pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2019年
03月11日
23:43

ふぃるめも107 3月11日

 
 

 今回は、3月8日~3月15日の日本上映開始作から計10本を扱います。

 タイ移住後に劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第107弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしば黒字表記に含まれます)



■3月8日公開作

『ウトヤ島、7月22日』

島に集う学生が狙われた乱射テロの惨劇を、全編ワンカットにて映画化。フレーム外に実行犯の存在を常に感覚する迫真性は想像以上で、真冬の海に隔たれノルウェー本土から孤絶した島で陥る極限心理へ観客を誘うことで追悼する、倫理的にも険しい隘路ゆく衝撃の重さ際立つ意欲作。

"Utoya 22. juli" https://twitter.com/pherim/status/1101327030509957120

『ウトヤ島、7月22日』は、Netflix配給『7月22日』(https://www.netflix.com/watch/80210932)とは別作。ネトフリ版がマット・デイモン《ボーン》シリーズの監督による英語作品なのに対し、こちらは『ヒトラーに屈しなかった国王』の監督によるノルウェー純正作品。撮る角度が対極的です。

  『ヒトラーに屈しなかった国王』: https://twitter.com/pherim/status/910695087910162432




『スパイダーマン:スパイダーバース』
まるで予期してなかった種の感動。黒人少年マイルスのもとに、並行世界を生きるスパイダーズがつかのま集う。いずれ各々の世界へ帰る別離前提の仲間達、って現実の友達も本当はそうなんだよね。あとエンドロールのメッセージがひときわ鮮烈、元気になる一作。

"Spider-Man: Into The Spider-Verse" https://twitter.com/pherim/status/1085737242763522050

スパイダーマン&ウーマンズ、サイアム・パラゴンに集うの図。それぞれ仕草に個性だしてて、見てるだけで楽しくなるなり。https://twitter.com/pherim/status/1085838678616768512(写真)

『スパイダーマン:スパイダーバース』
バンコクIMAXに続き日本試写だん、やはり最高すぎた。2度目は画作り&音作りを意識して観たけれど、細部へのこだわりにジブリ『かぐや姫の物語』に通じる狂気を感じ続け一瞬も飽きさせず、気づけば落涙してました。足音どころか落下音すらキャラごとに違うんだよ!

今週末に公開迫る『スパイダーマン:スパイダーバース』、Dolby Atmos / Dolby Cinema™環境、お奨めです。3次元移動を音で表現したり、音色自体がとても豊かな映画なので。(3度目鑑賞、確定)

  『スパイダーマン:スパイダーバース』新次元音響「ドルビーアトモス」上映決定
   https://theriver.jp/sm-sv-dolby/

『スパイダーマン:スパイダーバース』日本公開初日、早速TL旋風襲来中。年初の時点ではFFH(『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』今夏公開)の方が注目されてたので、ややKY感も自覚しつつのド絶賛ツイートを試みました。仲間いて良かった。#スパイダーマンは1人じゃない

『スパイダーマン:スパイダーバース』、摩天楼を跳躍する場面では車体や路面へ映り込む光まで奥行き表現が強調されるのに対し、格闘シーンでは2次元性を敢えて活かすフラットなアニメ表現に切り換わるのも印象的でした。後者からは久々に『まどか☆マギカ』等の劇団イヌカレー空間も想起されるなど。https://twitter.com/pherim/status/1105452240989433856(画像+イヌカレー空間)




『サッドヒルを掘り返せ』
マカロニウエスタンのみた夢を発掘する熱血漢たちの冒険行。スペイン軍まで動員し造成された『続 夕陽のガンマン』ロケ跡地をカスティーリャの荒野に見つけだし、往時の再現をめざす謎情熱が人々へ伝染し熱渦を拡げだす。モリコーネ、メタリカ、イーストウッドの語りも灼熱。

"Desenterrando Sad Hill" "Sad Hill Unearthed" https://twitter.com/pherim/status/1102560183463510016




『シンプル・フェイバー』
郊外の眩しい狂気が、心奥の秘密をえぐり出す女対決。夫婦間スリラー傑作『ゴーン・ガール』仕立ての前半から、ぐんぐんと離陸し予想外の頭脳戦へ突入する面白さ。お料理YouTuber視点の鋭い風刺感覚は絶妙で、アナ・ケンドリックvsブレイク・ライブリーの衣装対決も垂涎級。

