今回は、10月27日~11月3日の日本上映開始作を中心に、10作品を扱います。(含ドラマ1season/再掲1作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第283弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■10月27日公開作
『ドミノ』“Hypnotic”
ベン・アフレック主演xロバート・ロドリゲス監督新作は、行方不明の娘を捜す刑事が多重現実の混沌を駆け抜ける。
《冒頭5秒、既に騙されている》とのPR文は嘘でなく、全編94分たるみなし。原題「催眠」、催眠術者/被催眠者の攻防とインセプションばりの視覚表現が冴え渡る。
"Hypnotic" https://twitter.com/pherim/status/1717517571665301796
『インセプション』https://twitter.com/pherim/status/1306813109789626368
『ザ・コンサルタント』https://twitter.com/pherim/status/820091265500975104
『こいびとのみつけかた』
植木屋青年がコンビニ店員に恋する青春劇。
ありがちラブコメと思いきや、主人公(倉悠貴&芋生悠)が訳あり発達障害人生を暮らしており、けれど鬱展開へは沈み込まないほのぼの調が和める一作。
先輩役/川瀬陽太&奥野瑛太始め、成田凌/松井愛莉らの力の抜けた演技も見処。
"" https://twitter.com/pherim/status/1718111346414510464
『恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜』https://twitter.com/pherim/status/1426035746440323074
■10月28日公開作
『海鳴りがきこえる』
東日本震災で少女期に家族が離散した主人公が、結婚出産を経て理想の家庭像へ執着するあまりすべてが壊れだす。
かけがえのない関係性の喪失と、撮る行為との連環への着目は稀有の主題ながら、台詞が強引な点、終盤が拙速すぎる点など惜しさも。師匠役の川瀬陽太が全編で効く。
"" https://twitter.com/pherim/status/1706670303605338120
『海鳴りがきこえる』10/28公開。
主演/中村守里、先月公開『まなみ100%』でもヒロイン役で好演、いま波に乗る俳優さんのお一人ですね。映画では『アルプススタンドのはしの方』以来ひた走る役者道、今後の活躍も楽しみです。極私的に、高校時の友達にとても似てたり。
『まなみ100%』https://twitter.com/pherim/status/1707241327480766955
『二重のまち/交代地のうたを編む』https://twitter.com/pherim/status/1365520416752603138
■11月3日公開作
『ゴジラ-1.0』
シン・ゴジラは賑やかしに過ぎなかった、と思える本格ゴジラ劇。
旧海軍兵らの誇りと、大戦を生き抜いた人々の強靭さが海から襲い来る“奴”と激突する。
米軍はソ連を怖がり対処不能、巡洋艦高雄や幻の日本海軍機・震電が乱舞する仕立て最高、戦後東京の再現ほか全編眼福の超怪作。
"" https://twitter.com/pherim/status/1719688998392865224
大刀洗平和記念館、震電展示: https://twitter.com/pherim/status/806876248672608256
シン・ゴジラ バンコク上陸ツイ: https://twitter.com/pherim/status/788348355709591552
震電 in 押井守『スカイクロラ』
『沖縄の民』https://twitter.com/pherim/status/1533842851179933696
『ゴジラ-1.0』では序盤から重巡洋艦高雄が、文字通りに“格闘”する。
破壊予定の接収艦を米軍が特別供与、正体不明段階のゴジラに体当たりされ傾斜しながら片舷斉射とか涙ものでした。
B-29対抗で開発された震電が侵入生物へ立ち向かう図等々、仕込みが胸熱すぎましたね。
『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』
ライター稼業目指すも預金10万まで追い詰められた元アイドルの七転八倒。深川麻衣快演。
とはいえルームシェアすることになった“ただのおっさん”が達観した仙人みたいな井浦新なの、幸運すぎるだろとツッコミ入れたくはなる。
"" https://twitter.com/pherim/status/1721058273519079809
『アンダーカレント』https://twitter.com/pherim/status/1709483674440474921
『朝が来る』https://twitter.com/pherim/status/1316578113199828992
