今回は、2月23日~2月25日の日本上映開始作と、アテネ・フランセ文化センター特集企画
《モフセン・マフマルバフ監督作品セレクション》上映作から10作品を扱います。
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第257弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■2月23日公開作
『ワース 命の値段』“Worth”
2001年9月11日アメリカ同時多発テロの補償金算出に自信をもつ弁護士が、犠牲者遺族らやチームの身内にさえ反発される。
政府/企業の要請と人々の悲嘆との狭間での、精神臨界ギリギリの格闘をマイケル・キートンが好演。
活路を求め続ける熱き道程を丹念に描く質実作。
"Worth" https://twitter.com/pherim/status/1625103280434196482
『ナインイレヴン 運命を分けた日』https://twitter.com/pherim/status/903076871587340288
『ザ・ウォーク』https://twitter.com/pherim/status/676770153174994944
WTCめぐる雑想 https://twitter.com/pherim/status/1625103211207221250
『アラビアンナイト 三千年の願い』
物語論の研究者が魔神に出逢ったら。
ティルダ・スウィントンxイドリス・エルバ
一筋縄でない距離感が飽きさせない。
シンドバッドもアリババも現れない千夜一夜の、女性が締める奇譚の連なる入れ子構造が今日的で趣深い、MADMAXのジョージ・ミラー監督新作。
"Three Thousand Years of Longing" https://twitter.com/pherim/status/1629677380234272769
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』https://twitter.com/pherim/status/602676796232892416
感情の高まりによる過剰な発言を、言葉通りに受け取ることで物語が閉じられる(主人公と魔神が別離する)展開がくり返されるのだけど、これはこれで女性=感情的のステロタイプ表出でないとは言いがたく、ウィル・スミスの次はイドリス・エルバで、アラブ人でも白人でもないことのにゅにゅにゅとか突っ込むひとはまぁいそう。
ティルダ・スウィントン連ツイへ発展予定の27歳時出演作“Cycling the Frame”
https://twitter.com/pherim/status/1590550760924000256
※イスタンブル描写をめぐり追記するかもー
『逆転のトライアングル』
セレブの集う豪華客船が難破、生活力ある清掃婦のアジア人おばちゃんがヒエラルキーの下剋上を果たしゆく。
ウディ・ハレルソンの泥酔資本主義dis響く中、ソマリア“風”海賊船が近づく構図好き。
ウエルベック級のツーリズム諷刺含め、前作◆↓の南洋拡大版という風趣。
"Triangle of Sadness" https://twitter.com/pherim/status/1628921798606876672
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』https://twitter.com/pherim/status/993459897093111815
■2月24日公開作
『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』
日の丸の赤は何を意味していると思いますか?
閣議で問題視された1967年の街頭インタビューを再現。“女子アナの不躾さ”の理由を半世紀後の本人が語る下りも面白い、TBS佐井大紀監督作。
TVが熱い時代。シネマ・ヴェリテ影響下と分かるカットなど興味深い。
"" https://twitter.com/pherim/status/1630123535288135681
ジャン・ルーシュ『ある夏の記録』https://twitter.com/pherim/status/903414888373960704
『日の丸~寺山修司40年目の挑発~』劇中に、
“二年前、私がTBS萩元晴彦と組んでテレビ・ヴェリテ「あなたは……」という番組を作った”
との寺山の語。それこそ長らく伊丹十三監督作と思っていた番組だったので驚く。両者ともテレビマンユニオンと関係する以外は詳細不明。
伊丹十三と思い込み呻吟してるツイ:https://twitter.com/pherim/status/1339764405433556994
■2月25日公開作
『ただいま、つなかん』
気仙沼の漁師の家が、震災の学生ボランティア受け入れを機に民宿つなかんとなる。
女将いちよさんの明るさとは裏腹に、中盤に襲う不幸は想像不能で、安易に復興ドキュメンタリーとは括れない後半展開に見入る。
撮影期間11年、研ぎ澄まされゆく若者たちの面構えが頼もしい。
"" https://twitter.com/pherim/status/1628234691122978816
■モフセン・マフマルバフ監督作品セレクション
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/ma/makhmalb...