"A Simple Favor" https://twitter.com/pherim/status/1103130986798145541

きょう公開の『シンプル・フェイバー』、特にブレイク・ライブリーの演技を楽しみにしてましたが、冷酷なまでのカッコ良さに戦慄すら。ライアン・レイノルズとの私生活等で見せる彼女の自己プロデュースの哲学を知ったのは、バンコク舞台の前作『かごの中の瞳』が機縁でした。

  『かごの中の瞳』https://twitter.com/pherim/status/1044444534443171840

アナ・ケンドリック&ブレイク・ライブリーの熱演に加え、ヘンリー・ゴールディング&ルパート・フレンドの男2人が地味に利く。(など後日連ツイするかも)




■3月9日公開作

『家族のレシピ』

エリック・クー監督新作は、マレー半島料理バクテー(肉骨茶)と日本のラーメンとの邂逅を軸に据えた、目にも美味しいルーツ探求物語。シンガポールと高崎を舞台とした斎藤工演じる混血児の成長は清々しい。久々に伊丹十三『タンポポ』が、懐の深いアジアンフード映画として連想され

"Ramen Teh" https://twitter.com/pherim/status/1102046949702696960

肉骨茶を食す訪マレーシア過去ツイや関連読書へのツイート後日追加予定。

  高尾長良『肉骨茶』をめぐる「よみめも31 花園瀆神肉骨茶」:
  https://tokinoma.pne.jp/diary/1122




『マイ・ブックショップ』
ペネロピ・フィッツジェラルド原作、港町で書店を開く戦争未亡人が主人公の文芸映画。灰空占める海辺の透徹した情景と、よそ者に厳しい英国田舎社会の鬱屈とが描く対照は鮮烈で、イザベル・コイシェ監督の静かなる闘志充溢する良作。ビル・ナイ扮する老紳士との絆が感動的。

"The Bookshop" https://twitter.com/pherim/status/1101795487441551361

終幕の献辞を起点に、イザベル・コイシェ監督の過去作『死ぬまでにしたい10のこと』『あなたになら言える秘密のこと』にからめ近日連ツイいたす所存。

  『死ぬまでにしたい10のこと』原作起点の言及→「よみめも23 終末、雨、幽霊」未転載

   『あなたになら言える秘密のこと』言及過去日記→「見るということ < iv >」:未転載




■3月15日公開作

『キャプテン・マーベル』

アベンジャーズ以前へ遡る、MCU初の女性単独主人公作。ネタバレ避けるけれど90年代再現描写の楽しさ、猫様&フューリー長官byサミュエル・L・ジャクソンの獅子奮迅など驚きの連続でした。かつ恒例の終幕オマケ、近席の白人集団から出た"Oh, my god..."のため息に深く同感。全編痛快。

"Captain Marvel" https://twitter.com/pherim/status/1104225700712607744

ヤバいやつ来た感しかない。パーツパーツは見覚えあるのに、全体がとても新しいというミラクル。今年のヒーロー物ベストはスパイダーバース安定かと思ったけど、大河物としてはスター・ウォーズに失速感ある昨今、MCUは本当に楽しみ甲斐がありますね。




『サンセット』
第一次世界大戦前夜のブダペスト。馬車の走行音や巻き立つ硝煙に焦点を合わせ五感を誘い込む、『サウルの息子』で見せたネメシュ・ラースロー監督独自の流儀健在。家族の謎追う娘の目を通し、帝国の腐敗や不穏な予兆が描かれる本作で、娘が真に凝視するのは観客席の私達に他ならない。

"Napszallta" "Sunset" https://twitter.com/pherim/status/1105059975561240576

  試写メモ53「翳りの鏡像、帝都の夢」:https://tokinoma.pne.jp/diary/3209

 ムルナウ1927年作『サンライズ』との関連言及他↑にて。後日ツイート追加予定。




『まく子』
わたしは宇宙人と語る転校生少女に翻弄される少年の成長物語。移民社会化を遠景とする西加奈子原作の色彩は薄められたが、しなびた温泉街の風情は良く、視覚的再現性の弱い原作を補って余りある映像の豊かさ。心優しいがエロくダメな親父を演じる草彅剛ならではの場面は、本筋を喰う面白さ。

https://twitter.com/pherim/status/1105299196360310785

映画『まく子』の原作について。最近ちょくちょく読む西加奈子作品、海外にルーツをもつ自身の経験を基とする話が多いのに対し、本作『まく子』は少年が主人公。福音館書店刊だけあって文体も子ども主観へ寄せた、習作的要素が楽しめるものでした。なお装丁に蛍光塗料使用との由、画像検索で知るなど。https://twitter.com/pherim/status/1106036992049967104(画像)

