pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2024年
05月25日
19:13

ふぃるめも307 佐藤真の関心領域

 
 

 今回は、5月24日の日本上映開始作と、《暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE》特集上映作などから10作品を扱います。(含配信アニメ1クール/PV1作/再掲2作)

 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第307弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■5月24日公開作

『バティモン5 望まれざる者』“Les Indésirables”

バンリュー映画の極“レ・ミゼラブル”のラジ・リが、コロナ禍を隔て描くのは、黒人市長が移民らへ立ち退きを迫る世界。
脚本参加“アテナ”の迫真団地描写そのままに地域政治を加味した視点の肉薄感、相変わらず唸らせる。

"Bâtiment 5/Les Indésirables" https://x.com/pherim/status/1792890849698672653

『レ・ミゼラブル』https://x.com/pherim/status/1232142772452282369
『アテナ』https://x.com/pherim/status/1574022502321623040
『ティアーズ・オブ・ブラッド』https://x.com/pherim/status/1789639504279785644
『GAGARINE/ガガーリン』https://x.com/pherim/status/1495597726033416193
拙稿「瓦礫のうえで」https://www.kirishin.com/2022/02/25/52929/





『母とわたしの3日間』
死後3年のオモニが、天界から3日だけ地上へ降りる休暇を得る。
米国名門大の教授を辞して定食屋を開いてるらしい娘を見守り、ときに愚痴る“肝っ玉オカン”ぶりに和む。懐かしの風土と味を味わう、いかにもソウルで求められてるんだろうなという一編。

"3일의 휴가/Our Season" https://x.com/pherim/status/1792535088619778225

『リトル・フォレスト 春夏秋冬』https://x.com/pherim/status/1128484008151535617
『あなた、その川を渡らないで』https://x.com/pherim/status/757580559572832256
『最初の恋、最後の恋人』https://x.com/pherim/status/1510096461039816712





『劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ』
1988年の函館。給食に出たジャージャー麺の食べ方で生徒とバトルする熱血教師(市原隼人)のオトナ気なさが相変わらず面白い。
配膳後の先生の小躍りは、中毒性を超えもはや伝統芸能の域。今後も寅さん風にご当地映画路線plz。

"" https://twitter.com/pherim/status/1790354422083797365

『劇場版 おいしい給食 卒業』https://twitter.com/pherim/status/1524219497724678144
『劇場版 ねこ物件』https://twitter.com/pherim/status/1557209955828396038
子持ちカレイ煮定食。https://twitter.com/pherim/status/725157869524508674





『関心領域』“The Zone of Interest”
幸福な家族景、の壁向こうから響く不穏。
アウシュビッツ収容所長ルドルフ・ヘスの邸宅が象徴する他者犠牲への無関心ぶり、その今日性に震撼する。
ただ理想の家庭イメージを追い求める姿が狂気そのものと化す、主婦役ザンドラ・ヒュラーの凄演に息を呑む。

"The Zone of Interest" https://twitter.com/pherim/status/1791069859855626657

Jamiroquai “Virtual Insanity” MV(1996) https://twitter.com/pherim/status/1318046104450068480
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2013) https://twitter.com/pherim/status/1325097906660012033
“The Fall” 2019 https://twitter.com/pherim/status/1317371837643280385
“Strasbourg 1518” https://twitter.com/pherim/status/1331547232877780993
『復讐者たち』https://twitter.com/pherim/status/1418414158622511107
『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』https://twitter.com/pherim/status/1551904889030135808


拙稿「」 URL近日追記




■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)

ジョナサン・グレイザーといえば、しかし何をおいてもJamiroquai “Virtual Insanity” MV(1996)なんです、極私的には。
狂ったこの狭窄社会も悪くない、罪に溺れた奴らの下で新たな祈りを希求する。這い回る甲虫と迸る鮮血の赤。カラスがニ度飛び立ったあとの世界で、もう四半世紀も息している、現実。

"Virtual Insanity" https://twitter.com/pherim/status/1318046104450068480




『BEASTARS 第2期』
学園内で起きた“食殺事件”と、裏社会で権力握ったエリート鹿ルイの行く末。
性差別/人種差別からあらゆる搾取構造まで社会の縮図感パない1stシーズンから、ハードボイルド物語主体へ。熊さん恐い。精神科医でアサシン級の戦闘力もつパンダ先生ゴウヒンさんにごっつ痺れる。

