pherim㌠

<< 2023年3月 >>

1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031

pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2023年
03月20日
02:35

ふぃるめも259 常在閃光、死人零落

 
 

 今回は、3月17日~18日の日本上映開始作を中心に10作品を扱います。

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第259弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■3月17日公開作

『コンペティション』

ペネロペ・クルスが天然パワハラ監督を演じる業界内幕コメディ with A. バンデラス。
ル・コルビュジエの家/笑う故郷の南米監督コンビによる映画界諷刺は小気味良く、撮影現場ギミックやインテリアが逐一眼福。
あとペネロペのラフで奇抜なシャネル衣装が無数に楽しめる。

"Competencia oficial" "Official Competition" https://twitter.com/pherim/status/1632362121878204418

 『笑う故郷』https://twitter.com/pherim/status/907435460741390336
 『ペイン・アンド・グローリー』https://twitter.com/pherim/status/1273461676575043584





『零落』
破格の竹中直人監督新作。
浅野いにお原作の闇成分を斎藤工が一身に纏い、漫画家の鬱を生き切る。
趣里や玉城ティナが魔術師のように反転世界を飼いならし、MEGUMIや山下リオがリアルの皮相を鋭利に貫く。そして高らかに嗤う安達祐実。深層のアニマを彼女ら皆が精確に体現するこの凄味。

"" https://twitter.com/pherim/status/1634826516159934464

『零落』は女優陣のハマり方が凄まじい。なかでも趣里をはじめデリヘル嬢たち(信江勇,佐々木史帆)の布置が、主人公の虚無を包む構成は慄える。
男優陣では寡黙な目撃者となるアシ役/土佐和成が出色。しりあがり寿の“編集者ハラ”演技も鮮烈。
そして黒衣で嗤う安達祐実。

 (画像引リツ等: https://twitter.com/pherim/status/1635875653697544195 )

※原作引用画像交え追記予定。




『メグレと若い女の死』
メグレ警視なりきりドパルデューが心楽しい。
ヒロインの水死体から始まる伝統的ミステリー構成で、パトリス・ルコント見事復活。“仕立て屋の恋”以来のシムノン原作を、悠々と調理する腕に衰えなし。
残されたドレスに篭る無音の叫び。
余韻のルコント味懐かしくも堪能。

"Maigret" https://twitter.com/pherim/status/1632721124588126208 
 
  半世紀前のドパルデュー兄貴(25歳)『薔薇のスタビスキー』“Stavisky...”1974
  https://twitter.com/pherim/status/1575306151570575360





『死体の人』
いつも死体役の役者青年と、ヒモ男の子を孕んだデリヘル嬢の出逢いと共闘。
唐田えりか、滅茶よくて驚く。『寝ても覚めても』から格段に地力を蓄え際立つ輪郭と存在感。
《チョイ役の映画を友人や家族がわざわざ観て、過剰に褒めてくるつらさ》を表現する奥野瑛太の複雑笑い、切ない。

"" https://twitter.com/pherim/status/1633444296216182784 

 『寝ても覚めても』https://twitter.com/pherim/status/1077731801223684096
 
 
 

『The Son/息子』
ヒュー・ジャックマン新境地。
子の迷走により男の誇り揺らぐ主人公を自ら希望、製作兼任を経た後半の咆哮は鳥肌物。
そして主人公の父役アンソニー・ホプキンス。深層の傷を一瞬で出血させる表情演技に心底慄える。“ファーザー”後の2作目でこの奥行き、フローリアン・ ゼレール監督怪物では。

"The Son" https://twitter.com/pherim/status/1637790977971871745

 『ファーザー』https://twitter.com/pherim/status/1390143589003390983




■3月18日公開作

『赦し -ゆるし-』“December”

17歳の少女が犯した同級生殺人。
7年後の再審で強まる少女釈放の可能性が、犠牲者の父母を揺さぶる。殺意さえ抱く父。新たな生を志す母。中空を見据える少女。
父母役/尚玄&MEGUMI、少女役/松浦りょうらの醸す魂の対峙が凄まじいアンシュル・チョウハン(『コントラ』)監督新作。

"December" https://twitter.com/pherim/status/1635622421238812672

『赦し -ゆるし-』主演・尚玄さんへ、登板へ至る“アジアの尚玄”の軌跡などお話を伺いました。↓

  尚玄主演前作『義足のボクサー GENSAN PUNCH』公開時インタビュー
  http://www.kirishin.com/2022/05/26/54440/


