今日体験したあらゆることが、私を何度となく始まりの場所へ連れ戻す。真の幸福は内にある。 p.202
デイヴィッド・リンチの訃報を幾度か目にした一日が終わり、何年かぶりで彼の著作『大きな魚をつかまえよう』を開いている。
創作と瞑想をめぐる断章集成のような本で、2013年に買ったらしい。なにかの用事で早稲田大学本部キャンパスへ行った帰り、高田馬場の路面書店入口入って左の白い書棚で手にとったのを覚えている。初読のメモは2015年につけている。
魚とは創造上のアイデアのことで、大きな魚をつかまえるために、瞑想を深めようという大意が訳者あとがきにも書かれていて、間違いではないけれどそれがすべてでもたぶんない。日本版装丁のシンボルにも使われている魚のマークがまさにそうであるように、魚はキリスト教のシンボルでもある。『イレイザーヘッド』を完成しあぐねていた際、開いた聖書の一節によってすべてが定まったという収録エピソードにも象徴されるように、というか今更いうまでもなく、デイヴィッド・リンチほど宗教的な手つきの色濃いアメリカ人映画監督も珍しい。扱う素材が選択的に宗教的なのではなく、その存在の全体が。
『ツイン・ピークス』を、人生で二度観ている。十代で何もわからずドハマりし、アラサーのド鬱期にまた観た。微温の異時空路地が古びもせず、そこにある。あり続ける。その押しつけて来ない優しさに、救われた。ありがとう。RINirvana.
![魚](/images/emoji/i/i246.gif)
コメント
01月18日
13:10
1: pherim㌠
音楽について熱く語るリンチ翁動画付き↓
https://x.com/pherim/status/1880293813664772291