"BEASTARS 2S" https://twitter.com/pherim/status/1751217407363109189

『BEASTARS』1期https://twitter.com/pherim/status/1746860980909568204
『オッドタクシー』https://twitter.com/pherim/status/1439562396381499392
『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』https://twitter.com/pherim/status/1571842518299607044
『GUNDA グンダ』https://twitter.com/pherim/status/1467478395663847425
『動物農場』https://twitter.com/pherim/status/1314887578772885504





■《暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE》 5月24日~ Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下ほか
 https://alfazbetmovie.com/satomakoto/
 
『まひるのほし』4K 1999
7人の作り手たち。アウトサイダー・アートを巡る佐藤真の目線が湛える、大らかさの深み。
性衝動由来の女性への興味を発話しながら街ゆくシゲちゃんを、現代のカメラはこうも溌剌と撮れるだろうか。作品より魂へフォーカスし続けるブレなき視点の据わりに宿る無量の熱情。

""  

 
 
 
『花子』4K 2001
食べ物を作品化する花子さんとその一家。
子の生み出すカタチを楽しむお母さんこそ、この創作の影の主役だよね。と昔観た時は感じたけれど、妹中心生活からの解放願う実姉の葛藤を、彼女の声だけで描き込む点に佐藤真監督の粋はむしろ宿ると今更気づく。

"Hanako 4K" https://x.com/pherim/status/1793849512173473805 

 


『エドワード・サイード OUT OF PLACE』4K
思想家サイード [1935-2003] の足跡追う2005年作。彼の残熱さえ感じられる人々の語りと、パレスチナの光景。
“阿賀に生きる”の佐藤真が、このテーマで撮ったことの意義は今日でこそ煌めく。1948年ナクバの傷を語る老人達と、同僚教授らとの対照も魅せる。

"" https://x.com/pherim/status/1792752395958751243




佐藤真『阿賀に生きる』 で1番好きなのは、風吹きすさぶ河原の場面。
元渡し守のお爺さんが河原で空を見上げ、幾つもの名で風を呼び分け始める。景色がぐんぐん輪郭を深めていく。
山里の暮らしや民家の宴、船大工棟梁の奮起など見処満載で、お爺さんお婆さんのかわいらしさ炸裂する不朽の名作です。

"" https://x.com/pherim/status/1584386354922016768 

『阿賀に生きる』1992
上映+加藤典洋トーク@西荻窪。祭りと民謡、渡しの集落、無数の風の名、時間の豊穣。恥ずかしながら初見、数年に一度観返し続けるべき作品とまた出会えた感。会場は日本最古の玉突き場《ビリヤード山崎》、昭和環境良かった。

『阿賀に生きる』は、芳醇な映像体験とはこれを観ている時間のことを言うのだなと素朴に思える作品だった。水俣病被害を背景とするものの、声高に訴えないことで表現が力を増す好例。加藤典洋さんはこの点を「怒りが度外れて大きいと、通り一遍の問題の立て方、影響の与え方では我慢できなくなる」と。


 
 

 余談。移転後の借りぐらしBunkamura ル・シネマ渋谷宮下、いい感じに気張ってますね。(まだ行けてない)





おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh

コメント

2024年
05月26日
14:40

「おいしい給食」、子守中アマプラでドラマ版のお世話になりました。幼児が飽きない尺で、注視してなくても楽しめるコメディで、小躍りシーンだけでもう面白い上に脚本が意外としっかりしてて非常に良かったです。

「阿賀に生きる」、そういえば市民映画館で定期的に公開してたのに観たことなかったです。芳醇な映像体験イイですね。

2024年
05月27日
01:07

え~、幼児が飽きない尺というのは驚き。小躍りは反応しそうだけどw

『阿賀に生きる』はまぁいずれ一度は観ておいたほうがいいです。石牟礼道子は一度読んでおいたほうがいい、みたいなのに通じるかも。人生のスケールが確実に最低数mは広くなります。そんな作品は滅多にないので。

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