pherim㌠

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pherim㌠さんの日記

(Web全体に公開)

2024年
12月18日
11:22

ふぃるめも341 第25回東京フィルメックスII 特別招待作品

 
 

 今回は、11月23日~12月1日開催の第25回東京フィルメックスにて上映された特別招待作品から10作品を扱います。

 「ふぃるめも337 第25回東京フィルメックスI コンペティション部門」
  https://tokinoma.pne.jp/diary/5463


 タイ移住後に始めた、劇場/試写室で観た映画をめぐるツイート[https://twitter.com/pherim]まとめの第341弾です。強烈オススメは緑超絶オススメは青で太字強調しています。(2020年春よりドラマ含むネット配信作扱い開始。黒太字≠No Good。エッジの利いた作品や極私的ベストはしばしばタイトル黒太字表記です。)


 
■第25回東京フィルメックス・特別招待作品
 https://filmex.jp/program/ss/
 
『何處』Where 2022
李康生の歩行瞑想 in Paris 再び。ポンピドゥーセンターの蔡明亮企画関連で、移民区撮影の西遊に比べ行者への視線が強い。
誰にも気づかれない透明な媒介として、日子のラオス系タイ人俳優・亞儂弘尚希/Anong Houngheuangsyが市中に佇み、雑踏を眼差す新機軸重畳。

"何處" "Where" https://x.com/pherim/status/1862482144268099737

『日子』https://x.com/pherim/status/1350040145676836869
『水の上を歩く』“行在水上”2013 https://x.com/pherim/status/1643365277537800193
『西遊』“Journey to the West”2014 https://x.com/pherim/status/1653237804204433409





『無所住』Abiding Nowhere 2024
蔡明亮&李康生の行者/Walkerシリーズ10作目は、スミソニアン国立アジア美術館委託作。すれ違う人々の極一部が、“歩行者”から脱落しゆく様の微笑ましさ安定。
何處に続くアノン出演パートが単なる傍観者から市井の生活者へ転じ、蔡明亮他作の味わいへ漸近する。

"無所住" "Abiding Nowhere" https://x.com/pherim/status/1881171521122750731

『蘭若寺の住人』スレ https://x.com/pherim/status/1365290809239642118
『あなたの顔』"你的臉" https://x.com/pherim/status/1275261955637301249
『西瓜』https://x.com/pherim/status/1613040495156162567
『愛情萬歳』https://x.com/pherim/status/1660066581052030976
『楽日』“不散”2003 https://x.com/pherim/status/1670415806218522629
『郊遊 ピクニック』https://x.com/pherim/status/520384832598077441





『ポル・ポトとの会合』Rendez-vous avec Pol Pot
クメール・ルージュ支配下の民主カンプチアを訪れた3人の西洋人が目撃する圧政のリアル、虐殺の真実。
リティ・パン映画の人形は好き、でものれない。
告発証拠掴む黒人記者役を、『飼育』主演のシリル・グエイ/Cyril Gueïが好演。

"Rendez-vous avec Pol Pot/Meeting with Pol Pot" https://x.com/pherim/status/1876087449547657612

Cyril Gueï主演『飼育』https://x.com/pherim/status/1153069860257030144
『すべては大丈夫』https://x.com/pherim/status/1722230558162587863
『消えた画 クメール・ルージュの真実』https://twitter.com/pherim/status/526289838421454848
『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』https://x.com/pherim/status/488145956018208769
『紙は余燼を包めない (Paper Cannot Wrap Up Embers)』https://twitter.com/pherim/status/906849474672078849





『スホ』Sujo
Sicario=殺し屋の息子が叔母に匿われ、少年から青年へ育つ過程で目にし味わう闇の奥行き。
“息子の面影”監脚タッグ2作目だけに、救い無き闇深さは重畳。隠喩シーンの挿入や幕切れがキマっており見応えあるも、暗部の諸相を映すべく平坦化した構成が惜しい。

"Sujo" https://x.com/pherim/status/1862334198008488008

『息子の面影』“Sin Señas Particulares”https://x.com/pherim/status/1453725858095534098
『ボーダーライン』“Sicario”https://x.com/pherim/status/661481664774713345
『箱』 “La Caja” https://x.com/pherim/status/1508640528694341633





『ザ・ゲスイドウズ』The GESUIDOUZ
田舎移住で再起図る、売れないバンドのドタバタ劇。
イキリ冒頭部にドン引きし、ロック&イタリアンホラーリスペクト良いのに台詞は臭く演出が短絡すぎ年間ワーストを覚悟。が、夏子他の演奏カットとベビわる伊澤彩織の場面支配力でやや持ち直す。

