監督怪作。

"Serre moi fort" https://twitter.com/pherim/status/1561322714572652546




『スワンソング』“Swan Song”
くたびれた田舎町の施設でしみったれた日々を暮らす伝説の老ヘアドレッサーが、旧友の遺言をきっかけに蘇る。
すべてを押し流す現実に直面しつつも、生気を取り戻しゆく一日の描写が素晴らしい。
ウド・キアー、いぶし銀とはまさにこのこと。息するだけで名演なのに踊る踊る。

"Swan Song" https://twitter.com/pherim/status/1561916449064898560




『異動辞令は音楽隊!』
阿部寛演じる“孤狼の血”ばりのアウトロー昭和刑事が、令和の空気に疎まれ左遷、音楽隊へ。
豪放磊落パワハラ刑事から、音楽にハマるイケオジへの心変わり模様楽しす。阿部と衝突する若者=磯村勇斗&高杉真宙らにマドンナ=清野菜名、ドラム師匠=渋川清彦など脇役も各々魅せる。

"" https://twitter.com/pherim/status/1560947213827981314

 『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~https://twitter.com/pherim/status/1526041428799143937
 『クレッシェンド 音楽の架け橋』https://twitter.com/pherim/status/1484859145891512320





『Zola ゾラ』
ウェイトレス兼ストリッパーのゾラが、客の白人女からの“スリリングなフロリダ出稼ぎ旅”への誘いに乗る。すると待っていたのは金と暴力とSEXのるつぼでしたっていう。
ザラ目16mmのロードムービー風味を、Twitter文学発祥の肩透かし展開が清々しく引き立てる、さすがのA24製作映画。

"Zola" https://twitter.com/pherim/status/1562052773335961601

  『ハスラーズ』https://twitter.com/pherim/status/1213099005430779907
 “Paradise Suite” https://twitter.com/pherim/status/871678721413009408
  『ラブ・ストーリー・ノット』https://twitter.com/pherim/status/962491929576456194





『サハラのカフェのマリカ』
サハラ砂漠の真ん中でカフェを開き30年。
彼女に会いたくて寄り道する古参客らの渋い顔立ち、愛猫と過ごす真昼の時間。
アルジェリアの“バクダッド・カフェ”がみつめる世界の変化と、今日も変わらず漂う空気、響く音。これは映画にしたくなるね。してくれて大感謝。

"143 Rue du Désert" "143 Sahara Street" https://mobile.twitter.com/pherim/status/1561203267417550...

  ホイアンのカフェ https://twitter.com/pherim/status/1310159619088498688
  ヤンゴンのカフェ https://twitter.com/pherim/status/567606428873928704





■9月1日公開作

『この子は邪悪』

耽美レトロ系サイコホラー。
心神喪失流行の謎と家族の悲劇。
美術照明の昭和感麗しう。玉木宏+二ノ宮隆太郎怪演、南沙良、大西流星、桜井ユキ各々好演。
魂と肉体のそぐわなさを眼球暴走で表現する演出にギョっとさせられ、監督の父親が人形館経営と知り業深きホラー味上乗せ。

"" https://twitter.com/pherim/status/1563382012865835009




■9月2日公開作

『ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル』

フィンランド王国時代の王冠に埋め込まれた伝説の緑宝石めぐる凸凹盗賊団の隠密冒険。
北欧ブラックユーモア満載で、選挙による王政復古を企む貴族を巻き込む右傾社会諷刺も満点。
『ぼくのエリ 200歳の少女』『裏切りのサーカス』のトーマス・アルフレッドソン監督作。

"Se upp för Jönssonligan" "Watch Out for the Jönsson Gang" https://twitter.com/pherim/status/1563754975976898562

出演者のおひとり(本業は宇宙系のCEOっぽい?)から、右傾化めぐる新情報をリプでいただくなど。
https://twitter.com/SpaceChainCEO/status/1563756661357121...

 『アダムズ・アップル』https://twitter.com/pherim/status/1183593953905373185
  拙稿「敬虔と罪の深淵『アダムズ・アップル』」http://www.kirishin.com/2019/11/16/38684/
 
 『隣の影』https://twitter.com/pherim/status/1153139419408261120





『デリシュ!』“Délicieux”
革命前夜の1789年フランスで、高慢な公爵に自慢の創作料理を拒絶され野に下った宮廷料理人の七転八起。
訪れた謎の女性の助けで情熱を取り戻してからの挑戦が、西洋初の民衆向けレストラン開設へ結実する物語に惹き込まれる。
素朴だけど品ある料理映像は垂涎物。

"Délicieux" "Delicious" https://twitter.com/pherim/status/1547191489905577984

 『ボイリング・ポイント/沸騰』https://twitter.com/pherim/status/1547191489905577984




■国内過去公開作(VOD配信開始作)

『竜とそばかすの姫』

ベタにVR空間版“美女と野獣”。夏の日常画とVRアニメ表現の秀逸さで“サマーウォーズ”再臨感を楽しめた。
細田守監督が30年来憧れてたのが“美女と野獣”モチーフとの由。にしても歌姫の造形、現実のあばた娘がVRではディズニーへ寄るのは、現代日本人の感性尺度の反映かもとか。

"" https://twitter.com/pherim/status/1554630894371377152

  細田守版『時をかける少女』東博ツイ
  https://twitter.com/pherim/status/1338423889718779910





■VOD配信作(国内非劇場公開作)

『ムーン・フォール』

月が落ちてきちゃうエメリッヒ新作。
視覚効果で魅せる、劇場で観ないと良さ半減の作品が配信限定になる問題の本年筆頭。ハル・ベリーが突貫しギーク兄貴が跳躍する大迫力宇宙をのけぞり楽しんでこそなのに。
終盤の物語崩壊を“2001”風不条理で乗り切るシリアスギャグ笑う。

"Moonfall" https://twitter.com/pherim/status/1563034432180998144 

 『グリーンランド 地球最後の2日間』https://twitter.com/pherim/status/1540169886827040769
 
 
  


 余談。
 
  拙稿「カルト、抵抗、不可能性。 再監獄化する世界(6)」
  http://www.kirishin.com/2022/08/29/55942/

   
 『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』『アウシュヴィッツのチャンピオン』『カールと共に』『ミュンヘン:戦火燃ゆる前に』ほか関連20作品ほどに言及してます。長文記事はあまり読まれてないようなので、まぁお知らせまで。
 
 映画ライターっぽく短い映画記事を量産することになぜか関心が湧かないのだけど、もう少し端的に、長いにしても1イシューへ集中させるとか切り詰めたほうが良いとは思います。思ってはいるのdeath。


 


おしまい。
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