『タイム・オブ・ラブ』1991
不倫する妻と男。を目撃した老人から告げられる夫。
という構図に始まり、立場や視点、虚実が入れ換わりゆく“羅生門”展開の複雑さを、ボスポラス海峡の穏やかな美景が落ち着かせる。
なぜイスタンブル撮影か。イラン政府の拒絶ゆえ、とは監督談↓。
[動画見当たらず]
"Time of Love" https://twitter.com/pherim/status/1625327807428689920
モフセン・マフマルバフ上映後トーク(動画ツイ):
https://twitter.com/pherim/status/1621822210632740869
モフセン・マフマルバフTalkなう。
イラン国内の自作のフィルムネガは、今どこでどういう状態にあるのかわからない。日本で収蔵されてありがたい。17歳で収監されて以降の社会とイラン映画のニューウェーブを巡って。ロンドンの自宅から。
通訳:ショーレ・ゴルパリアンさん
マフマルバフ「イランで現在進行中の全国的なデモ活動。これは女性の権利を守る目的で始められたもの。イラン革命後の報道では、人々が怒ったり何かが燃える映像ばかりが放送される。
イランの映画は、それとは違った日常の光景を伝えてきたと言える。イラン映画には、いつも詩の風が吹いている。」
『ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ』1992
1900年ガージャール朝ペルシャに映画が到来した顛末を描く、イラン映画史はじまりの物語。
映画愛&郷土愛に溢れつつも、名作『牛』の主人公がそのまま国王役へ居座るなど、マフバルバフならではな茶目っ気ある仕立てが楽しい。
[動画見当たらず]
"ناصرالدینشاه آکتور سینما" "Once Upon a Time, Cinema"
『牛』“گاو”https://twitter.com/pherim/status/1210069670276952064
『サラーム・シネマ』“سلام سینما” 1995
マフマルバフがオーディションを告知すると、5000人が集まり将棋倒し発生、大混乱に。
イラン市井の映画熱を感じとれる珍妙さの横溢。業界の現状に照らしても痛烈な《選ぶ側=監督》の権威性諷刺の一幕にみる、独裁者へ自らを擬す体制批判への覚悟に唸る。
"Salaam Cinema" "Hello Cinema" https://twitter.com/pherim/status/1630179916011683842
『パンと植木鉢』1996
モフセン・マフマルバフが17歳時、王政打倒に共鳴し警官を襲った事件を、20年後に警官本人と再現。
路地を使う演出の端正な巧さ。革命への失望とその後の亡命生活を想うに、パンと植木鉢が交錯するラストカットへ込められた願いの痛切さに眩暈する。
"نون و گلدون" "A Moment of Innocence" https://twitter.com/pherim/status/1622796987174371328
『グリーン、ホワイト、レッド イラン映画の歴史を求めて』2015
映画大学の学生が、列車で彼氏に借りた映画史の本を繙きながら、白昼夢のようにイラン映画史を遡る。
『キシュ島の物語』でマフバルバフとも協働したアボルファズル・ジャリリ監督作。直球かつ膨大なイラン映画引用の奔流に耽溺する。
[動画見当たらず]
"GREEN,WHITE,RED" https://twitter.com/pherim/status/1639461050679721984
『独裁者と小さな孫』2014 https://twitter.com/pherim/status/686833749376413696
『クローズ・アップ』1990 https://twitter.com/pherim/status/1469954159583830019
マフバルバフ著『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』
https://twitter.com/pherim/status/1470168693854576640
余談。アテネ・フランセ会場で中肉中背の20代~アラサーくらいの青年に複数回会釈されたのだけど、見覚えあるようなないようなで誰だかわからない。このマフバルバフ特集上映は共催が日本映像学会アジア映画研究会で数年前から参加させてもらってる会のため、可能性のある関係性の網目が各所へ及び、そういう広がりかたが自分にはあまり縁がなく苦手なのだなとか気づく。
こういうのは死ぬまで苦手だろうなぁ。とも。わからないなりにお辞儀はしちゃうのですけれど。
おしまい。
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