今回は、2月10日~2月17日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。(含配信ドラマ1シーズン)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第255弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■2月10日公開作
『崖上のスパイ』“悬崖之上”
ソ連で特訓された共産党工作員vs日本軍の密命背負う特務警察。
チャン・イーモウ/張芸謀新作、恋人や夫婦が引き離され、二重スパイが絡み……雪降りしきる水面下での衝突が凄まじい。
“一秒鐘”↓に続く優男チャン・イー/张译&かわゆすリウ・ハオツン/刘浩存W主演。
"悬崖之上" https://twitter.com/pherim/status/1622114361195241472
『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』“一秒鐘”https://twitter.com/pherim/status/1525790703917604865
※1930年代のハルピン再現とリウ・ハオツン/刘浩存めぐり追記予定。
『小さき麦の花』
あまりにも切なく、心に沁み入る。
中国西北の僻村で、厄介払いのように結婚させられた寡黙な農家の四男と障碍をもつ女。苦難をともにし芽生えゆく幸福感と愛情描写の、静かな深さ。
渇いた大地、土と格闘する歲月の濃密とその終焉。物言わず全てを見つめるロバの瞳にただ慄える。
"隠入塵煙" "Return to Dust" https://twitter.com/pherim/status/1623302602439143424
『呪呪呪/死者をあやつるもの』
死体操り人形の群れが全力疾走で襲い来る。
『謗法』の超恐“裏返り死”が深化し映画へ。想像力が製作力を圧倒凌駕してきたヨン・サンホ、本格黄金期突入ですね。
あともののけ姫化した少女呪術師(チョン・ジソ)の図、一瞬だけどカコヨス。
"방법: 재차의" "The Cursed: Dead Man’s Prey" https://twitter.com/pherim/status/1621380338806300673
『謗法 運命を変える方法』Netflix https://twitter.com/pherim/status/1620263337551609860
『JUNG_E ジョンイ』Netflix https://twitter.com/pherim/status/1617019881828020228
■2月17日公開作
『呪餐 悪魔の奴隷』
野原にポツンと建つ高層住宅は悪魔の巣窟でした。
ホラー名作オマージュてんこ盛りで“このカットが撮りたかった感”が全編凄いジョコ・アンワル監督新作。インドネシア娯楽映画が好きなら爆笑必至、馴染みがなければ呆然自失かもしれない、IMAX撮影&本国作興収歴代3位の鳴り物入り怪作。
"Pengabdi Setan 2: Communion" "Satan's Slaves 2: Communion" https://twitter.com/pherim/status/1622230179253997576
『いつかの君にもわかること』
シングルファーザー33歳が、余命僅かの宣告を受け息子4歳の養子縁組を考える。
窓拭き清掃人の主人公を無自覚に見下す人々や、一見“いい人”に見えるがどこかおかしい養父母候補の面々、父への愛を示す幼児の仕草を映す演出の、抑えの利いた目線の鋭さに唸らされる。
"Nowhere Special" https://twitter.com/pherim/status/1624014342114131969
『ベネデッタ』
史上初となる女性同士の同性愛裁判に臨んだ修道女。
尼僧の体験する奇蹟の真偽演出や、拷問器具の細部表現など力点の配分がいかにもなポール・ヴァーホーヴェン翁新作。
17世紀トスカーナの実話ベース作で、聖痕の絡む暴力&性愛描写の鋭さは監督過去作“エル”“氷の微笑”級。
"Benedetta" https://twitter.com/pherim/status/1622565605491761154
『エル』“ELLE” https://twitter.com/pherim/status/905443824511574016
※シャーロット・ランプリング、ランベール・ウィルソンおよび過激表現めぐり追記予定
(序盤の荘厳演出は、ブリュノ・デュモン『ジャネット』並みのヘンテコ個性を感じ、かなり良かった。)
デュモン『ジャネット』https://twitter.com/pherim/status/1468052744162672641
『別れる決心』
美しき容疑者に惹かれゆくキマジメ刑事。
タン・ウェイの存在感パない。
渇き/お嬢さんなど魔性を描く傑作が多い近年のパク・チャヌクに、復讐者に憐れみを/OLDBOY始め初期ノワール妙味が蘇りゆく嬉しき流れ。変てこ画角/間合いが観る面白さと緊張感を持続させる名匠テクは流石です。
"헤어질 결심" "Decision to Leave" https://twitter.com/pherim/status/1623655942410862592
■日本公開中作品
『RRR』
いまさら初見で、面白すぎてのけぞった勢。
猛獣たちと総督邸へカチコミかけ、炎と水を背負うおっさん2人が少年救った1秒後に空中で固く握手とか、こんなインドエンタメが観たかったよと大興奮。
国家独立への感情移入&昂揚誘う終盤など、今日も映画はなお「映画」だなと感心したり。
"RRR" https://twitter.com/pherim/status/1623890228070199297
『RRR』のオートバイ。