沖縄とフィリピン、米国武者修行とマレーシア連ドラ出演。『ハブと拳骨』から『カム・アンド・ゴー』へ。

※新夫役/藤森慎吾&判事役/真矢ミキなどめぐり追記するかもー




■国内公開中作品

『ケイコ 目を澄ませて』

目の前の一瞬をただ生き切る。
圧巻の三宅唱監督&岸井ゆきの主演作。
聾者のプロボクサーとして、黙々とリングに立ち続ける彼女の姿は、ジムが閉鎖し下町の再開発が進むほど逆に際立つ。
“きみの鳥はうたえる”を想起させる手法と素材の神的一致、がいざなう時間の至福。

"" https://twitter.com/pherim/status/1637279618070880258

  三宅唱監督作:
  『きみの鳥はうたえる』https://twitter.com/pherim/status/1034633021956087808
  『ワイルドツアー』https://twitter.com/pherim/status/1096368625366138880
  《ワールドツアー》https://twitter.com/pherim/status/1097499262185746432
  『呪怨:呪いの家』https://twitter.com/pherim/status/1282510076192755713





『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
日常の煩雑さに摩耗する女が、ふいに宇宙の存続を賭け多次元展開する奇天烈傑作。
今の自分を、そうであったかもしれない全ての自分が支えるマルチバース物語に、人種/LGBT差別を完全包摂させる神構成、すら凌駕する演出の数々にただただ見惚れる。

"Everything Everywhere All at Once" https://twitter.com/pherim/status/1637023367923646464

  ミシェル・ヨー連ツイ https://twitter.com/pherim/status/1614937702855757826

エブエブ(Everything Everywhere All at Once)各3章の開幕時、それは既に見つめている。(画像↓橙色内)
https://twitter.com/pherim/status/1637083024587382785
クールベの語「私は石に考えさせることができる」から始まる展評を書き出したその日に、映画館でそれと出逢う驚き。
えっと、青い石がミシェル・ヨー演じる主人公、赤い方がその娘です。(キリッ

“ 脆い私たちが生き残ることは、この冷酷な石の上では不可能なようにも思える。
 私にとって、こうした考え方が真実か否かより、それに内在する美の可能性のほうがはるかに興味深い。私たちは美が成長するこの地上に、時間の中で存在しているのだ”
(アニー・ディラード『石に話すことを教える』1982)





■国内過去公開作(含映画祭上映作)

『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』
2021
予想外に魅せるアクションと、敵ボス役/堤真一や“妹”役/木村文乃の意外なハマり方が秀逸。
変なのを噛ませがちな邦画エンタメにあって原作通りの展開は好感もてるし、佐藤二朗も絶妙に笑える。前作の悪評で埋もれがちな良作でした。
次は妹のBARファイト期待。

"" https://twitter.com/pherim/status/1636736097698062337




『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
びっくりしたなもぅ。(皆から2年遅れで)
“逆襲のシャア”登場陣の子供世代がヱヴァQ的宇宙遊撃かまし、(士郎攻殻2で荒牧素子が対峙する)草薙素子同位体成分まで入った感。
幼馴染のたっちゃんが作ったシャアザクの赤い巨躯まで想起されレトロ楽しさ無限大。

"Mobile Suit Gundam Hathaway" https://twitter.com/pherim/status/1636210258006913024


 

 
 余談。『ケイコ 目を澄ませて』は1月に観ていてすごく良かったけどツイートが遅くなり、日本アカデミー賞受賞ツイが流れてきたのでこれを機にお片付け。
 
 この「良すぎて」ツイートが後回しになるモードって久々で、コロナ前くらいまではよくありました。つまりはバンコク在住&日本海外往還期は、次から次に多方面から新たな事どもが押し寄せるため、通常の作品よりも深く過去の鑑賞体験をディグる作業が後回しになってしまうという精神機制がたぶん働いていた。で、コロナ禍以降少なくとも身体的に移動&挙動が制約されたため、選択的に後回す導因が薄くなったということかなと。

 他人どころか自分にとってさえどういう意味があるのかわからない、映りでる内面観察の一端をメモ。





おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh
: