今回は、5月31日の日本上映開始作と、特集企画《ニナ・メンケスの世界》、《ラオール・ウォルシュレトロスペクティブ ウォルシュを観て死ね!》上映作など10作品を扱います。(含配信ドラマ1クール/短編1作/再掲1作)
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第308弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■5月31日公開作
『FARANG ファラン』
タイの港町へ流れ着いたフランス人格闘家が、ムエタイの賭け試合でトラブり家族を殺され、いざ復讐じゃ。
“ファラン(白人/よそ者)”というタイクラスタのお馴染み単語を題に据えたから何事と思いきや、タイラー・レイク式にアクションで魅せる設え。水上集落など異国情緒佳き。
"Farang" https://x.com/pherim/status/1794359825335570613
『タイラー・レイク 命の奪還』https://x.com/pherim/status/1260789617160142848
『走れロム』“Ròm” https://x.com/pherim/status/1413393119123361793
『天安門、恋人たち』“頤和園” 2006
ロウ・イエ/婁燁18年前の咆哮。
天安門の渦中を名もなき若者の視点から、一切の説明台詞も言い訳もなしに描き切る気骨。サタデー・フィクション/蘭心大劇院の重厚さと推拿の肉感描写をそのままに。この人なしに中国現代映画は語れない。
"頤和園" "SUMMER PALACE" https://x.com/pherim/status/1795650399057387976
『シャドウプレイ』https://x.com/pherim/status/1198449373157326848
『夢の裏側~ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ』https://x.com/pherim/status/1198803747205287936
『サタデー・フィクション』“蘭心大劇院”https://x.com/pherim/status/1720645318826762280
『ブラインド・マッサージ』“推拿”2014 https://x.com/pherim/status/1613384382282358784
『兎たちの暴走』https://x.com/pherim/status/1334062008283500544
拙稿「中国、その想像力の行方と現代」https://www.kirishin.com/2019/11/27/39116/
『ユニコーン・ウォーズ』
テディベアとユニコーンの神話的対立。ユニコーンの絶滅描く聖典を信じ森へ分け入るテディベア兄弟が目撃した倒錯と狂気。残酷さの奥へ潜む世界のリアル。
ロング・ウェイ・ノース以降、各国の粒選りアニメ配給を続けるリスキット、貴重な系譜を紡ぎだしてる。
"Unicorn Wars" https://x.com/pherim/status/1793485030159007822
『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』https://x.com/pherim/status/1168361416757170176
『カラミティ』 “Calamity” https://x.com/pherim/status/1438332715376406529
『マロナの幻想的な物語り』https://x.com/pherim/status/1298452729220628480
『愛しのクノール』https://x.com/pherim/status/1675416034327789568
『お終活 再春!人生ラプソディ』
高畑淳子が、結婚&子育てで遠のいたシャンソンの道へ踏み出す高齢女性の戸惑いと勇姿を熱演する。
「みっともない」と腐しながら妻の奮起に絆される夫役/橋爪功、パリで成功した画家の屈託演じる長塚京三らも印象的。剛力彩芽/藤原紀香ほか久々にみる面々重畳。
"" https://x.com/pherim/status/1794260528686367222
『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』https://x.com/pherim/status/1394864788715433985
『頑固じいさんとしあわせな時間』https://x.com/pherim/status/1284315113281875968
■日本公開中作品
『デューン 砂の惑星PART2』
もうね、現代の神話でした。
砂こそこの現実の本性かつ依代っていう。
エイリアン並みに1を超えてきたDUNE 2、今日の語り部は道具にIMAXを使うのね。
シャラメもゼンデイヤも、佇まいだけで世界が立ってる。ヴィルヌーヴ最高傑作、堂々更新。
"Dune: Part Two" https://twitter.com/pherim/status/1786975138149478818
『メッセージ』https://twitter.com/pherim/status/863610960828784641
『ブレードランナー 2049』https://twitter.com/pherim/status/974220346978021376
『ボーダーライン』“Sicario” https://twitter.com/pherim/status/661481664774713345
『複製された男』https://twitter.com/pherim/status/503389785801506816
『静かなる叫び』https://twitter.com/pherim/status/829130027644002307
『渦』“Maelström” https://twitter.com/pherim/status/812447242153906177
“Un 32 août sur terre”(August 32nd on Earth) https://twitter.com/pherim/status/1451905419962552321
■シネマヴェーラ渋谷上映特集《ラオール・ウォルシュレトロスペクティブ ウォルシュを観て死ね!》2024/04/20~05/24
http://www.cinemavera.com/programs.html
『栄光』What Price Glory? 1926
第一次大戦から上海、パリ。どこでもライバル同志の大尉と軍曹、決着は宿場娘めぐる恋の鞘当てへ。
犯罪映画の巨匠ラオール・ウォルシュによるサイレント秀作。命の奪り合いに発展しても、要するに仲良い。その軽さに戦争が身近な時代感を看取。1917想わせる場面も。
"What Price Glory" https://x.com/pherim/status/1791749182736539986
『1917 命をかけた伝令』https://x.com/pherim/status/1228537328332750850
『彼らは生きていた』https://x.com/pherim/status/1218159652321366016
小津安二郎『秋刀魚の味』呑み屋場面 https://x.com/pherim/status/1648454797438357504
■特集上映《ニナ・メンケスの世界》 5/10~
https://ninamenkesfilmfes.jp/
『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』 2022
ニナ・メンケス渾身の女性映画史概論。
古今名作群の性別描写に通底する“Male Gaze”=男目線の内面化を、女性監督作で語る流れは殊に説得的。
傑作“Queen of Diamonds”を生みながら不遇をかこったメンケスゆえの鬼迫宿る視覚解体、戦慄した。
"Brainwashed: Sex-Camera-Power" https://x.com/pherim/status/1796164982641455115
『クイーン・オブ・ダイヤモンド』1991
ラスベガスのカジノでディーラーをして暮らす女の、永遠に反復される日々。
反復が強力すぎて、研ぎ澄まされたカードさばきもふと客へ振る舞う笑みも人形のように映り、過ぎ去る男たちは風景と化し砂漠的な孤独を想わせる。
ニナ・メンケス、不朽の一作。
"Queen of Diamonds" https://twitter.com/pherim/status/1615707143965118464
「ふぃるめも256 アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション上映作」国立映画アーカイブ特集企画
https://tokinoma.pne.jp/diary/4802
■VOD配信/TV放映作(非劇場公開作)
『【短編ホラー】ブルーホール』 2023
なにが凄いって、古めマンションの玄関だけで完結させてるとこな吉呑太雄監督作。
ブルーホールというとセノーテの洋上カリブ海版みたいなイメージを勝手に持ってるので、それが狭い日本の住宅内部に口を明けてる発想自体がもう面白い。
"" https://twitter.com/pherim/status/1790581521738568091
『セノーテ』https://twitter.com/pherim/status/1319479884012351488
『奈落のマイホーム』https://twitter.com/pherim/status/1591639995336765440
『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』
マシュー・マコノヒーが天性の変人刑事を、ウディ・ハレルソンが切なきマッチョ刑事を好演するバディ物クライム・サスペンス秀作。
数年ぶりの再鑑賞で、物語&細部設定の巧緻と説得力に驚かされる。マコノヒーの透徹した語り口には改めて戦慄し通し。
"True Detective" https://x.com/pherim/status/1791987994834141362
『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』https://twitter.com/pherim/status/1784206193294225449
余談。
みるべきをみて、読むべきは読むしかないなと。
すこし無理してニナ・メンケス特集みたとこだけど、みてよかった。me too物だから不安もあったけど、本物は本物だった。
それとタイへ引っ越す前に買ってた未読の阿部和重短編集、町田康がSF書いたらこうなるみたいので笑って隣の白人ニキが
っとしてる銀座線内宵の口。
おしまい。
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