今回は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022国際&国内コンペ長編部門上映作から10作品を扱います。
※同映画祭国内コンペティション短編部門は「ふぃるめも233」にて扱いました。↓
「ふぃるめも233 サカナ島の女神と霧幻の継承マン」
https://tokinoma.pne.jp/diary/4634
タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート
[https://twitter.com/pherim]まとめの第253弾です。
強烈オススメは緑、
超絶オススメは青で太字強調しています。
(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)
■SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022 国際コンペティション
https://www.skipcity-dcf.jp/films/#i
『ワイルド・メン』“Vildmænd”
里へ降りた狩猟の民のコンビニ買い物から始まる北欧コメディ。
弓矢背負うその男、実は中年の危機さなかの平凡なおっさんで。騒動の果てに迷い込むヴァイキングのテーマパークが放つ風刺は痛快。みんな仮面被って生きてんのよっていう。
フィヨルド絶景堪能。
"Vildmænd" "Wild Men" https://twitter.com/pherim/status/1553573225799745536
『コメディ・クイーン』 スウェーデン
サーシャ13歳は誓いを立て、髪を切る。
心を病み自死した母、を引きずる父。
誓いの終章はお笑いで脚光を浴びること。父を救いたい一心を底流とする、いかにも北欧映画な曇りがちの仄明るさ。やがて切なきスタンダップコメディ物、吉本芸人版もちょっと観てみたい。
"Comedy Queen" https://twitter.com/pherim/status/1600093256976830464
"The Big Sick" https://twitter.com/pherim/status/935100040149733377
『マグネティック・ビート』“Les Magnétiques”
1980年代ブルターニュで海賊ラジオに没頭する兄弟。
兄のカリスマ性に憧れる弟が、徴兵され赴く西ベルリンで覚醒する新次元。若者文化の沸騰をレトロ調で魅せる演出に30’s描く『さよなら、ベルリン』が想起され。東ベルリン潜入の一幕も興味深い。
"Les Magnétiques" "Magnetic Beats" https://twitter.com/pherim/status/1561548087759618048
『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』https://twitter.com/pherim/status/1533617876225372160
※マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF) にて2023/2/13までオンライン配信中。
→https://twitter.com/pherim/status/1613710248845660160
『UTAMA~私たちの家~』
乾きゆく高地の暮らし。
ケチュア語を話す老夫婦の元へ、山を降りた子どもが街で暮らそうと誘いに訪れる構図は『アンデス、ふたりぼっち』へ重なる。かつての瑞々しく豊かな日々が、ひび割れ枯れてゆく様も。
南米内陸国ボリビアの透明すぎる青空が目にも鮮烈な秀作。
"Utama"
『アンデス、ふたりぼっち』https://twitter.com/pherim/status/1552847952401793025
コロンビア高地舞台の『MONOS 猿と呼ばれし者たち』製作Fernando Epsteinが編集参加。ひび割れゆく大地の描写はブラジル北東部舞台『乾いた人生』も想起させる。かなり筋は異なるがチリ、アタカマ砂漠舞台のパトリシオ・グスマン『光のノスタルジア』も。
『MONOS 猿と呼ばれし者たち』https://twitter.com/pherim/status/1451815557083189248
『乾いた人生』https://twitter.com/pherim/status/1199175527321329665
『光のノスタルジア』https://twitter.com/pherim/status/716983654719750146
『彼女の生きる道』“Une Femme du Monde”
娼婦のシングルマザーが、自堕落だが料理に興味もつ息子をトップ調理師学校へ入学させようと獅子奮迅。
売春が誇りある職業として社会へ埋め込まれている描写は新鮮で、監督Cécile Ducrocqが政治学出身と知り納得。主人公の逞しさにエール送りたくなる。
"Une Femme du Monde" "Her Way" https://twitter.com/pherim/status/1560100933014818816
溝口健二『赤線地帯』https://twitter.com/pherim/status/1253891063288229888
『揺れるとき』
家庭に問題を抱えた子供が、世界を広げてくれた教師を思慕するあまり過剰な行動へ出てしまう。
フランス東部労働者家庭の、ギスギスした両親を恥じる子供の心情描写が鮮烈。主人公が美しすぎ男性教師に恋する少女と思い込んで観終えたら少年で、LGBT要素も込みの意欲作と知る不覚。
"Petite Nature" "Softie" https://twitter.com/pherim/status/1610466321254473729