"The GESUIDOUZ" https://x.com/pherim/status/1872124984421921013

『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』https://x.com/pherim/status/1484734593400176640
『べイビーわるきゅーれ』連作スレhttps://x.com/pherim/status/1833474334847078783
『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~』https://x.com/pherim/status/1695419767212179797





『未完成の映画』An Unfinished Film(一部未完成的電影)
婁燁/ロウ・イエ新作が、コロナ禍下の中国社会を鋭く穿つ。
公開され得ない未完の同性愛映画撮影が、突如の閉鎖政策で追い詰められる切迫描写は圧巻。
馬英力との長年タッグが醸す、劇中でさえ検閲に抗う不変の反骨精神に心服する。

"An Unfinished Film" "一部未完成的電影" https://x.com/pherim/status/1861391753552769489

『サタデー・フィクション』“蘭心大劇院”https://x.com/pherim/status/1720645318826762280
『シャドウプレイ』https://x.com/pherim/status/1198449373157326848
『夢の裏側~ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ』https://x.com/pherim/status/1198803747205287936
『ブラインド・マッサージ』“推拿” 2014 https://x.com/pherim/status/1613384382282358784
『天安門、恋人たち』“頤和園”2006 https://x.com/pherim/status/1795650399057387976





『地獄に落ちた者たち』The Damned
南北戦争下1862年、北軍の辺境偵察。
出自多様な志願兵たちが、平坦で過酷な日々を踏破する背中に惹かれる。不意の白昼戦闘はThe Sin Red Line、光景の寂寥感はThe Revenantを想わせる厳かさの下、静かに交わされる哲学論議が聞かせる。米大陸馬旅物良作。

"The Damned" https://x.com/pherim/status/1868987614122102897

『開拓者たち』“Los colonos” https://x.com/pherim/status/1829693543742632063
『レヴェナント:蘇えりし者』https://x.com/pherim/status/721508198767702016





『愛の名の下に』Mistress Dispeller/以愛之名
プロの“別れさせ屋”が、中年女性の依頼で旦那の不倫関係を説得により円満に終わらせるドキュメンタリー。
どうしてこれが撮れたんだという凄味は前作ストレイ↓に通じ、旦那の哲学語りや不倫相手娘の決然たる表情で魅せる。

"Mistress Dispeller" "以愛之名" https://x.com/pherim/status/1863781079913803863

『ストレイ 犬が見た世界』https://x.com/pherim/status/1500805260658429953
『メイ』“梅的白天和黑夜” https://x.com/pherim/status/1825266907949453452





『ブルー・サン・パレス』Blue Sun Palace 藍色太陽宮
NYクイーンズのマッサージ店で働く2人の女性と、台湾からの出稼ぎ男が味わうロマンスと悲劇。
移民の孤独心情が引き寄せる男女の構図を、痛切にでなく朗らかに描く前半にとりわけ惹かれる。珍しく幸せそうに笑う李康生/リー・カンション素敵。

"Blue Sun Palace" "藍色太陽宮" https://x.com/pherim/status/1869206567977157035

『黙視録』Stranger Eyes https://x.com/pherim/status/1862676152827224561
『日子』https://x.com/pherim/status/1350040145676836869




 
■第25回東京フィルメックス・クロージング作品(特別招待作品)
 https://filmex.jp/program/ss/

『スユチョン』By the Stream
ソウルの女子美術大学での演劇祭準備をめぐる一幕。
ホン・サンスいつメンによるロマンス展開の安定感なごむ。とはいえ主人公講師(キム・ミニ)の教え子たちが、叔父である演出家(クォン・ヘヒョ)と語らう宴席場面は、世代更新感も醸され新鮮。

"수유천/By the Stream" https://x.com/pherim/status/1870305689794687154

ホン・サンス連ツイ https://x.com/pherim/status/1538494657260564481
『WALK UP』https://x.com/pherim/status/1806306255356444854
『小説家の映画』https://x.com/pherim/status/1674391459452309504






 余談。『何處』『無所住』『ブルー・サン・パレス』とコンペ『黙視録』の4作出演という、李康生/リー・カンション映画祭状態なのに、なんで本人いないんだっていう今年の東京フィルメックス。去年だっけ、蔡明亮とTIFFに来たばっかだしまぁ来たら来たで驚くのですが。これが香港人俳優だと、なるほど、って合点がいっちゃうだろうあたりはほんと、時流ですね。





おしまい。
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