劇中で車種が切り換わることに意図を感じ調べると、やはり“英国製からインド製へ”という誇りの物語が。
詳しいバイク屋さんスレ発見: https://twitter.com/powerfork/status/1586857834418872320
VelocetteとRoyal Enfiel。後者を駆る若者旅は、すでにインド辺境部でお馴染みの光景です。
※若者2人が現代インドを縦断ツーリングする映画『青い空、碧の海、真っ赤な大地』にみる今日性:
https://twitter.com/pherim/status/1510841842375397383
ちな『RRR』舞台の1920年に存在しないバイクの登場も各所で指摘される通りで、“インドの誇り”の筋(↑)からは意図的な投入とも読めます。
《史実では会っていない2人の反英国活動家が共闘する物語》を盛り上げる有効なギミックとして。
面白かったRRR評2篇: https://filmsaagar.com/index.php/2022/03/25/rrr/
https://tokyoartbeat.com/articles/-/RRR-review-2022-10
※公開後4ヶ月放置しようやく観たのは、『バーフバリ』を序盤で挫折したトラウマ主因。デリーとは別に総督府のあったコルカタは自身十代の記憶に濃い場所だったり、同じく反帝国主義ナショナリズムで『RRR』級の傑作『八佰』が、敵が日本軍ゆえ日本未公開のままだったりするあたりめぐり追記するかも~
■国内劇場未公開作(含VOD公開/DVDスルー作)
『ウェンズデー』シーズン1
た の し い 。
アダムス・ファミリーの長女ウェンズデーが黒目ジト見でがんがん進む。このジェナ・オルテガはいいぞ。
世界観醸成が丁寧すぎ若干トロい点含めティム・バートン。BATMANやMars Attacks!の昔はこういう風に超長尺作が来るとは想像もしてなかったな。
"Wednesday Season 1" https://twitter.com/pherim/status/1614982733817860097
ティム・バートン近作:
2015『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』https://twitter.com/pherim/status/826594632792354816
2014『ビッグアイズ』https://twitter.com/pherim/status/564060371904782338
ウェンズデーどハマりの怪演で魅せたジェナ・オルテガ、誰かに似てるのにずっと思い出せなかった理由が突然わかった。
本田△だった。
S1鑑賞中ずっと最近の視覚記憶がピコピコ反応してるのに、何の映画も思い出せず不思議だったけど、鼻から下が本田圭佑さんで納得の午後。
[画像比較]→
https://twitter.com/pherim/status/1617437864052293633
■日本過去公開作(含映画祭上映作)
『ガッジョ・ディーロ』“Gadjo Dilo”1997
幻の歌姫を探す青年が、
ロマの村で味わう渾沌そして飛翔。
ロマの血引くトニー・ガトリフによるカルト作。ローナ・ハートナー以外は村人全員ロマ人の貫徹と、主演ロマン・デュリスの軽さが活きる。
父が遺したカセットテープから展開する沸騰宇宙。
"Gadjo Dilo" https://twitter.com/pherim/status/1624321187307491328
『サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ』https://twitter.com/pherim/status/832193511852085249
『パッション・フラメンコ』https://twitter.com/pherim/status/897622406520598528
『J:ビヨンド・フラメンコ』https://twitter.com/pherim/status/933686545524994049
トニー・ガトリフ2004年作『愛より強い旅』“Exils”、イスラーム映画祭8(2023/2月~5月)にて上映。
拙稿「イスラーム映画祭8 東京-名古屋-神戸 主宰者・藤本高之さんインタビュー」
http://www.kirishin.com/2023/02/13/58734/
イスラーム映画祭8、2/18~。pherimツイート見てイスラーム映画祭へ行ったら良かったという人、何年も続けてるとぽつぽつ現れるのですが、地味にそういうのが一番嬉しいことかもしれません。ぜひ。
余談。『トップガン マーヴェリック』『NOPE』『アバター2』『THE FIRST SLAMDUNK』そして『RRR』。公開から数ヶ月たって観た大ヒット作シリーズ。
なぜこうなるのかというと、どうせならIMAXレーザーやDolby Cinemaなどハイエンド環境で観たい、でも日本のそれはいつも混んでて嫌。なので一旦忘れて空いた頃ようやく観に行きたくなるループ。
『RRR』は現時点で3ツイート計300RT&1500LIKEいってるけど、新鮮な驚きを4ヶ月遅れでつぶやいたことが大きいですね。公式RTも考察の中身もまずそれあって機能した感。ネット上には研ぎ澄まされた諸々がすでに溢れているので、後追い鑑賞もこれはこれで結構楽しいです。
※2/17追記: RRRをめぐっては思わぬ人から、笑っちゃうようなクソでかクズ反応をいただいたので、とりあえずあったことだけ記念に書き残しておきます。ある種の断念を導く体験だったので数年後どこかへ書きつける流れになるかもだけど、なるほどこういう欲望の宛先として使われるのか、残念だなぁと。ツイートとかでなく自分が消費されるという話ですけど、まぁ驚いたし勉強になりましたね。
おしまい。
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