pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2022年
10月13日
22:43

ふぃるめも239 千夜前から愛してる!

 
 

 今回は、9月30日~10月7日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第239弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■9月30日公開作

『ダウントン・アビー 新たなる時代へ』

言わずと知れた英国大河ドラマの特別映画版。
息合う出演陣&制作陣、絢爛の衣装美術すべて極上。
特に何が凄いって、一時代の終わりと始まりを描くこの物語を、エリザベス逝去の年に当てて来た感覚の良さ。一家の屋敷が映画撮影現場になる劇中劇構成も楽しい。

"Downton Abbey: A New Era" "Downton Abbey 2"

 エリザベス2世逝去連ツイ:https://twitter.com/pherim/status/1569914502661156865
(ケイト・ブランシェット主演“Elizabeth: The Golden Age”『エリザベス 女王陛下の微笑み』など言及)





『愛してる!』
女子プロから地下アイドルへ転向した主人公が、売れない日々を経てSM嬢の道に覚醒する。
カラッとした主演/川瀬知佐子と、ド変態な本人役/高嶋政宏が、SM世界の昏い耽美を吹き飛ばすドタバタ展開に笑う。
フェイク・ドキュメンタリー映像の醸す臨場感は、さすがの白石晃士監督作。

"" https://twitter.com/pherim/status/1579727098302042112

 松居大悟『手』https://twitter.com/pherim/status/1569655523016056835




『ドライビング・バニー』
子と離れて暮らす母親バニーが、行政への怒りから家庭支援局へ立て籠もるまでを描く実話ベースのニュージーランド映画。
バニーの溌剌さに救われる姪(トーマシン・マッケンジー)の存在が、貧困層に過酷な現代NZ社会を穿つケン・ローチ級の鋭角描写へ涼風吹かせる良構成。

"The Justice of Bunny King" https://twitter.com/pherim/status/1573861453463171073

 ケン・ローチ近作
 『家族を想うとき』https://twitter.com/pherim/status/1200606075638046720
 『わたしは、ダニエル・ブレイク』https://twitter.com/pherim/status/841910293903081472


『ドライビング・バニー』では、ラストナイト・イン・ソーホー/パワー・オブ・ザ・ドッグ/ジョジョ・ラビットほか秀作続きのトーマシン・マッケンジーが、何をしてもうまくいかない40歳主人公の目に映る世界を表現する殺伐描写に一輪の花を添える感。
彼女の役柄には、若者幸福度世界ワーストのNZ若年世代(自殺率は日本の倍)が抱える鬱屈が凝縮されており諸々見応えがある。

 トーマシン・マッケンジー近作
 『ラストナイト・イン・ソーホー』https://twitter.com/pherim/status/1467696241517928448
 『ジョジョ・ラビット』https://twitter.com/pherim/status/1213719980547559424





『Bridal, my Song』
ウェディング会社宣伝映画、失敗作の典型が詰まってて逆に興味深い。
とくに無惨なのが、一本槍の構成をそれなりの出演陣が演技過剰でカバーしようと試みるあるある。とりわけ木村知貴のゲイ役はキャンセル級の痛々しさ。
なぜか英題メインで、ポスターだけ日本語題なんだけど『ブライダル,マイソング』ってカンマなあたりズレかたを体現してる。

""




『1950 鋼の第7中隊』
朝鮮戦争を中国視点から撮る大作映画を、
陳凱歌/チェン・カイコーが監督する今日感。
マッカーサーの連合軍に数で挑む人海戦術を、感心するほど勇烈&悲壮に描き切る。香港から徐克+林超賢が共同監督参画し、純共産党プロパガンダとの評を逸脱する場面も多く興味深い。(続

"长津湖" "The Battle at Lake Changjin" https://twitter.com/pherim/status/1577956432787673089

追記予定。バリ戦意高揚すぎて気になる点とか。




■10月7日公開作

『愛する人に伝える言葉』

ドヌーブ&ブノワ・マジメル新作は、ガンで余命宣告を受けた演劇講師とその母が描く心の軌跡。生徒らの劇中劇演出や絶縁息子の訪問など周辺配置もみせる。
終末期医療スタッフの、通常医療の範を超えた全人格対応が胸を打つ。観終えて主治医役は本業の医師と知り余韻深甚。

"De son vivant" https://twitter.com/pherim/status/1580183736758697990

『愛する人に伝える言葉』で主治医演じるガブリエル・サラは本名出演で、NY総合病院のリアル上級指導医。
NYTimes他メディアでBest Doctorに選出される名医にして、音楽療法での注目を浴びる親父の名演が沁みる。難病/感動物ばかりになった日本製医療ドラマとの隔絶ぶりが切ない。

 日米医療ドラマ考察連ツイ: https://twitter.com/pherim/status/1191538609909710848




『千夜、一夜』
北の離島で、失踪した男を30年待ち続ける女がいる。
その女をずっと想い続ける漁師がいる。
2年前に消えた夫を探す看護師が島を訪れる。
田中裕子x尾野真千子の対峙が凄まじい。
日本海景と特定失踪者問題を質実ドラマへ落とし込む、
NHKドキュメンタリー出身監督久保田直の卓越性。

"" https://twitter.com/pherim/status/1575723532113555456

『千夜、一夜』では、“消えた夫を探す女”を待つ男という構図がリフレインする。この待つ男を演じるダンカンと山中崇の、脆くも心優しい情感演技がまた素晴らしい。
その弱さ不甲斐なさをも愛する漁師の母役/白石加代子、失踪夫役/安藤政信、嫁憂う父役/平泉成、元町長役/小倉久寛。燻し銀揃いの極質実。

『千夜、一夜』メインの舞台は佐渡ヶ島でうらぶれた漁師町景が良いのだけど、尾野真千子演じる看護師が暮らす新潟市の描写も対照的で興味深い。失踪した息子の父(平泉成)が初めに登場するのは新潟聖パウロ教会の礼拝場面で、聖公会の瀟洒な建築が映画の奥行きを深めている。

  拙稿「宿りとあらわれ」 http://www.kirishin.com/2022/10/04/56552/




『ソングバード』
COVID-23の猛威下で引き籠もる人類を描く、マイケル・ベイ製作のパンデミック・スリラー。
LAが収容所群島と化す描写は同じくベイ製作のパージ系(連作スレッド↓)演出を想起させ、コロナ禍中撮影の緊張感濃密。トランスフォーマーのキャラ達がダベる場面が好きな人には垂涎物。

"Songbird" https://twitter.com/pherim/status/1578203616141512704

 『パージ』系連ツイhttps://twitter.com/pherim/status/1139003294154539008




■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)

“Totally Under Control”(無責任大統領と17人の告発)

トランプ政権によるCOVID-19対応の暴露ドキュメンタリー。
無知や権勢欲から、パンデミックを防げた契機を毎度逃し、抗マラリア薬が効くという風説を信じ込み大量支給命令を下すまで。
守秘契約を強いられた直轄スタッフや、合理対応を封じられた医師らの表情が痛々しい。

"Totally Under Control" https://twitter.com/pherim/status/1580540880230191106

 Watchaにて配信中: https://watcha.com/ja-JP/contents/mWLyl4D




■日本公開中作品

『トップガン マーヴェリック』

ズルいくらい、一生モノの体験でした。
現代撮影術と役者胆力の粋を集め、己が困難へ立ち向かうアメリカ娯楽映画の王道をスペクタクルの極みへ昇華。
グースの残像、嗄れ声アイスマン、F14操縦席。一人で海軍や世界情勢と対峙する立ち姿は今年還暦Tom Cruise本人よな。

"Top Gun: Maverick" https://twitter.com/pherim/status/1574600371343101952

 『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』https://twitter.com/pherim/status/800555682562854912
 『オブリビオン』https://twitter.com/pherim/status/342209959934697472

  ※色々あるなか上記2作を選んだのは映画構成/ツイ内容から。

今さらの初見IMAXレーザー鑑賞、堪能。
マトリックスほか諸々ある世紀越しの締め映画中でもベストよな。



 

 余談。いろいろあって更新遅延気味。マーヴェリックは、元祖トップガンがちょっと思い入れありすぎる作品のため、観る機会を大事にしすぎて遅くなり。池袋のIMAXレーザー最終日にようやく観てきたのですが、もう最初の鐘の音でやられてしまい。





おしまい。
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