『こちらあみ子』https://twitter.com/pherim/status/1545604038536089600
『嵐電』https://twitter.com/pherim/status/1131033778841722880
『理想郷』“As bestas”
スペイン北部ガリシア山麓に移住したフランス人夫婦への、隣人の嫌がらせがエスカレートする。
有力者兄弟の陰湿なヘイト仕草に結晶化されゆく、村社会の理不尽な排斥熱描写が凄まじい。ピレネー国境への執着を窺わせる『おもかげ』のロドリゴ・ソロゴイェン監督新作。
"As bestas" "The Beasts" https://twitter.com/pherim/status/1720418235382894770
『おもかげ』“Madre” https://twitter.com/pherim/status/1291939654501986306
『火の鳥 エデンの花』
ジブリ後継集団の1つSTUDIO4°Cによる、
手塚治虫原作/望郷篇ベースのアニメ化良作。
あの超大河の圧倒的時空感を巧く再現、原作の狂気が脱臭された点も今日性ある翻案として興味深い。アダム的役柄/窪塚洋介の軽薄さとか。主演宮沢りえ重畳、イッセー尾形の端役も出色。
"" https://twitter.com/pherim/status/1719916079882043601
『サタデー・フィクション』“蘭心大劇院”
真珠湾攻撃前夜の魔都上海を描くロウ・イエ新作が圧倒的。
特務下の日本海軍少佐(オダギリジョー)、孤児院で仏政府から諜報訓練を施された大女優(コン・リー)、ホテル支配人の顔もつ仏スパイらが跋扈する。
底本とする横光利一『上海』の夜闇再現に感涙。
"蘭心大劇院" "SATURDAY FICTION" https://twitter.com/pherim/status/1720645318826762280
横光利一「上海」1931連ツイ https://twitter.com/pherim/status/1026328176530612224
婁燁『シャドウプレイ』https://twitter.com/pherim/status/1198449373157326848
※上海描写、横光利一、もう一つの底本虹影『上海之死』めぐり追記予定。
『私がやりました』“Mon crime”
有名映画プロデューサーの死と新人女優の疑惑。
そして意外なる大女優の介入。
フランソワ・オゾン健在を窺わせる安打製造機ぶりで、ワインスタイン事件を軽快に皮肉る。
イザベル・ユペールの、終始おとぼけ顔で演技を楽しむ様子も巨匠作の安定感ならではだろう。
"Mon crime" "The Crime is Mine" https://twitter.com/pherim/status/1720768152051867659
『苦い涙』“Peter von Kant”https://twitter.com/pherim/status/1664076736550809600
“Summer of 85” https://twitter.com/pherim/status/1424930106271690755
『2重螺旋の恋人』https://twitter.com/pherim/status/1023395969147133952
『婚約者の友人』https://twitter.com/pherim/status/921211563066908672
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』をめぐり書きました。
http://www.kirishin.com/2020/07/15/44134/
■国内劇場未公開作(含VOD公開/DVDスルー作)
『サンクチュアリ -聖域-』Netflix
角界ドラマ化、国内資本ではまず不可能だろうタブー=“聖域”をぶち抜く意欲作。
金と性欲や名声欲にまみれた主人公を演じる一ノ瀬ワタル、赤井英和ともピエール瀧とも異なるマッチョ系の良性格俳優登場した感。
元力士らの脇役も地味に良い。
"Sanctuary" https://twitter.com/pherim/status/1721168400419021181
『ヴィレッジ』https://twitter.com/pherim/status/1673893122055766016
正論ばかりで地に足のつかないアメリカ帰りの若い女性記者が、どこへ着地するかも見どころだった。#Metoo以降の世相を体現する彼女の扱い次第で作品の評価を分けるひとは当然出るだろうなと思ったけど、そこはまぁわりと安直な展開に堕して物議を避けた感もあり。
余談。出稿嵐と東京国際映画祭がほぼ同時に終わって凪状態。脱力して無為の時間へ沈むかと思いきや、今のうち色々片付けないと、てな気力がなぜか湧いてくるレア状況。なんだろうねこれ、めずらしい。
おしまい。
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