今回は、7月14日~22日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。(含ドラマ1クール/短編1作/再掲2作)
※『君たちはどう生きるか』以外の7月14日公開作については前回、ふぃるめも272にて扱いました。 (マッド・ハイジ/ヴァチカンのエクソシスト/ランガスタラム他)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第273弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■7月14日公開作
『君たちはどう生きるか』
絵に圧倒されすぎて、若い頃のおかあさんにとっても会いたいのね駿翁、という他に明瞭な感想いまだ浮かばず。
肉の躍動、物へ宿る気の流れ、無表情が仄めかす深い感情。このアニメ表現はたぶん継承不能、あと何作観られるだろうとか。ツイン・ピークス奥の院展開も好き。
[予告動画いまだなす]
"The Boy and the Heron" https://twitter.com/pherim/status/1680550137427369984
『風の谷のナウシカ』BESTIA上映 https://twitter.com/pherim/status/1300991761230118912
『千と千尋の神隠し』BESTIA上映 https://twitter.com/pherim/status/1301715050864848896
※7/14公開日ドルビーシネマにて初鑑賞、7/20IMAXにて再鑑賞。
実質原作本ジョン・コナリー『失われたものたちの本』通読中。再鑑賞ツイおよび『時計塔』ほか宮崎非映画作とも併せ追記予定。
■7月21日公開作
『世界のはしっこ、ちいさな教室』
ブルキナファソ、シベリア、バングラデシュ。
各々に奮闘する女性教師たち。
わが子を残し辺境へ派遣される戸惑い。事あるごとに晒される無理解と断絶のままならなさ、伝わらなさ。
傑作『世界の果ての通学路』製作班の新作だけに、全編質実にして豊穣。
"Etre Prof" https://twitter.com/pherim/status/1681278318413488128
『世界の果ての通学路』https://twitter.com/pherim/status/1358054957119729664
『ブータン 山の教室』https://twitter.com/pherim/status/1377229438467776517
『すれ違いのダイアリーズ』https://twitter.com/pherim/status/1650479869946654720
『神回』
時をかける少年。
《永遠にくり返される、初恋の相手との教室での5分間》からどう抜け出すか、という前半のテーマ自体が変容しだす中盤からの意外性に心掴まれる。
中村貴一朗監督初長編で、手垢まみれな学園ループ物へ挑む蛮勇が吉と出た感。主演/青木柚&坂ノ上茜の瑞々しさも滅法良い。
"" https://twitter.com/pherim/status/1681471082367434752
『時をかける少女』https://twitter.com/pherim/status/1338423889718779910
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』https://twitter.com/pherim/status/1581838290562740225
『ハッピー・デス・デイ 2U』https://twitter.com/pherim/status/1147685201033613312
『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』
豪華客船の余興で、無名の男がチェス世界王者を下す。
ウィーンでの監禁下、チェスの暗譜により精神の危機を生き延びる描写が見事。亡命先の南米で出稿直後の1942年に自死したStefan Zweig原作小説のミニマルな卓越性を、オリヴァー・マスッチが清冽に演じ切る。
"Schachnovelle" "Chess Story" "The Royal Game"https://twitter.com/pherim/status/1681153469472968704
『ヒトラーに盗られたうさぎ』https://twitter.com/pherim/status/1315846162616782848
『帰ってきたヒトラー』https://twitter.com/pherim/status/1343527469777731586
『裸足になって』
暴行により声を失くしたダンサーが、様々に傷を受けた女たちとの出逢いから、舞踊への情熱を身中に甦らせゆく。
秀逸ながら見せ処の拡散しがちな前作『パピチャ』に比べ、主演リナ・クードリの所作を核とする構成に地力の深化が窺えるムニア・メドゥール監督作、今後も楽しみ。
"Houria" https://twitter.com/pherim/status/1681999365848842240
『パピチャ 未来へのランウェイ』https://twitter.com/pherim/status/1320682389299867648
拙稿「身にまとう自由の奥行き、絹布の祈り。」http://www.kirishin.com/2020/10/28/45896/
■《台湾巨匠傑作選2023》7月22日~ K's cinemaほか
https://taiwan-kyosho2023.com/
『少年』(小畢的故事, 1983)
息子のため、歳上の公務員と結婚するシングルマザー。継父との間に弟が生まれ、疎外感からグレる息子。不意の悲劇。
1980年代の淡水や日式家屋が趣深い陳坤厚監督作。侯孝賢の非監督作系譜の初期作で、のち歴代作を協働する朱天文と脚本参加。
"小畢的故事"
『台北ストーリー』(青梅竹馬, 1985) https://twitter.com/pherim/status/861035049210097664
小説『歩道橋の魔術師』スレ https://twitter.com/pherim/status/969891189712338945
『HHH:侯孝賢』https://twitter.com/pherim/status/1441642575673245696
『大輪廻』
男女3人が転生しゆく台湾映画’83。大陸出身3監督が輪廻観通し中台の紐帯想う切なみ。胡金銓(キン・フー)の明朝時代活劇が
『七人の侍』級の密度で圧倒し、清末民国初の京劇一座メロドラマから、台湾離島での乩童(霊媒師)息子と旅芸人娘の悲恋物へ。いかにも80年代アイドルな彭雪芬、很可愛。
"大輪廻" "The Wheel of Life" https://twitter.com/pherim/status/1214833916403535872
『空山霊雨』
古寺の継承者選抜と水面下のお宝争奪戦が並走する、胡金銓(キン・フー)監督作’79。玄奘直筆の大乗起信論を奪い合う点グッとくるし、徐楓(シュー・フォン)扮する冷笑女賊に小太り忍者、越後屋悪代官から実直弁慶風味な山伏僧まで、多彩キャラが飛び交う韓国ロケの動的映像美がたまらない。
"空山霊雨" "Raining in the Mountain" https://twitter.com/pherim/status/1218499288621142016
■国内過去公開作(含映画祭上映作)
『避雷針』2019
「避雷針のないビルを見つけられたら結婚してあげるよ」
恋人のひと言から始まる建物探訪。川口の高層住宅街を背に展開する飄々とした語り口が印象的な、『神回』の中村貴一朗監督短編。
ときおり二宮和也と見まごう関口アナンと、瑞々しくも儚げな吹越ともみの恋人演技が心地よい。
"" https://twitter.com/pherim/status/1682666041447694336
『神回』https://twitter.com/pherim/status/1681471082367434752
■国内劇場未公開作(含VOD公開/DVDスルー作)
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』Netflix
隕石と邸宅の不穏、墓穴と貸倉庫の危うい奥行き。
化粧品通販に狂う4話が、皮膚炎に苦しんだ経験者には映像表現が痛烈すぎて圧巻。
デル・トロをタモリ遣いし若手監督へチャンスを配給する試みで、Black Mirrorに比べスタンダードな怪異譚が並ぶ。
"Guillermo del Toro's Cabinet of Curiosities" https://twitter.com/pherim/status/1681633882389766146
『ブラック・ミラー シーズン6』Netflix https://twitter.com/pherim/status/1679691466027974656
余談。不意の『君たちはどう生きるか』祭り中。実質原作本のジョン・コナリー『失われたものたちの本』まで読み出してしまいました。
おしまい。
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