  原作・西加奈子『まく子』:後日URL追記(ふぃるめも50)




『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』
歴史映画の傑作。シアーシャ・ローナン扮するスコットランド女王メアリー1世が超絶魅力的に描かれる本作、仏語を話す女王がゲール語話者の兵士へ語りかけ、“英国”の内なる複雑性をエリザベスとの対峙を通し活写する。ダーク調のエジンバラ王城内装&軍装は垂涎級。

"Mary Queen of Scots" https://twitter.com/pherim/status/1096700663013097473

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』、原題は"Mary Queen of Scots"。アイリッシュ系でゲール語名をもつシアーシャ・ローナンを主演に据え、エリザベス1世の敵役としての登板が多いメアリー・スチュアートの生涯を凛々しく描いた点こそ新鮮で、欧州近世のエジンバラ視点からの謀略描写も興味深い。

とはいえマーゴット・ロビー演じるエリザベスが引き立て役以上に活きている点、『ふたりの女王』の邦題にも理を看取。このあたりをめぐり追記予定。(今回このパターン増えたのは向後の課題)






 余談。 

 時間の浪費をしてしまったなと感じるときは、浪費ではない価値ある時間の過ごしかたが何かしら前提とされていて、けれどこの何かしらは時と場合と人により具体像がまるで異なる。ではこの自分の場合それはいま何なのかといって、関係性の編み目由来の皺曲をドラマとして生きることへ価値を感じ抜けないのも明白だから、編み目の象る日常に派生する余暇の趣味とか交際の喜怒哀楽に時を費やすことへの虚しさは当然ながら拭いきれない。それらは目的的に為されるかぎりで許容されうる二義的な所作でしかなく、ならばその目的となり一義となる在りかたはと言って、本当のところこれは昔からわかりきったこととして、この棲み処の現前以外にない。

 現前のために、感覚する。認識する。記し表す。表現はこのときこの私に基づく造作とは大凡無縁に残される痕跡を指している。描かれる線は光であり音であり、形であり温度でありうる、この棲み処である。この思考は視野を遮る枝を振り払い、丘陵や岬の先を見透すための機能であり、この身体は適度に浸透圧が保たれ漸く働く感覚器であって、これらを維持する営みにより初めてこの棲み処を生きられる。

 地塊に殴られ、8年経った。


 


おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh

コメント

2019年
03月12日
18:11

1: asuteka

スパイダーバース、見たいんですよ。
今回はマーベラーは出ないんですよね。

2019年
03月12日
18:59

ごめんなさい、マーベラーって何だろと画像検索してしまいました。で、子供のころ友達が持ってたおもちゃの謎ロボットってスパイダーマンだったのか!、と。

東映スパイダーマンの要素登場については、先にこういうツイートを見かけていたのですが、↓
https://twitter.com/sjxqr393/status/1102390349698224128

実際にはマーベラー、本作にも一瞬登場したようです↓
https://twitter.com/NickTyson/status/1084136463686455297

東映版が出ることの異次元連絡感は続編でこそ活きるメタ感があるので、期待はできそうですね。

2019年
03月12日
23:55

3: asuteka

わかりづらくてすみませんw
原作ではしっかり出ていたので期待したのですが続編までお預けなんですよね。それにしても、東映版のスパイダーマンまでちゃんと拾っているところが流石です。
あー、早く見たいです。

2019年
03月13日
05:38

はい、原作の掲載画も検索の過程で見つけ、ほほ~と。asutekaさんにこのコメントいただかなければ知らずにいたことなので良い機縁となりました。

子供時代から通じて、アメコミ原作を読むルートを経験した友人が身近にいなかったんですよね。それが世代的なものなのかたまたまなのかわかりませんが、これだけ映像では観てきたのに不思議なことだなと。

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