“Mon amie Victoria”https://twitter.com/pherim/status/1316941382389551111
『GAGARINE/ガガーリン』https://twitter.com/pherim/status/1495597726033416193
※マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF) にて2023/2/13までオンライン配信中。
→https://twitter.com/pherim/status/1613710854113071104
『クイーン・オブ・グローリー』
NYブロンクス。母の突然の死でキリスト教書店を相続したサラには、しかし不倫相手と遠方へ引っ越す計画が。
ガーナ・アシャンティ文化に則る葬式の渇いた明るさ、場末のキリスト教書店を支える全身刺青男など、突如の異文化闖入に“フェアウェル”の良趣を感覚。
"Queen of Glory" https://twitter.com/pherim/status/1552132652152475649
A24製作『フェアウェル』連ツイ:https://twitter.com/pherim/status/1212219760630362112
『ファルハ』“Farha” ヨルダン/サウジアラビア/スウェーデン2021
村を襲う突如の暴力。父により納屋へ隠され、外の状況不明のまま出られず生き凌ぐ時間。
イスラエル建国に伴う1948年のパレスチナ大災厄(ナクバ)を、将来の夢膨らむ快活少女と抑圧的な父という家族景を突き崩す濁流として描く意欲作。娘の面影に“Sofia”↓も想起され。
"Farha" https://twitter.com/pherim/status/1615933943475507206
『ソフィアの願い』https://twitter.com/pherim/status/1501794736423665664
『お父さんはナクバと同じ100歳で生まれた』https://twitter.com/pherim/status/1103866194287722497
『ザ・タワー』https://twitter.com/pherim/status/1364533508589322244
『ファルハ』父役アシュラフ・バルフム(أشرف برهوم/Ashraf Barhom)。
ハリウッド始め様々な映画で“保守的”&“狡猾な”アラブ人の役柄で見かける名脇役の彼、ガリラヤ近郊のアラブ人クリスチャン家庭に生まれ、ハイファ大学で演劇を学んだ経歴の持ち主でした。
『パラダイス・ナウ』言及記事 https://twitter.com/pherim/status/1205683681962024961
『タイラント』https://twitter.com/pherim/status/720262516744454144
『300: 帝国の進撃』https://twitter.com/pherim/status/444740807350689792
『ザ・クロッシング』“La Traversée”
紛争を逃れ、軍の検問で両親が囚われた姉弟の驚くべき逃避行。収容キャンプ、出逢う人々、雪中行。
ガラスに油絵で描くアニメという途方もなさ。しかしFLEEよりThe Towerとの近しさを覚えるのは、その手法と内容の合致ゆえだろう。
"La Traversée" "The Crossing" https://twitter.com/pherim/status/1612000176687943680
『FLEE フリー』https://twitter.com/pherim/status/1532922321136394242
『ザ・タワー』https://twitter.com/pherim/status/1364533508589322244
『ミッドナイト・トラベラー』https://twitter.com/pherim/status/1429633508310274048
※マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF) にて2023/2/13までオンライン配信中。
→https://twitter.com/pherim/status/1614570776384135169
■SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022 国内コンペティション 長編部門
https://www.skipcity-dcf.jp/films/#jf
『ヴァタ ~箱あるいは体~』
器を片手に、3人の男が遺骨を運ぶ旅へ出る。
『ギターマダガスカル』の亀井岳長編3作目。
道中で素朴な弦楽器から響き渡るなごみ楽曲良い。
箱みたいな楽器と箱の中の魂。
荒野のスロー進行から『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』も強烈に想起される。
"VATA" https://twitter.com/pherim/status/1612063171774394369
『ギターマダガスカル』https://twitter.com/pherim/status/639935388161675264
余談。昨年7月の映画祭ですからね。
半年引っ張る意味はないのだけど、偶然にもうち3作が期間限定オンライン配信の機会に重なるという。
あとから積まれるタスクでもう丸2年後回し放置になってるふぃるめも草稿もあったりして、なにか精神病理のようなものを感じざるをえない今日このごろですがそれなりに元気です。
おしまい。
#ふぃるめも記事一覧: https://goo.gl/NXz9zh